ウイルス肝炎患者の看護計画

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ウイルス肝炎患者の看護計画

#1知識不足により効果的に治療を受け肝線維化の進展を予防する行動がとれない

看護診断 非効果的自己健康管理

関連因子:知識不足、意思決定葛藤、ソーシャルサポートの不足

診断指標:治療計画を毎日の生活に組み込むことができない、危険因子を減少させうる行動をとることができない

看護目標

長期:継続中の治療に対してセルフケアを行うことができる

短期:1)自分の病状や治療内容、今後の治療について説明できる

2)指示された治療計画を管理していくために必要なセルフケア課題と生活習慣の修正について説明できる

3)治療や定期的な受診を継続し、悪化を最小限にとどめることができる

4)体調の変化や異常に気付き、医師や看護師に報告できる

OP

・生活習慣:飲酒、喫煙、過食、過労、ストレスなど肝臓に負担になる習慣が少ないか

・HCB感染伝播の予防行動の実施状況

・治療および悪化防止に対する意欲

・病状の進展状況:倦怠感、食欲不振、腹痛、出血傾向、腹水、浮腫、肝性脳症など、血液検査データ、肝生検、腹部超音波

TP

・必要に応じて指示された治療処置を行う

・患者家族が指示通りの治療処置を正しく行っているときは、努力を認め継続できるように励ます

・病状や治療計画に変化がある場合や患者家族の希望に応じて、医師や薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなどとの面談を設定する

・病状や治療計画に関する疑問や不安があれば率直に表現できるように環境を整える

・検査や治療に伴う苦痛、病状悪化に伴う症状の出現などが予測されるときはあらかじめ起こりうる状況や対処法を伝え、生体的に取り組めるように援助する

EP

・社会生活を送りながら焦らずきながに治療を続けるように指導する

・定期的に受診し、診察、血液検査、画像検査を受けるよう指導する

・病状、治療内容、個々の薬物の投与目的と作用副作用を正しく理解できるよう説明する

・規則正しくバランスの良い食事をする

・鉄の過剰摂取は肝機能悪化の要因となるため鉄分を控えた食生活を勧める

・1日7~8時間睡眠をとり規則正しい生活を送る

・禁酒を心がける

・肥満しないように適度な運動を心がける

・血液のついたものは共用しないことを説明する

・選択、食器、洋式トイレ、入浴などでは感染しない

・必要に応じて利用できる社会資源を紹介する

・家族や重要他者に病状や治療の説明を行う

 

#2インターフェロンの副作用のために苦痛が強い

看護診断 安楽障害

関連因子:インターフェロン治療の副作用

診断指標:治療に関連した有害作用(悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛、悪心、嘔吐、食欲不振、掻痒感、皮疹、脱毛)

看護目標

長期:インターフェロン治療に伴う苦痛が軽減する

短期:1)苦痛が緩和する

2)症状への対処方法を学習し、実施できる

OP

・バイタルサイン

・解熱薬の使用頻度、副作用の有無

・インフルエンザ様症状(悪寒、関節痛、頭痛、筋肉痛)

・セルフケア状況

・倦怠感

・言動、行動、表情

・睡眠状況

・精神症状

・検査データ

・注射部位(硬結、疼痛の有無)

・消化器症状(食事摂取状況、悪心、嘔吐、食欲、口内炎)

・貧血症状(立ちくらみ、頭痛、めまい、易疲労感、息切れ)

・出血傾向(皮下、粘膜の出血)

・皮膚症状(皮疹、掻痒感)

・呼吸器症状(咳、痰)

・脱毛

TP

・症状が強い場合は必要に応じてADL援助を行う(清拭、更衣、洗髪など)

・発熱時は解熱薬の投与、クーリングを行う

・関節痛、頭痛、筋肉痛のある場合は医師と相談して鎮痛薬の投与をする

・筋肉注射部位による疼痛・皮膚症状の予防:注射部位は上腕三頭筋とし左右交互に注射す

る。注射前に50度の加温したホットパックを15分貼用する。筋肉注射後2分間のマッサージを行い、再度ホットパックで15分温める。

・皮膚のかゆみに対し保湿剤、抗炎症薬、抗アレルギー薬の軟膏や経口薬で対処する

・血小板や白血球の減少時は皮膚や粘膜からの出血に注意する、打撲をしない、感染予防策

・脱毛への援助:脱毛は治療開始後3カ月以降に出現する、脱毛に対する患者の思いに傾聴する、脱毛がストレスになっているときは帽子バンダナかつらなどの装着を勧める

EP

・今後の治療の計画を説明する

・出現しやすい副作用について、初期・中期・晩期の経過を追って説明する

・貧血症状に対しては一つ一つの動作をゆっくり行う、活動後は十分に休息をとるように説明する

・苦痛が強い場合は身の回りの援助を看護師が行うことを説明する

・インターフェロン治療開始から3日間は体温を1~2時間おきに測定し記録する

・体調自己管理記録の活用について説明する

・症状を我慢せず訴えるように説明する

・症状出現時の対応を説明する

 

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#3インターフェロンの副作用により睡眠パターンに混乱をきたしている

看護診断 不眠

関連因子:薬物治療、入院環境、抑うつ

診断指標:患者が睡眠持続困難を訴える、患者が入眠困難を訴える、患者が早期覚醒を訴える

看護目標

長期:夜間の睡眠を確保することができる

短期:1)熟眠感がある

2)意識して生活リズムを整えることができる

OP

・睡眠状況

・熟眠感

・睡眠の中断回数、夜間排尿回数

・日中の倦怠感、日中の睡眠の有無

・睡眠薬の使用の有無、種類と量

・解熱薬の使用の有無

・気分の変化(抑うつ、イライラ感)

・表情、意欲

・疾患の受け止め方

・コーピングパターン

TP

・患者が安静に入眠できる環境を整える、騒音を減らす、室温を少し涼しくする

・患者の訴えを傾聴する

・睡眠薬の内容と量について検討と評価をする

・精神症状がある場合、精神科医と連携をとる

EP

・就寝時刻と起床時刻を規則正しく説明する

・日中の睡眠が多すぎる場合は、日中の睡眠を短くするように説明する

・日中の活動予定を立て適度な運動で心地よい疲労感を得るよう説明する

・ストレスの原因を除去できる法を、患者や家族と一緒に考え気分転換を図る

・一人で辛いことを抱え込まないように説明する

・抑うつ不眠食欲低下などは家族からの情報提供が重要であることを説明する

・入院中から退院後の生活に合わせたリズムを作り、徐々に入院前の生活に戻していくように説明する

 

 

#4治療や疾患・予後に対する不安がある

看護診断 不安

関連因子:健康状態の変化、健康状態に対する脅威、経済状態の変化

診断指標:心拍数の増加、不眠、血圧上昇、呼吸数増加、倦怠感、落ち着きがない、発汗の増加、緊張の増大、イライラ、他者を非難する傾向

 

看護目標

長期:疾患や予後に対する不安が軽減され、納得して治療を受けることができる

短期:1)疾患や治療、予後に対する不安を表出できる

2)適切なコーピングを用いることができる

 

OP

・表情、言動、行動

・疑問や知りたいことはないか

・疾患や治療の理解の状況

・身体症状、治療の副作用の程度

・これまで出現している副作用とその経過

・検査結果

・今後の治療計画の内容

・セルフケア指導に対する患者の反応

・セルフケア継続に関する患者の認識

・ストレスコーピングパターン

・仕事内容、家族での役割

・家族、職場、周囲の疾患への理解や協力

・病室内の人間関係

・社会資源活用についての知識

TP

・患者の希望で落ち着いて話ができる環境を整える

・質問には正確に答える

・検査や治療計画の説明

・患者と医師との調整

・身体的症状の緩和

・共感的態度で接する

・医師の説明の際はできる限り同席する

EP

・学習の機会を設ける

・パンフレット、書籍の活用

・セルフケアを維持するための指導:ストレスの軽減

・家族や周囲の人の理解や協力を得る

・患者会や研修会の紹介

・利用できる社会資源の活用法

・いつでも疑問や質問に対応できることを説明する

 

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#5インターフェロンの副作用により食事を摂取できない

看護診断 栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

関連因子:薬物治療の副作用、ストレス、うつ状態

診断指標:1日推奨食物摂取量より少ない不十分な食物摂取の訴え、理想体重より20%以上少ない体重、筋力低下、血清アルブミン値の低下

 

看護目標

長期:活動レベルと基礎代謝量に合わせて、必要な栄養を摂取できる

短期:自分なりに食べる工夫を行う

 

OP

・食欲不振、悪心、嘔吐の有無、倦怠感

・食事、水分摂取

・体重、BMR、体重の増減

・栄養状態:総蛋白、アルブミンなど

TP

・1日の食事の摂取目標量を患者と相談する

・患者の食事の好みに応じて食事を提供する

・家族に協力を依頼し好みのものを差し入れてもらう

・食事の雰囲気を楽しく気分が落ち着くようにする

・食事時間の前後に処置は行わないようケア計画を立てる

・食事摂取の前後に歯磨き、口を漱ぐ

・胃腸の動きが低下して食欲がない場合、肝疾患用の栄養剤や消化管運動改善薬を主治医と検討する

・味覚異常が出現した場合、亜鉛の血中濃度が低下していれば亜鉛が入った胃薬が効果を期待できるため主治医と検討する

EP

・できるだけ自分の好きなものを食べる

・熱の下がっているときに食べる

・あっさりしたものを食べる

・三度の食事が入らないときは、気が向いたら軽食を食べる

・食欲がない時にお勧めの食品を紹介する

・味覚異常に対して、酸味や香辛料などで工夫をする

 

参考資料:疾患別看護過程

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