真空管採血の仕方と輸血時の血液製剤の温度について
真空管採血の仕方
真空管採血が推奨されているが、その落とし穴は?→感染の危険性がゼロになったわけではない。
医療従事者の針刺し事故並びにそれに伴う医療従事者の感染を回避する為に真空管採血が推奨されるようになった。
しかし真空管採血を行っても医療従事者の感染の危険性がゼロになったわけではない。そのため、手技上の留意点も含め理解しておく必要がある。
また血管が細かったり大量採血が必要な時は真空管採血では困難な場合もあり、その際はシリンジ採血を行うことが必要になる。
真空管採血時の手技のポイント
- 採血ホルダーもディスポーザブルにする。採血ホルダーに血液が付着することで相互の感染の危険性がある。
- 複数の真空採血管に採取する際、採血管の順番を間違えない。①血清用②凝固検査③ヘパリン④EDTA⑤解糖阻止薬⑥その他。採血管内の薬液が他の採血管内に混入することを予防する。薬液によっては検査値が変動する可能性がある。
- 真空採血管は室温に戻してから使用する。
- 患者にはアームダウンの姿勢をとってもらう。
- 真空採血管に血液が流入して倦怠採取が終了してから、ホルダーから採血管を外し駆血帯を外す。
真空管採血では採血困難な場合
- 血管が細い、あるいは脱水などの原因で血管が虚脱している場合、真空採血管の吸引圧では血管壁にくっつき血液の採取が出来ない場合。
- 血管が細く真空採血管では穿刺できない場合。
- 大量の採血が必要な場合(採血心のゴムカバーが劣化する為血液汚染の可能性が増大する)
- 体外循環回路や動脈ラインからの採血
採血前の食事や点滴が検査値に影響を与えることはあるのでしょうか?→血糖値や電解質など様々な検査値が変化する。
起床時は身体の基礎代謝が最も安定している。食事た点滴を行った後に採血を行うと血糖や電解質などの種々の値が変化してしまう。そのため本来の生体反応を表す値を得ることが出来ず、患者の状態を見誤る可能性がある。採血は原則として起床時に行う。
変動因子の影響を少なくする
- 身体内でのホルモンバランスや酵素などは、運動や食事、服薬などにより日内変動し代謝に影響する。
測定する時刻を一定に
- 測定する時刻にばらつきがない方が同じ患者のデータであっても比較しやすい。
- 同じ条件下で測定できるように起床時の空腹時に採血を行うことが多い。
データの背景を知る
- データを見ることは体の反応を見ることである。
- データから酵素や成分が体のどの部分で産生され消費されていくのかまたは破壊されていくのかを理解することで、食事や運動服薬の影響の有無を知ることが出来る。
輸血時に血液製剤を加温しなくてもよいと教わったが、冷蔵庫から出してすぐ使用しても良い?→冷蔵庫から出してすぐの使用や急速投与、小児では加温が必要。
溶血の原因となるため、通常の輸血では加温は不要である。
しかし冷蔵庫から出してすぐの赤血球製剤は5度程度の為適温に戻してから患者に投与する必要がある。また急速大量投与や小児の場合などでは加温が必要である。
目的は低体温予防
- 輸血時に加温する理由は、患者の低体温を予防することが目的である。
- 不整脈や血圧の低下、代謝の低下など身体への悪影響を予防することが出来る。
- 最悪の場合心停止に至ることがあるため加温が不要になった現在でも注意が必要である。
過剰な加温による事故
- 赤血球製剤は通常2~6度で保存されており冷蔵庫から出したばかりの製剤をそのまま患者に投与することは低体温の原因となり危険である。
- しかし血球成分は42度を超えるとタンパク変性し血球成分の破壊により溶血を起こす。
- そのため過度の加温も危険である。
血液製剤投与時の適切な温度とは
血液製剤の投与は30~37度程度で投与することが望ましいとされ37度を超えないことが原則である。臨床では患者に輸血される直前のルート部位で体温程度であれば加温の必要はない。
参考資料:看護技術ケアの疑問解決Q&A