卵巣腫瘍患者の看護計画
#1卵巣腫瘍の茎捻転や破裂によって急激に発症する激烈な下腹痛がある
看護診断 急性疼痛
関連因子:損傷の原因となるもの
診断指標:言葉または合図による疼痛の訴え、疼痛の証拠の観察、疼痛部位をかばう仕草
看護目標
長期:疼痛が緩和される
短期:1)根本的治療である手術が迅速に受けられる
2)疼痛を相手に正確に伝えることができる
OP
・下腹痛の出現時間と程度、部位を把握する
・バイタルサインの変化
・悪心嘔吐の有無と程度の把握をする
・血液検査
・超音波検査、CT検査
TP
・検査の介助を行う
・緊急手術の受けるための介助を行う
・医師の指示による薬物投与の介助
・行われる処置を説明する
・家族に行われる処置や患者の状態について説明する
EP
・身体的不快感の程度を患者が自分で表現できるように指導する

#2観血的処置に関連する感染の可能性がある
看護診断 感染リスク状態
危険因子:観血的処置
看護目標
長期:感染がおこらない
短期:1)細菌的処置を受けられる
2)感染予防のための手術後の服薬行動が守られる
3)感染徴候の報告ができる
OP
・体温の変化
・感染指標の検査値の変動
・創部の状態
・下腹痛の有無と程度
TP
・手術操作やその後の創処置が無菌的に行われるよう介助する
・抗菌薬が静脈内投与される場合は医師の指示通り正確に行う
EP
・手術後の抗菌薬の服薬指導を行う
・感染徴候について説明する
#3月経困難症や卵巣の巨大化による周辺組織への物理的圧迫による下腹痛などがある
看護診断 慢性疼痛
関連因子:慢性の身体的な障害
診断指標:以前の活動を継続する能力の変調
看護目標
長期:卵巣腫瘍の適切な治療を受け疼痛が軽減する
短期:1)月経時の疼痛がコントロールされる
2)治療により卵巣による周辺組織への物理的圧迫が消失する
3)疼痛を相手に正確に伝えることができる
OP
・卵巣腫瘍の病態を把握する
・卵巣腫瘍の大きさを把握する
・月経困難症の程度を把握する
・下腹痛の程度を把握する
・排泄の状態を把握する
TP
・検査の介助
・薬物療法の援助を行う
・外科的治療を行う場合の援助を行う
EP
・検査や治療に対する不安を表出できるように指導する
・身体的苦痛、不快感を患者が正確に伝えることができるように指導する
#4薬物療法、放射線療法の副作用による不快感があり、そのために日常生活に支障を生じる可能性がある
看護診断 活動体制低下リスク状態
危険因子:体力を減退させるような状況
看護目標
長期:薬物療法、放射線療法の副作用が軽減され日常生活に支障がない
短期:1)薬物療法、放射線療法の副作用が緩和される
2)セルフケア不足を明確にし援助を受けることによって日常生活が支障なく送れる
3)副作用を知ることで不安を軽減できる
4)患者が不快感や苦痛を相手に正確に伝えることができる
OP
・副作用の症状と程度
・不足しているセルフケアの内容を明確にする
TP
・セルフケア不足への援助を行う
EP
・薬の副作用について指導する

#5薬を自己調整することにより薬理効果が現れない
看護診断 ノンコンプライアンス
関連因子:計画された治療行動に関連する知識と技能、薬の副作用
診断指標:症状悪化の徴候、改善しない、客観的な検査成績
看護目標
長期:支持された薬物療法を遵守する
短期:1)卵巣腫瘍の治療について理解できる
2)薬物療法による不快感を表現でき適切な介入を受けられる
3)服薬ノンコンプライアンスの理由を述べられる
OP
・薬物療法の内容について把握する
・薬物療法の副作用の症状の内容と程度を把握する
・患者の卵巣腫瘍に対する知識の程度を理解する
TP
・副作用の緩和を図る
・指示された薬物療法が守れない理由を表出できるように援助する
EP
・薬物療法の必要性について指導する
#6卵巣腫瘍の検査、処置、治療、予後などに関連した不安がある
看護診断 不安
関連因子:人生の重要な目的及び価値観に関する無意識の葛藤、健康状態に対する脅威
診断指標:苦悩する、恐ろしい
看護目標
長期:不安が緩和する
短期:1)不安の内容を表出できる
2)卵巣腫瘍に対する正しい知識を得る
OP
・不安の内容と変化を知る
TP
・不安を緩和するために行われる治療や卵巣腫瘍の病態について指導する
EP
・不安の内容を自分で表現できるように指導する
・卵巣腫瘍に対する正しい知識を指導する
参考資料:疾患別看護過程