子宮筋腫と妊娠の関係
子宮筋腫・治療の選択
子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、できる場所や大きさ、数によっては不妊や流産の原因になります
子宮筋腫とは、子宮に両性の腫瘍ができる病気
子宮筋腫は30歳以上の女性のおよそ4人に一人に見つかる身近な病気です。子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍でこぶのようなものです
子宮筋腫のできる原因はわかっていないため予防はできません。しかし大きさや数が増大しても悪性腫瘍に変化する可能性は極めて低く恐れる必要はないと考えられています
・できる場所とその特徴
子宮の内側は子宮内膜という粘膜でおおわれています。子宮筋腫には「子宮内膜のすぐ下にできる」「筋肉の中にできる」「子宮の外側に突き出すようにできる」の3つのタイプがあります
全体の7割を占める筋肉の中にできるタイプは、大きくなっても症状が現れないことが多く、多くの人は無症状です
ただし大きさが大きくなったり数が多くなると、過多月経、月経痛、頻尿、腰痛などの症状が現れる場合もあります
子宮内膜のすぐ下にできるタイプは、指先ほどの小さな子宮筋腫でも過多月経になり貧血が起こる場合があります。日常生活に支障をきたすような激しい月経痛を起こす場合もあります
・妊娠や出産への影響
子宮筋腫があっても多くの人が妊娠や出産をしていますが、子宮筋腫が出来や場所や大きさ、数によっては妊娠や出産に影響がみられることがあります
例えば卵管の近くに子宮筋腫ができると卵の通り道がふさがれて子宮に入りにくくなり不妊の原因になることがあります
また子宮筋腫が子宮内膜から飛び出すようにできていると受精卵が着床しにくくなります
またたとえ妊娠したとしてもその後の胎児の発育に影響する場合もあります。一方、血流の変化で胎児の発育に影響が現れることもあるほか、出産の際に子宮筋腫が妨げになって帝王切開になることもあります
・女性のライフステージと子宮筋腫
子宮筋腫は女性ホルモンの働きによって成長していくことが知られています。
初月経後徐々に子宮筋腫のリスクは高まっていき、子宮筋腫が見つかる年齢は30歳代半ばから後半です
その後閉経すると女性ホルモンの値が低くなるので子宮筋腫は小さくなるのが一般的です
近年子宮筋腫が大きくなる時期と妊娠出産の時期が重なってきたため、子宮筋腫の妊娠への影響が注目されるようになってきました
子宮筋腫の治療、将来の妊娠や出産を考慮して治療法を検討する
子宮筋腫があっても症状がない場合や軽い場合は経過観察を行います。3か月から1年に1回のペースで支給の状態と子宮筋腫の大きさを定期的に見ていきます
症状がある場合には薬物療法や手術などの治療を行います
薬物療法
薬物療法では症状を緩和改善する対処療法を行います。貧血があれば造血剤を、痛みがあれば鎮痛剤を処方します
ホルモン薬を服用するホルモン療法には、貧血や月経痛を抑え子宮筋腫を小さくする効果があります
手術
症状の改善と子宮筋腫を根本的に治すことが可能です。手術は子宮筋腫だけを切除する手術と、支給ごと摘出する手術の2つがあります
子宮筋腫だけを切除する手術では、支給が残り将来妊娠も可能ですが再発しやすいのが短所です
子宮ごと切除する手術は妊娠できませんが再発のリスクはなくなります。卵巣を残すため女性ホルモンのバランスは崩れません
開腹手術
おなかにメスを入れ臓器を手で確認して行うので、安全な方法ですが傷跡が大きく回復に時間がかかります
腹腔鏡下手術
おなかに小さな穴を4つほど開けて、そこから器具を入れて行う手術です。傷が小さくて痛みも少なく入院期間も短期間で済みます
子宮筋腫が大きい場合や数が多い場合はこの手術はできません。大量出血を起こしたり手術中に開腹手術に移行します
子宮鏡下手術
子宮鏡という内視鏡を膣から入れて子宮内膜近くの子宮筋腫を切除する方法です。おなかや子宮に傷がつかず回復が早いのが特徴です
症状がなくても子宮筋腫が妊娠や出産の妨げになる可能性のある場合は手術を選択することがあります
子宮に傷がつくため手術後半年ほどは妊娠しないほうが良いと判断することがあります。そのため治療にかかる時間も計算に入れて検討する必要があります
参考資料:「きょうの健康」