外科的ケアの看護診断・体液量の不足
看護診断:手術中の体液異常喪失に関連した体液量の不足
看護目標
補液と電解質補正を行い、体液バランスを正に保つ
徴候と症状
低血圧、体温上昇、乏尿、筋脱力、頻脈、皮膚緊張低下、皮膚や粘膜の感想、吐き気と嘔吐、錯乱、ヘマトクリッチ値上昇、多量の創部からの排液
看護介入
① 患者の精神状態を評価し、明らかの変化の見られる場合は医師に報告する
② 患者のバイタルサインをモニターし、異常変化のあった場合は医師に報告する
③ 水分経口摂取量、排せつ量、体重をモニターし必要であれば、水分摂取量の増加に努める
④ ヘモグロビン値、ヘマトクリッチ値を調べ、著明な変化があれば医師に報告する
⑤ 患者の電解質バランスを調べ、すべての不均衡について記録する
⑥ 術創部よりの出血や排液について評価し、すべてのチューブやカテーテルよりの排液量についてモニターする
⑦ 補液や中心静脈栄養の必要について評価する
⑧ 心機能についてモニターし、不整脈に対しては医師の指示により薬剤を投与する
⑨ 間質性浮腫があるか、皮膚緊張を評価する
⑩ 患者の体液喪失について決定を下す際には、既往歴についても考察する
理論的根拠
① 中等度の体液喪失は高齢者の精神状態に影響を与える。医師は体液不足を補うために補液の指示を出す
② 体液喪失は心機能に問題を起こす原因となる。高齢者は手術のストレスによる抗利尿ホルモンやアルドステロンの過剰分泌、また高齢者の心臓血管系は若い患者に比べ順応性に欠けるなどにより、循環血液量減少に陥る危険が高い
③ 水分摂取量と排液量、体重をモニタすることにより、正確な水分バランスを知ることができる。尿量は水分補給の程度を決めるのに役立つ
④ これらの値は術中の出血や術創部出血による貧血を明らかにする
⑤ 電解質バランスの不均衡は、腎臓による電解質の再吸収と排せつの機能が正常に営まれなくなった際に起こることが最も多い
⑥ 中等度の出血また体液喪失であっても、高齢者においては電解質不均衡を起こしうる
⑦ 中心静脈栄養により全必要栄養を長期にわたり供給できる
⑧ 不整脈は低酸素症の原因となる。低酸素症は多臓器不全を導く危険がある
⑨ 皮膚緊張により、水分バランスを排泄できる。浮腫は間質液増加を意味する
⑩ うっ血性心不全などの慢性疾患は体液移動に影響する。看護師は水分貯留、電解質不均衡が急激に出現しうることを知っておく必要がある
患者目標
・ 適切な水分摂取を維持することができる
・ 電解質値を正常域内に維持することができる
参考資料:看護診断に基づく高齢者ケアプラン