すい臓がん患者の看護計画
#1血統コントロールが適切に行えない
看護診断 血糖不安定リスク状態
危険因子:癌または治療による膵機能低下、糖尿病管理に関する知識不足、診断に対する受容の欠如
看護目標
長期:血糖値と食事・薬物投与の関係を理解し、血糖値をコントロールするための適切な生活習慣・行動を継続できる
短期:1)血糖コントロールの必要性と必要な行動を理解できる
2)血糖コントロールに必要な行動を自ら適切にとれる
OーP
・空腹時血糖値、HbA1cのデータ
・食事内容と摂取量
TーP
・血糖値自己測定や内服管理、インスリンの自己注射などが適切に行えていることを見守り患者にフイードバックする
EーP
・疾患や治療による影響と血糖コントロールの必要性を説明する
・血糖値を安定させるための食事療法について家族を含めて指導する
・血糖降下薬の薬効と投与方法について説明する
・低血糖時の症状と対処方法を説明する
#2ドレーン管理が適切に行えない
看護診断 非効果的自己健康管理
関連因子:治療計画の複雑さ、知識不足
診断指標:指示された治療方法を実施するのが難しいと言葉に出す。危険因子を減少させる行動をとることができない。治療計画を毎日の生活に取り込むことができない
看護目標
短期:1)ドレナージが安全・確実に行われる
2)ドレーンを装着していることによる苦痛・不快が軽減される
3)ADLが拡大できる
OーP
・各ドレーンからの排液の量・性状
・固定テープなどによる皮膚障害の有無
TーP
・ドレーンの逸脱や屈曲がないよう適切に固定する
・排液バッグ、ボトルを身体の下方に位置させドレーンを挿入部より上に持ち上げずに管理する
・離床時や体動時にドレーン類が過緊張とならないよう排液バッグ・ボトルと身体との距離を安定させる
EーP
・各ドレーンの目的と抜去の目安をわかりやすく説明する
・ドレーンを屈曲させたり引っ張ったり、排液を逆流させないよう取り扱い方法を指導する
・必要に応じて排液バッグ・ボトルの排液破棄方法を説明する
・ドレーン類があっても身体を動かせることを説明し安全な方法を指導する
#3消化吸収が阻害されることにより栄養状態が低下している
看護診断 栄養摂取消費バランス異常:必要量以下
関連因子:栄養素の吸収ができない、下痢
診断指標:1日推奨食物摂取量より少ない不十分な食物摂取の訴え。理想体重より20%以上少ない体重。血清アルブミン値の低下
看護目標
長期:栄養状態が低下している身体状況を理解し、消化・吸収を向上させるための行動や日常生活の工夫を継続できる
短期:1)消化酵素薬の服用の必要性を理解し、正しく服用できる
2)栄養状態を向上・維持するのに適した食事摂取方法を理解し実施できる
OーP
・食事摂取量と内容
・排便の状況と便の状態
・体重
・血液検査データ
TーP
・消化酵素薬服用について医師、薬剤師と相談する
・栄養補助食品、経口成分栄養剤などの摂取について医師、栄養士と相談する
EーP
・すい臓の働きと消化・吸収の関係についてわかりやすく説明する
・消化しやすい食物摂取の必要性と具体的方法について説明する
・消化酵素薬の服用の必要性と方法を説明する
#4疼痛や不快感により活動が制限される
看護診断 身体可動性障害
関連因子:不使用、筋肉のコントロール減退、不快感、疼痛
診断指標:労作性の息切れ、歩行の変化
看護目標
長期:1)活動を制限する苦痛や不快感が軽減される
2)ADLが拡大・維持される
OーP
・疼痛の部位、程度、変化とその要因
・その他の身体症状:悪心、嘔吐、倦怠感など
・装着物などの状況
TーP
・医師と相談し適切な薬物投与により疼痛をコントロールする
・活動を制限する原因となる症状を軽減する
・ドレーンなどを適切に管理し活動への影響を最小限にする
EーP
・痛みは我慢せずに表出することの必要性を説明する
・鎮痛薬の効果や副作用などについて説明する
・ドレーンなどが装着されていても安全に活動ができることと、その具体的方法を説明する
#5下痢を起こしている
看護診断 下痢
関連因子:吸収不良、手術侵襲に続発
診断指標:少なくとも1日に3回の軟らかい液状の便を排出
看護目標
長期:下痢を軽減する生活行動を身につけて習慣化するとともに、下痢が日常生活に与える影響を最小にしながら生活を送ることができる
短期:1)必要な薬物療法について理解し正しく服用することができる
2)下痢が悪化・軽減する要因や食事について理解し軽減するための行動をとることができる
3)下痢によって起こる身体生活への影響を理解し、それらを予防するための行動をとることができる
OーP
・便の回数、量、性状
・排便に伴う苦痛症状の内容・程度
TーP
・医師と相談し適切な下痢止め、整腸薬などを投与する
・十分な水分補給を行い脱水を防ぐ
EーP
・下痢の原因についてわかりやすく説明する
・下痢を起こしやすい・起こしにくい食品と摂取方法について説明する
・水分補給、肛門部の保清など下痢によって起こる二次的障害を防ぐための対処法を説明する
#6病状や治療に対する不安がある
看護診断 不安
関連因子:自己概念に対する脅威、健康状態に対する脅威、環境の変化
診断指標:恐ろしい、怖い、緊張の増大、問題解決能力の減弱、相手を非難する傾向
看護目標
長期:1)不安の内容を具体的に表出できる
2)知識不足によって起こる不安が解消される
3)不安を自覚しながらも落ち着いて過ごすことができる、または自ら不安を軽減することができる
OーP
・疾患や病状に対する理解
・言語化される不安の内容、程度
・表情、言動、他者とのコミュニケーション、食事摂取、睡眠などの状況
TーP
・不安を表出しやすい態度で接する
・不安の原因を具体化する
・落ち着いた環境、十分なコミュニケーションを提供する
・医師と相談し必要に応じて精神安定薬、睡眠薬などの投与を検討する
EーP
・不安を抱くのは自然な反応でありいつでも表出して良いことを十分説明する
・不安の原因が疾患・治療についての知識不足や誤った離開である場合、その内容について説明する
・患者にあったリラクゼーション法、気分転換方法を一緒に考え具体的方法を指導する
・精神安定薬、睡眠薬などの服用も可能であることを説明する
参考資料:疾患別看護過程