創傷治療過程と消毒について

  創傷治療過程と消毒について

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創傷治療過程と消毒

創傷はどのような治療過程をたどるのですか?また消毒の必要性は?→創傷治癒過程を考慮して消毒薬を用いる

創傷は手術創のような急性創傷と褥瘡や下肢潰瘍のような慢性創傷があり、治癒形態が異なる。

またそれぞれ創汚染の状態も異なる。増殖期に消毒薬を使用することは細胞活性に影響を与えると考えられている。

創傷治癒過程を理解する

①創傷の治癒形態
  • 一次治癒:感染がない外科手術創などは、受傷直後に縫合して治癒させる
  • 二次治癒:組織の欠損が大きく創を縫合することが出来ない場合や感染が予測される場合は開放創のまま瘢痕治癒させる
  • 三次治癒:感染颯は一定期間、開放創として処置し創が清浄化したのちに縫合し治癒させる
②創傷治癒過程

創傷治癒過程には炎症期、増殖期、成熟期がある。

  • 炎症期:受傷直後から炎症細胞の遊走、血小板による止血作用や生理活性物質の分泌が行われる。これを経ておよそ48時間で上皮化が完了する。
  • 増殖期:血管新生、線維芽細胞の増殖、肉乂組織を形成する。増殖期は約3週間続く
  • 成熟期:コラーゲンが架橋され、創部の強度が増し成熟期は1年以上続く。真性ケロイドになるのはコラーゲン申請が過剰に生じたものになる。

消毒は必要なのか

  • ヨウ素は免疫細胞を活性化させ過剰なプロテアーゼを抑制するなどの有効性から創傷の消毒にポビドンヨードが用いられている。
  • ポビドンヨードは広い好酸性物スペクトルを持ち、手術部位の皮ふや創傷部位をはじめ粘膜にも使用は可能でウイルスや抗酸菌にも有効な消毒薬である。
  • ポビドンヨードは蛋白や血液などの有機物と摂食することで衝動効果は失活する。
  • また、消毒薬は好中球や上皮細胞、ケラチノサイトなどの創傷治癒に必要な因子には有害とされている。
  • つまり増殖期に消毒薬を使用することは細胞活性に影響を与えると考えられる。




 

慢性創傷の消毒

  • 褥瘡部は洗浄のみで十分であり、衝動は通常必要ない。明らかな創部の感染が見られ、浸出液や膿苔が多い時は洗浄前に消毒を行っても良い。
  • 褥瘡の感染徴候の有無と消毒による治癒遅延の関係を示すデータは乏しく、ポビドンヨードが褥瘡の治癒を阻害するという根拠は十分ではない。
  • 1999年ガイドラインでは明らかな感染があり、創部の浸出液やの膿苔が非常に多い時は消毒薬の使用が容認されるようになった。以上のことから、創傷治癒過程を考慮して消毒剤を用いることが推奨される。

手術創と消毒

  • CDC(米国疾病予防管理センタ)のSSI(手術部位感染)防止に関する推奨によると、皮膚切開前の消毒薬の使用については、ポビドンヨード、アルコール含有製剤、クロルヘキシジンなどが推奨されているが手術後の消毒薬の使用については言及していない。
  • 一期的に閉鎖した切開創は術後24時間から48時間は滅菌ドレッシング材で保護するとしている。これは48時間で上皮化が完成するからである。
  • 感染創や治癒遅延している離開創をドレッシング材で密閉すると細菌増殖の温床となるため創傷治癒が遅延する。
  • この場合は創傷を治癒に向かわせるために抗菌薬を用いる。
  • 二次治癒や三次治癒の創傷には、消毒薬や抗菌薬を必要とする場合がある。
  • 米国では洗浄液と消毒薬、創を湿潤環境に保つゲルをセットしたものが用いられている。
  • 以上のことから消毒薬や抗菌薬は、宿主と細菌のバランス、創傷の治癒過程をアセスメントし、二次治癒あるいは三次治癒の形態をとる創傷の炎症期に用いることが推奨されている。

 

 

術後の創処置と入浴時期

手術後のシャワー浴や入浴はいつから開始できますか?→術後48時間以降に手術創の状態により判断する

シャワー浴や入浴は術後48時間以降に手術創の状態によりここに判断し、主治医の許可を得たうえで実施する。温泉に入る場合は手術創が増殖期を終了し、成熟期に入る1か月を目安にする。

一時治癒の閉鎖創の場合

術後創には一次治癒と二次治癒がある。一次治癒は創を感染のない状態で縫合することであり、外科手術後の縫合創がこれにあたる。

二次治癒とは皮膚欠損が大きかったり感染のリスクが高い場合、創を縫合できずに創を開放したまま創傷治癒過程をたどるものをいう。

①術創の状態によりシャワー浴、入浴の判断をする
  • CDCのガイドラインによると一時的に閉鎖した切開創は術後24~48時間の間は滅菌ドレッシング材で保護するとされているが、その後の入浴などについては勧告されていない。
  • よって手術創の状態によってここに判断することになる。

 

②シャワー浴前の創部、全身状態の観察
  • 創内部に炎症があるとドレナージできていない場合は温浴をすることで悪化させることがある。
  • そのため注意が必要になる。シャワー浴前には創部及び全身の観察を行う。
  • 以下のことを確認し主治医の許可を得たうえで実施する。
  • 発赤、疼痛、熱感、腫脹、浸出液や排膿の有無、発熱の有無、倦怠感の有無など

術後の温浴と洗浄

  • 手術後初めて温浴する時は手術により体力の低下を考慮しシャワー浴をすることが望ましい。
  • 手術後間もない時期は直接強く創面を洗浄することは避けた方が良い。
  • また創面の直接の洗浄は抜糸終了し1カ月を経過したころから行った方が総保護のために望ましいと思われる。
  • ただし創周囲の皮ふは通常通り洗浄しても構わない。

術後の温泉入浴

  • 温泉は単純泉、重曹泉、鉄泉奈土含有する成分により皮膚や創への影響が異なる。
  • 温泉に入る場合は成分や泉質を確認し医師に相談することが必要である。
  • 温泉に入る場合は術後1か月後をめどにする。
  • 温泉は不特定多数の人が入るため、術後で免疫力が低下していることなど考慮し感染についても注意する。

 

  術後の創傷処置の方法

術後の創傷処置

術後直ぐに創部から少量の出血が見られた場合はどうしたら良いのですか?→ドレッシング材を剥がさず術創を閉鎖する

術後48時間以内の少量の出血であれば湿潤環境の保持や感染予防の為、ドレッシング材をはがさずそのまま術創を閉鎖する。止むを得ず剥がす場合無菌操作を尊守する。

術後48時間はドレッシング材を剥がさない理由

治癒は48時間で創が閉鎖する為、少量の出血であれば術後48時間はドレッシング材を剥がさない方が良い。理由は以下の通り。

  • 創傷治癒は血液凝固器、炎症器、増殖期、成熟期の過程をたどる。
  • 血液凝固器は損傷に対する応急処置的な反応であり、損傷直後に始まりすぐに炎症器へと移行する。
  • 炎症期は治癒を阻害する細菌や異物を除去する為の反応で、損傷がから始まり約3日間持続する。
  • サイトカインの誘導で白血球やマクロファージ、肥満細胞などが集結する。
  • 増殖期は炎症期の時期に重なって始まり、線維芽細胞や内皮細胞が遊走し、マクロファージと共に肉乂組織をつくる。
  • この過程において創部から出血しても少量で増加がみられなければ血液凝固期から炎症期に移行していると考えられる。
  • この時期の創面は浸出液による湿潤環境下にある。
  • 創傷治癒にはこれらの浸出液による湿潤環境を保持することが必要で、術創を閉鎖した方が良いと言われるのはこのためである。
術創管理のポイント
  • ①湿潤環境を保持する為術後48時間まではドレッシング材で閉鎖する。
  • ②出血の増加や多量の浸出液がある場合のみドレッシング材を交換し、術後48時間以内に剥がす場合は、無菌的操作を遵守して感染予防に努める。
  • ③術創のドレッシング材は少量の出血であれば、湿潤環境保持や感染予防の為剥がさない方が良い。

水疱が形成されているが、穿刺して水を除去すべきか、そのままドレッシング材を貼付しても良い?→そのまま透明ドレッシング材を貼付し保護する

水疱は破壊しない限り湿潤環境が保たれ、創傷治癒が促進された状態であるため、透明ドレッシング材を貼付し保護する。

浸出液が貯留しすぎて水疱が緊満状態にある時は穿刺することもある。穿刺後はドレッシング材や外用薬を使用し湿潤環境を維持する





治癒過程にある水疱
  • 水疱は深さが真皮までにとどまる浅い褥瘡であり皮膚が再生して治癒に至る。
  • そのため摩擦やずれなどの外力から保護し水疱が破裂しないようなケアを必要とする。
  • 水疱は破壊しない限り外部と遮断され、湿潤環境や温度が保たれる。
  • 外部との遮断により細菌や異物が存在しない。
  • そのため創傷治癒に必要な様々な細胞が活発に活動しやすくなり治癒に至ることが出来るからである。
水疱形成の際の局所治療
  • 小さな水泡であれば透明フイルムドレッシング材を貼付し、摩擦やずれなどの外力から保護する。
  • こうすることで数日から数週間で水疱内の浸出液が吸収され新しい表皮が形成される。
  • 貼付期間は最長1週間とする。
  • ドレッシング材を除去する際は剥離剤を使用するなどして上皮化した部位が損傷しないように愛護的にケアを行うことが必要である。
  • 大きい水疱の場合は透明フイルムドレッシング材を貼付して保護していても途中で水疱が破裂することもある。
  • 水疱が緊満している際は内容物の過度な貯留により、創を深くしてしまうリスクがある。
  • このような時は水疱を穿刺し浸出液を除去する。
  • 途中で水疱を穿刺しまたは破裂した後は浸出液を吸収することで湿潤環境を維持できる。

 

参考資料:看護技術ケアの疑問解決Q&A

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