聴神経腫瘍患者の看護計画
#1聴神経が圧迫されることによる感覚の欠損・減弱および耳鳴、それらに伴うコミュニケーション障害がある
看護診断 感覚知覚混乱:聴覚
関連因子:感覚の統合・伝達・受容の変調
診断指標:通常の刺激に対する反応の変化、コミュニケーションの障害
看護診断 言語的コミュニケーション障害
関連因子:解剖学的障害
診断指標:通常のコミュニケーションのパターンの理解・維持するのが困難、選択して傾聴するのが困難
看護目標
長期:コミュニケーションが円滑には彼満足感が高まる
短期:1)感覚過負荷の症状(耳鳴り)が減少したと表現する
2)他者への理解が回復する
3)自分自身を表現する能力が高まる
4)他者へ接触しようとする姿勢を示す
OP
・聴力の程度
・耳鳴りの程度と音の特色
・他者の話の聞き取り、内容理解の程度
TP
・聴力や理解力を補強する(聴覚が良い側から話しかける、患者の正面を向いてはっきりと明瞭に話す、ジェスチャーやタッチングを用いる、別の効果的なコミュニケーション手段がないか模索する)
・他者の話が聞こえやすいように配慮する(不要な騒音をなくし静穏な環境を提供する、同時に複数の人が話しかけない)
EP
・患者の伝えたいことが他者に理解できるような方法を工夫するように指導する(唇を正しく動かして明瞭に発音するように指導する、効果的な非現実的コミュニケーション手段・ジェスチャーやタッチングなどを用いるよう指導する)
#2聴覚障害、耳鳴および顔面神経麻痺による構音障害によりコミュニケーションがうまく図れず、会話への参加回避によってひきこもる、あるいは孤立感を抱いている
看護診断 社会的相互作用障害
関連因子:コミュニケーションの障壁
診断指標:他者との相互作用がうまく機能していない、まずい社会的相互作用の使用
看護目標
長期:患者は社会化に対して満足感が高まったと表現する
短期:1)他者への理解が回復する
2)自分自身を表現する能力が高まる
3)他者へ接触しようとする姿勢を示す
4)社会化を促進する新しい行動を見出す
OP
・他者の話の聞き取り、理解の程度
・聴覚が減弱・消失したことに対する反応
・コミュニケーションが困難であることの患者の思い、考え
・他者とのかかわり方
TP
・聴力や理解力を補強する(#1参照)
・患者の話を理解するために努力する、聞く時間を十分にとる、理解したふりをしない
・意思疎通ができない欲求不満に対して患者の訴えを受容的に聞く
EP
・患者の伝えたいことが他者に理解できるような方法を工夫するように指導する
・患者家族に対して患者との会話の持ち方について説明・指導する
#3聴神経が圧迫による聴力障害、前庭機能障害(平衡感覚障害)小脳圧迫による小脳運動失調により店頭の危険性がある
看護診断 転倒リスク状態
危険因子:聴覚障害
看護目標
長期:身体を損傷しない
短期:1)身体損傷の危険を自ら回避するための保護行動ができる
2)音以外の手段で物理的に危険な状況にあることを察知できる
OP
・めまいの訴え
・歩行状態
・ふらつきや歩行障害に対する患者の認識
TP
・歩行時に付き添う
・ベッドの高さを最低にする
・病室廊下などの環境を整備する
・危険が迫っていることを患者が知覚するための音以外の手段を見つける
EP
・症状に応じて一人歩行を控え、看護師を呼ぶように説明する
・足に合った滑りにくい履物を吐くように患者家族に説明し準備してもらう
#4症状の進行と新たな症状の出現により生物学的統合性(自己概念)に対する脅威に関連した不安がある
看護診断 不安
関連因子:健康、役割機能、自己概念に対する脅威
診断指標:脈拍数の増加、血圧の上昇、不眠、落ち着きがない、焦燥感
看護目標
長期:心身の安楽が増したと表現する
短期:1)不安であるという感情を他者へ表現する
2)不安が少しでも軽減したと表現する
OP
・バイタルサインの観察
・消化器症状などの全身症状
・表情、声の調子、落ち着き、注意力の観察
・睡眠状況
TP
・共感的理解を示す(患者のそばに付き添う、タッチングする、ゆったりとした時間を持ち訴えを聞く)
・過剰な刺激を除去する(可能であれば個室にする、不安を抱いている人を近づけない)
EP
・不安を解消する方法を教える(呼吸をコントロールする、肩の力を抜く)
#5顔面神経・三叉神経麻痺による涙液減少、顔面知覚異常や瞬目反射異常に関連した角結膜乾燥・損傷がみられる
看護診断 組織統合性障害:角膜
関連因子:組織循環の変調、機械的摩擦
診断指標:損傷を受けた組織、破壊された組織
看護目標
長期:1)角結膜が損傷(乾燥)しない
2)継続的に自己管理(点眼)ができる
OP
・閉眼、瞬目の可否と角膜の乾燥の程度
・瞬目反射の有無と程度
TP
・点眼薬の投与
EP
・点眼薬の必要性と具体的方法を説明する
#6顔面神経・三叉神経麻痺による咀嚼困難、舌咽・迷走神経麻痺による嚥下反射遅延により摂食・嚥下障害がある
看護診断 嚥下障害
関連因子:脳神経の関与、口腔咽頭の異常
診断指標:食塊形成の遅延、嚥下の遅延
看護目標
長期:誤嚥せずに必要な栄養が摂取できる
OP
・口腔への食物の取り込と保持(食べこぼしの有無)咀嚼の程度
・嚥下の様子、むせの有無
・呼吸全般
TP
・食事の前に肺理学療法、肺痰(気道分泌物除去)を行う
・食事前後の口腔ケアを行う
・食塊形成しやすい食物を選択する
・咽頭への送り込みがしやすい退位を工夫する
EP
・食事前に肺痰の必要性と方法を説明し、患者自らが実践できるように指導する
・食事前後の口腔ケアの必要性を説明する
・嚥下時には意識的に口を閉じるように説明する
参考資料:疾患別看護過程