糖尿病の看護診断・体液量の不足
看護診断:HNKDSによる異常な水分喪失に関連した体液量の不足
看護目標
正常な血漿量に戻し、血糖値を下げ、体液・電解質バランスを保持する
徴候と症状
血糖値の上昇。血圧低下、脈拍増加、血清クレアチニン値上昇、低ナトリウム血症、急性錯乱、せん妄、意識混濁、意識消失、重症な脱水
看護介入
① 高血糖の症状と徴候を評価する。頻尿、頭痛、嗜眠状態、胃痛、早い呼吸、呼気の甘ったるいにおい、吐き気や嘔吐などがある
② 指示に従って血糖、血清浸透圧、電解質、尿素窒素、クレアチニン、ヘモグロビン、尿比重、動脈血ガス分析などの検査に必要な検体を採取する
③ ケトンの有無について尿を検査する
④ 補液療法を指示に従って指導する。12時間から24時間かけて4リットルかそれ以上の点滴を行う。等張生理食塩溶液を始めて、患者の血糖値が安定すればブドウ糖溶液に変える
⑤ 補液の間、うっ血性心不全の症状と徴候を評価する。このような症状に気づいたときは医師に知らせる
⑥ 指示により、血糖値やその他の検査成績に応じて、インスリンを静脈投与する
⑦ 低カリウム血症、不整脈、低血圧、じん不全、血栓症といった高血糖やケトンアシドーシスの合併症の観察をする
⑧ 重症の高血糖やHNKDSを突然引き起こす諸要因、例えば、新しい薬の投与、急性疾患、血糖値あるいはケトン値の増加の報告、感染症を確認する
理論的根拠
① インスリン依存型糖尿病の高齢者における重症の高血糖は、血統をエネルギーに変えるインスリンが不十分な時、そのエネルギーとして体脂肪を取り崩し始める
② これらの検査成績は、患者の水分バランスと組織や腎臓の体液循環の状態を反映する
③ 重症の高血糖の発作中は、ケトン物質の一つであるアセトンが尿中に分泌される
④ 多尿は細胞内脱水やHNKDSを引き起こす。十分な補液は血管内血液量を増大させる。特別な組成の補液は低血圧の程度や電解質のバランスに応じて通常は指示される
⑤ 高齢者は心筋予備能の低下のため急速な補液により、うっ血性心不全を起こす可能性がある
⑥ インスリンは細胞や肝臓へグルコースを押し込み、それによって高血糖を改善する。末梢循環が低下している重症の脱水の患者では、皮下注射や筋肉注射によるインスリンの吸収は弱いので、インスリンは静脈投与される
⑦ 高血糖やケトアシドーシスは脱水や塩類減少の原因となる。インスリン療法により細胞がグルコースを取りこむとき、血清カリウム値が急激に下がる。このことは心疾患を根底に持つ患者には致命的なことがある。特にカリウム保持性でない利尿薬を使っている患者には危険である。不整脈はカリウム異常と急速な水分補正の結果起こる。
⑧ 適時に原因となる要因を確認することは、重症の高血糖やHNKDSの再発を防ぐ。利尿薬やβ遮断薬を使用している患者は十分な体液をとってないことがある。急性疾患では血糖値、そしてケトン値の上昇の原因になる。血糖値やケトン値の上昇の検査成績はまだ確認されていない病気の徴候の可能性がある。感染症は高齢者の高血糖の主な原因である
患者目標
・ HNKDSは進展することがない
・ 適切な介入の開始後、患者の血糖値は正常に戻ることができる
参考資料:看護診断に基づく高齢者看護ケアプラン