糖尿病の看護診断・損傷の潜在的状態
看護診断:経口糖尿病薬またはインスリン療法から二次的に起こる低血糖に関連した損傷の潜在的状態
看護目標
低血糖を認識し、予防することによって損傷を防ぐ
徴候と症状
震え、発汗、動悸、視野が曇る、頻脈、錯乱、意識障害
看護介入
① 疲労、衰弱、頭痛、発汗、震え、動悸、不明瞭な言い方など低血糖の症状を評価する
② もし患者が低血糖になったら、次のような処置をとる
・安全な環境を提供し、休養するように勧め発作の予防策を指導し医師に知らせる
・意識のある患者にはすぐ効く糖類を0~15グラム与える(例えば飴5~6個)15分間様子を見てもし必要なら繰り返して与える。それから食事をとるようにさせる
・意識のない患者にはグルカゴン1mg皮下注射か50%ブドウ糖液1A静脈注射する
③ 患者の普段の食習慣をモニタする。患者の経済的制約、会わない義歯、歯の喪失、薬の副作用、認識障害などが患者の低血糖にかかわっていないか調べる
④ 患者のアルコール消費量をモニタする
⑤ 患者の身体的活動を再検討し必要なら変えるよう提案する
⑥ 経口糖尿病薬が低血糖の原因となっていないか考慮し、医師に投与量の調整の必要性について相談する
⑦ インスリンの投与量を正確に増量する能力を妨げるような視覚障害、認識障害、身体的障害があるかどうかを評価する
⑧ 視力の弱い患者にはテステープを読むより血糖測定器を使用するように勧める
⑨ 低血糖を起こす可能性のある原因について治療内容を再検討する
⑩ 患者が適切にバランスのとれた食事をとっているかを確認するため、家族、隣人、栄養サービス、食事宅配、ホームメーカーサービス、老人デイケアセンターなどの様子を尋ねる
⑪ 低血糖を起こす危険性の高い患者には血糖値をモニターするよう指導する。1日に頻回のインスリン注射を受けている不安定な糖尿病の患者は、重症のケトーシスや低血糖を引き起こす傾向がある。また低血糖を警告する症状を伴わない低血糖発作を経験する不安定な糖尿病の患者は危険性が高い
理論的根拠
① 低血糖の早期発見は悪化する前に軽い反応のうちに抑えることができる
② 素早い処置が低血糖によるショックを患者が起こすのを防ぐのに必要である
・重症の低血糖では意識喪失や発作を起こす原因となるので、安全な処置は重要である
・素早く糖質を吸収することで血糖値を高め、低血糖症の症状を回復させる
・グルカゴンは肝臓からグリコーゲンの有利を促しその結果血糖値は上昇する
③ これらの問題は患者が食事をしなかったり、一食抜いたり食事を遅らせたり、削減したりする原因であり血糖値が下がる原因となっている
④ アルコールは肝臓がグルコースを放出する原因になり、夜間低血糖を起こす原因になる
⑤ 運動をすることで筋肉がグルコースを取り込み、血糖値を下げる原因になっている
⑥ 経口糖尿病薬は長時間作用する代謝産物を含んでおり、腎疾患または肝疾患の患者に重症の低血糖を起こす原因となる
⑦ 服用量を間違えると低血糖を起こす原因となりうる
⑧ テステープを色表と比較して得る血糖値より、血糖測定器のほうがより正確な結果が得られる。患者が色票を読み間違えてインスリンを多量に打つと低血糖になる
⑨ 血清蛋白質との結合性が高い薬、例えばワルファリン、非ステロイド性抗炎症薬は糖尿病治療薬とタンパク質との結合部位を競合する。そのため遊離型スルホニル尿素を増大させ、これが低血糖の原因となる
⑩ 地域社会の資源は患者が自活している間の適切な栄養を得るうえで役立つ
⑪ 血糖値の自己モニタリングは患者が血糖値をコントロールするのに役立つ。これによって急性慢性合併症を減らすのに役立つ
患者目標
正しい食事療法に従い、低血糖の症状や徴候をモニターして、正常血糖値を維持することができる
参考資料:看護診断に基づく高齢者看護ケアプラン