全身性硬化症(強皮症)の患者の看護計画

全身性硬化症(強皮症)の患者の看護計画

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#1レイノー現象による手足のしびれ、疼痛がある

看護診断 非効果的抹消組織循環

関連因子:悪化させる因子に関する知識不足

診断指標:感覚異常、皮膚の性状の変調、浮腫

看護目標

長期:1)レイノー現象の出現頻度が減少する

2)予防する手立てを自ら行うことができ軽減する

短期:レイノー現象による手足のしびれや苦痛が軽減できる

OーP

・皮膚の色調、しびれ、霊感、痛みの程度と部位、レイノー現象の持続時間、頻度

・レイノー現象の誘発要因

TーP

・病室温を20度以上に一定に保つ

・検査や処置のために移動する場合は保温のための衣類を身につけ、掛物で保護する

・手足の循環をよくするマッサージ

・手足の清潔と保温

・必要時、指示による血行改善薬の使用

EーP

・寒冷刺激を極力避ける

・防寒着の着用を習慣化する

・レイノー現象が出現したら手袋、カイロで温める

・喫煙をしない

・どんな時にレイノー現象が起きるのか記録をとる

・日常生活、仕事上で誘因となりやすいものを取り上げて自己管理できるようにする

 

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#2呼吸障害により体動困難感がある

看護診断 活動耐性低下

関連因子:酸素の供給/需要バランスの異常、体動不能

診断指標:労作時の呼吸困難、活動に対する心拍数の異常な反応、倦怠感の訴え

看護目標

長期:1)呼吸障害に配慮しながら必要な活動を行うことができる

2)呼吸による労作を軽減できるような呼吸法などを習得する

短期:安静時には呼吸困難感、倦怠感がなくなる

OーP

・呼吸困難の程度、チアノーゼの有無

・咳嗽の程度、痰の量・性状

・発熱の有無

・呼吸状態・肺音の聴収

・血液ガス、胸部X線検査、白血球数、CRP、血沈

TーP

・呼吸困難を軽減する体位にさせる

・安静の保持

・必要時、指示による酸素吸入

・必要時指示による去痰薬、鎮咳薬の投与

・発熱時は冷罨法、指示による解熱薬の投与

・痰が排出困難な場合は含嗽、タッピング、体位ドレナージを行う

・発汗時は保清し、着替えて保温する

EーP

・ゆっくりと腹式呼吸を促す

・咳痰を効果的に出す方法を指導する

・含嗽や口腔ケアの指導

・外出時のマスク着用を指導する

#3嚥下障害により胸やけ、食欲低下がみられる

看護診断 嚥下障害

関連因子:食道の異常

診断指標:むねやけ、嚥下困難の徴候、胃内容の逆流、食物の拒絶

看護目標

長期:嚥下障害の対処法を理解し、適切な食事摂取量を維持できる

短期:胸やけ、嚥下困難が軽減し食欲が出る

OーP

・胸やけ、嚥下困難、嚥下障害の程度、舌の動き、食事摂取量、食欲の程度、体重の増減

TーP

・消化が良く飲み込みやすい食事内容にする

・1回の食事量を減らして摂取回数を増やす

・食後2時間は坐位をとる

・体位を工夫する(臥床時はセミファーラー位とする)

EーP

・ゆっくりとよく噛んで食べる

・刺激物を極力避ける

・就寝時は飲食物をとらないように指導する

 

 

#4皮膚障害、関節症状により、日常生活に支障をきたしている

看護診断 身体可動障害

関連因子:皮膚の硬化、末しょう循環障害、手指の拘縮

診断指標:反応時間の遅れ、ぎくしゃくとした運動、遅くなった運動

看護目標

長期:ADLが自立でき、皮膚の萎縮・効果が進行しない

短期:必要な援助を受け、安楽に過ごせる

OーP

・皮膚の萎縮、硬化、浮腫、こわばり、疼痛、しびれ、関節症状

・ADLに支障がある範囲

TーP

・全身の保清

・排泄時の移動困難な状況に応じて、車椅子によるトイレへの移動、ポータブルトイレ、尿器の利用ができることを説明

・検査や処置時の移動手段を考える(車椅子、歩行器の使用)

・食事の配膳、準備

・関節拘縮に対して適度な手足の屈伸運動を行う

EーP

・介助を必要とするときに遠慮なくナースコールを使うように説明しておく

・更衣を容易にする工夫をする

・食事にはスプーン、フォークを利用する

・手袋や靴下の着用を勧める

・入浴時の適度な手足の屈伸運動を勧める

・1日数回、末梢から中心部に向けてマッサージを行う

 

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#5皮膚が損傷しやすいため感染を起こしやすい

看護診断 感染リスク状態

危険因子:慢性疾患、身体外傷、組織の破綻

看護目標

長期:1)皮膚の損傷部が治癒する

2)患者が皮膚の手入れや感染予防行動ができるようになる

短期:1)皮膚の損傷部に感染の徴候が見られない

2)創部が治癒過程に向かう

OーP

・皮膚の硬化、色素異常、潰瘍、血管拡張、足裏の胼胝、魚の目、皮膚乾燥、かゆみ

・皮膚損傷の程度

・皮膚の発赤、腫脹、疼痛、浸出液

・創の治癒状態、発赤の有無

TーP

・皮膚の損傷部位の処置、保護

・全身の保清、保湿

・ベッド周囲の整備

・皮膚の乾燥とかゆみに対しては軟膏、クリーム、止痒剤の服用

EーP

・手袋を着用し保護する

・ローション、クリームで皮膚乾燥を防ぐ

・含嗽、歯磨きを励行し口腔内を清潔に保つ

・排泄時は温水洗浄機付き便座を利用し陰部を清潔に保つ

・皮膚潰瘍が見つかったら、すぐに医師に相談して手当てしてもらう

・足裏胼胝・魚の目の対処法について指導する

 

 

#6薬物療法に対するコンプライアンスの低下によって副作用が出現しやすい

看護診断 非効果的自己健康管理

関連因子:知識不足

診断指標:治療計画を毎日の生活に組み込むことができない

看護診断 ノンコンプライアンス

関連因子:計画された治療行動に関連する知識

診断指標:症状悪化の徴候、改善しない

看護目標

長期:1)適切な服薬行動によって最大の治療効果が得られる

2)副作用の徴候に気づき早期に医師に相談できる

短期:自分が服用している薬の目的や副作用を理解し、指示通りに服用できる

OーP

・症状の出現状況、程度の観察

・患者の疾患に対する認識の確認

TーP

・患者が服用している薬の種類、目的、服用方法、副作用について確認する

・ステロイド薬を服用中は勝手に中断しないよう指導する

・悪心が出現しやすい場合には、予防的に制吐薬を使用する時がある

・感染予防薬としてマスクの着用、手洗い、外出時に人込みを避ける、帰宅後の嗽を励行する

・全身を清潔に保つ、徳に口腔内、陰部の清潔に注意を払う

EーP

・患者家族に正しい薬剤の知識を持ってもらう

・治療計画について患者が理解できるように分かりやすく説明する

 

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#7慢性経過をたどることにより将来への不安が大きい

看護診断 不安

関連因子:健康状態に対する脅威、ストレス、役割機能に対する脅威、経済状態に対する脅威

診断指標:人生の出来事の変化による心肺を表明する、苦悩する

看護目標

長期:1)患者自らが不安を軽減するケアや活動に参加できる

2)疾患と共存して生活することを表明する

短期:1)心配事や不安感を表出し表情が和らぐ

2)不眠が解消される

OーP

・患者の言動、表情、態度

TーP

・患者が心配事や不安感を表出しやすい環境を作る

・患者が相談したいときにはいつでも応じられることを知らせておく

・患者と話し合い、うまく意思決定できるよう支援する

・家族や親しい友人の協力を得て気分転換を測れる工夫をする

EーP

・自分で実施できるリラックス法について指導する

・今後の生活設計が立てられるよう支援する

 

 

#8皮膚症状が進行し外見上の変化に対して困惑している

看護診断 ボディイメージ混乱

関連因子:疾患(皮膚の硬化、皮膚の色素異常)

診断指標:ライフスタイルの変化を言葉に出す、身体に対する否定的な感情

看護目標

長期:疾患を少しずつ理解することで外見上のコンプレックスが和らぐ

短期:悲観的な言葉が少なくなる

OーP

・皮膚症状に対する患者の言動、表情

・疾患の受け止め方

TーP

・患者の話に耳を傾け悩んでいることを表出するように勧める

・治療により症状が改善することを説明する

EーP

・皮膚の存在が悪化しないように清潔に保ちよく手入れをする。刺激の少ない石鹸、化粧品を使用する

・循環を促す軽いマッサージや運動を指導する

 

 

参考資料:疾患別看護過程

 

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