疾病の理解・転倒、転落
疾病の理解・転倒、転落
転倒・転落の原因
転倒転落は身体拘束せず、自立支援を促進する介護と、リスクを回避し安全を守ろうとする介護の間で起こっている
転倒転落は骨折や硬膜下血腫、場合によっては硬膜外血種などの緊急事態、あるいは生命にかかわる事態を引き起こすことがある
環境の整備
転倒転落防止に対してリスクの大きい環境は、直ちに改善しなければならないし、施設や家具の安全に対して定期的な点検評価をしなければならない
① 家具類
・ 端座位になったとき、90度でひざを曲げて足底が床につくようにベッドの高さを調節できる
・ 立ち上がる時、支えになる柵やポールが手の届くところにある
・ ナースコールに手が届く
・ 床頭台に物を置くとき、不自然に体をひねったり伸ばす必要がないようにする。床頭台は手をついたり体重がかかっても動かないようにしておく
・ ベッドのキャスターは簡単に操作できる。ただし座っているときにベッドが動かないようにストッパーをかける
・ ベッド柵は転げ落ちたり、隙間から頭や足、体などが落ちないようにする
・ 居室のベッド周囲には、足を引っかけたり躓いたりする障害がない。キャスターは格納する
・ 椅子は膝を曲げて足底が床につく高さで、肘掛けを作る
・ テーブルの高さは椅子や車いすとのバランスをとる
・ 椅子やテーブルは利用者がバランスを崩したとき支えられるだけの強度と安定を保つ
・ 車いすには利用者に合わせたシーテイングの工夫をする
・ センサーマットや衝撃緩和マットなどにはたるみがなく、躓かないようにする
② 床の表面
・ 床には段差がない。じゅうたんが敷いてある場合、しっかりと固定する
・ 床は濡れて滑ることがないように留意する
③ 廊下
・ 廊下には、通行の障害になるようなものを置かない。車いすなどは所定の場所に収納されている
・ 廊下の手すりはしっかりとしたもので、はっきりとわかるように設置する
④ トイレ
・ トイレには適切で安全な手すりを付ける
・ 床は滑らないようにする
・ 車いすが入り、移乗できる十分なスペースを確保する
見守り体制
転倒転落の事故は居室内で起こることが多く、特にベッド周辺での立ち上がりや移乗時に多い。またベッドからの転落はベッド柵の隙間から、あるいは柵を乗り越えて起こる
骨折などを予防し安全を優先し身体拘束を行う場合もある。身体拘束せず見守り体制を充実していくことが重要である
① センサーマット
センサーマットにも様々なタイプがある
・ ベッド脇に敷くもの:徘徊をする人、一人歩きに危険性のある人がまっとをづんだ時にセンサーが働く
・ マットレスの端に置くもの:転倒転落の恐れのある人がベッドの端に寄った時にセンダーが働く
・ ベッド柵に置くもの:ベッド柵を乗り越えたり外す人が、ベッド柵を握ったときや開けた時などに働く
② ベッド柵対策
ベッド柵の隙間を狭くしたり、柵と柵の間に隙間のあるものではスペースをふさぐための安全バーをつけるなどの対策が必要である
③ 衝撃緩和マット
衝撃緩和マットを敷くことにより、予知できなかった転落の衝撃を緩和し、外傷の軽減を図ることができる
④ 安全パトロールの実施
見守り体制はハード面の充実だけでは得られず、装置や器具が正しく置かれ、正しく作動するかなどを絶えず点検することが重要である
またリスクを回避するための定期的な安全パトロールを実施する
事故発生時の対応
① 事故が発生した場合の対応の流れ:
転倒転落誤嚥などの重大事故→医師診察→必要な処置→事故報告書の作成→事故対策検討会→公的機関への報告
② 公的機関への事故報告
重大な事故については、市長村の保健部など所定の部署に所定の様式で報告を行う。報告書は「入所及び利用者などの負傷・死亡報告」と「改善計画」の2部よりなっている
参考資料:高齢者ケアガイドブック