PEGの適応と禁忌について(PEG造設から退院まで)

 PEGの適応と禁忌

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PEGの適応と禁忌

ポイント

・ 経腸栄養はより生理的で患者の消化管機能を維持し、免疫能を高めるなどの効果も確認され、さらに在宅での、さらに在宅での受け入れも容易である

・ 経腸栄養を決定したら、栄養療法を実施する予測期間によってアクセスルートを選択する

・ 経鼻胃管に比較してPEGは胃食道逆流や誤嚥が少なく栄養摂取用のルート径が太いため栄養剤通過中の閉塞の頻度が低い。また状況によっては経口摂取も可能であり、社会生活復帰後の障害にならないなど利点が多い

PEGの適応

・ 栄養療法の適応がある場合には、消化管機能の有無によって経腸栄養か経静脈栄養かを決定するが、消化管を利用できる場合は消化管を利用するのが大原則である。消化管が機能していない場合はTPNが選択される

・ 経腸栄養か経静脈栄養のそれぞれの利点欠点はある。経腸栄養は侵襲性、安全性、間便性、経済性において経静脈栄養より優れている。より生理的に患者の消化管機能を維持し免疫能を高めることが確認されている

・ 経腸栄養の場合、栄養療法の実施期間の予測によってアクセスルートを選択する。栄養療法が1か月以内の短期間と考えられる場合は、経鼻的ルートを用い、1か月を超える場合は胃ろうや腸瘻などを選択する

・ 胃ろうを増設する場合には、手技も容易で患者への負担も少ない経皮内視鏡的胃ろう造設術(PEG)が一般的である

・ 胃ろうは経鼻胃管に比較して胃食道逆流や誤嚥がより少なく、栄養摂取用のルート径が太いため栄養剤通過中の閉塞の頻度も低い

・ 胃ろうは患者による自己抜去、介護動作による抜去事故も経鼻胃管より少なく、そのため多くは抑制を必要としない。咽頭にチューブが留置されないので経口摂取も妨げない。患者の社会復帰やリハビリテーションの障害にならないという利点がある

・ 現在、栄養不良の状態にあり消化管機能を一部でも保持していて、今後1か月以上は栄養補助の必要があると考えられる場合は、すべて胃ろうの適応があると考えられてよい

・ 特殊な場合として、薬物を投与するルートとしての胃ろうや、消化管の閉塞に対する内容物の減圧を目的とした胃ろうなどもある

 

PEGの禁忌

・ 相対的禁忌はPEGを行うべきでない、不可能というよりも、より困難であるかより危険が大きいと考えられるからである。適切な対策を講じれば施行は可能である

絶対禁忌

・ 通常の内視鏡検査における絶対禁忌

・ 内視鏡が通過困難な咽頭・食道狭窄

・ 補正できない出血傾向

・ 胃前壁を腹壁に近接できない

・ 消化管狭窄(減圧ドレナージの場合は可能)

相対的禁忌

・ 腹部手術の既往

・ 極度の肥満

・ 妊娠

・ 腹水

・ 腫瘍性・炎症性病変

・ 著明な肝腫大

・ 門脈圧亢進

・ 腹膜透析

・ 出血傾向

・ 全身状態・生命予後不良例

・ 一般内視鏡検査の相対的禁忌

 

 栄養の開始・PEG(ペグ)の増設

栄養の開始

ポイント

・ 栄養開始に当たっては、下痢や嘔吐、熱発などの異常がないことを確認しながら投与量を少しずつ増量する

・ 基礎疾患がある場合、疾患に合わせた組成の流動食を利用する

・ 栄養剤投与にあたって、NSTは栄養アセスメントを行い、必要な投与エネルギーや成分、投与経路、方法などについて指導する

・ 急速な大量の栄養投与は、過剰栄養となりそれに伴い血糖値の変化、血清脂質レベルの変化などが発生するため好ましくない

投与開始時期

・ PEGを増設してもすぐに多量の栄養剤は注入できない。手術当日は軽い腸管麻痺状態のため通常は絶食としている

・ 投与方法についても初めから栄養必要量をすべて投与するわけではなく最初は少量から開始し下痢や嘔吐、熱発などの異常がないことを確認しながら投与量を少しずつ増量する

選択する経腸栄養剤の種類と投与量

・ 栄養剤の種類や使い分けについて、経腸栄養剤は大きく半消化態と消化態に分けられる。半消化態には栄養剤のものと、食品扱いのものがあり、消化態はすべて医薬品扱い(栄養剤)である

・ 医薬品と食品では経済的な負担が異なってくることを知っておきたい。これらは患者の状態や、社会的背景などによって選択される

・ 食品扱いの流動食の大部分と、多くの医薬品の栄養剤が半消化態に分類され、消化管機能が正常な場合は半消化態での栄養投与が可能である

・ 長期絶食後や小腸大腸切除後などで消化管の機能が低下していると思われる場合には、消化態栄養剤の使用を考える

・基礎疾患に糖尿病や慢性肺疾患、じん不全などを持つ場合、疾患に特化した組成の流動食も販売されているので、利用すると便利である

モニタリング

・ 急性期における栄養投与のモニタリングは、血圧や体温、尿量といった通常のバイタルサインに加えて、血糖値や電解質の変化がないか、肝機能値、腎機能値に変化はないか、脱水や浮腫がないかなどに注意する

栄養剤投与を延期または中止する場合

・ PEGが原因と考えられる全身状態悪化時、瘻孔周囲から病的所見がみられるとき、予測できない症状(下痢、腹痛、発熱、胆嚢炎など)がみられる場合、栄養剤の投与を延期または中止し、原因究明と対策が必要である

・ 栄養剤の嘔吐やご縁が確認された場合にもいったん栄養剤の投与を休止し状況の安定を図ってから、栄養剤のゲル化や注入ポンプの使用、カテーテルの空調挿管などの対応をすることになる

 

NST(栄養サポートチーム)

・ NSTは医師だけでなく多職種がそれぞれの専門性を生かしつつ、チームとして適切な栄養管理を行っていくチーム医療である

・ PEGを増設した患者に対する、NSTのかかわる急性期の栄養投与計画について述べる。まず事前に病歴や身体計測、血液生化学所見などより栄養状態を把握し、栄養アセスメントを行い、必要な投与カロリーや成分、投与経路、方法などについて考えておくことが大切である

・ 栄養評価は、定期的にかつ継続的に実施することが大切である。短期で退院や転院となる場合も退院先へ申し送り可能な形にし、継続的に栄養管理することが望ましい

その他の注意

・ PEGを行う患者の多くは栄養不良の状態にあり、慢性的な気がのため代謝が委縮している状態のことも多く、PEGを行ったからと言って急速に大量の栄養投与を行うと過剰栄養に陥る

過剰栄養に伴って血糖値の変化、血清脂質レベルの変化などが発生するため、大量の栄養剤を急激に投与することは避けなければならない

 

  PEGのトラベルへの対応・嘔吐 胃食道逆流

PEGのトラベルへの対応・嘔吐 胃食道逆流

ポイント

・ 嘔吐や胃食道逆流は誤嚥性肺炎の原因になる

・ 嘔吐や発熱を繰り返すときは胃食道逆流症を疑い、投与時の体位、投与速度、消化管の運動機能改善薬の投与、胃内減圧、栄養剤の粘度増強・固形化、栄養投与のルート変更などを検討する

具体的な対応策

① 体位の工夫

・ 30度か90度のギャッジアップを行う。慣習的に行われる右側臥位は余計に胃食道逆流を誘発するとの報告がある。症例ごとの至適体位を探すことが大切である

② 投与速度の調節

・ 投与速度を100ml/時程度に遅くする。50ml/ 時以下はポンプ使用も考慮

③ 消化管運動機能改善薬の投与

・ クエン酸モサプリドのほか、マクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンにも胃排出機能の改善と下部食道括約部位の上昇作用があるとされている

④ 胃内減圧

・ 栄養剤投与前にPEGカテーテルを開放し、胃内容停滞がないことを確認する。ボタン型で内部ストッパーに逆流防止弁のついた製品では、専用の減圧用接続チューブを使用する

⑤ 栄養剤の粘度増強と固形化

・ 胃食道逆流奨励であることが疑われたら、まずこの方法から試してみることを進める。胃の生理機能を考慮すると、今後栄養剤は粘度増強、あるいは固形化して投与することが一般化することが予想される

⑥ 経胃婁的空調栄養投与へのルート変更

・ 通常のPEGカテーテルの内腔を通して空腸栄養チューブを留置するものと、形成された胃婁の瘻孔を通してカテーテルごと空腸栄養チューブに入れ替える方法がある

いずれもポンプを使用して持続的投与を行う

 

嘔吐・胃食道逆流Q&A

Q:ある施設では、胃食道逆流の予防のために栄養剤注入の終了した後に、PEGカテーテルを貯尿パックに接続し手開放し、胃内容をためては捨てている。この処置は正しいか?

A:栄養剤投与後にPEGカテーテルを開放する処置をルチーン化している施設は少なくない。確かに胃を減圧しておけば胃食道逆流のリスクは軽減する

しかしすべての症例に対してこのような煩わしい処置は必要とはいえない。理由としては下記のような事情による

・毎回PEGカテーテルを排液用に使うのでカテーテルが汚れやすく耐久性上の問題がある

・栄養剤を注入していない時も貯尿用パックにつながれることになるので、患者のADL上好ましいとは言えない

 

  PEGのトラブルへの対応・下痢

PEGのトラブルへの対応・下痢

ポイント

・ PEG患者の下痢や便秘などの便通異常は、経腸栄養投与が問題となるケースが多い

・ 下痢対策として、栄養剤投与速度を遅くすることや栄養剤を白湯で薄めることはあまり意味のないことである

・ 下痢対策として、食物繊維を多く含む食品を投与することが望ましい

栄養剤は薄めてはいけない

・ 下痢や便秘などの便秘異常は、PEGの合併症というよりは経腸栄養そのもの問題といえる。特に下痢は嘔吐・胃食道逆流とならんでPEG栄養投与の継続を困難にする大きな問題である

・ 感染性の下痢を否定するために、まず便培養やクロストリジウム・デフイシル毒素のチェックを一度行っておく必要がある。消化管自体の疾患がおおよそ除外できれば、あとは栄養剤投与法の問題として扱うことができる

・ 下痢の対策として習慣的に行われるのが、栄養剤投与速度を遅くすることと、栄養剤を白湯で薄めることであるが、実際にはこれらの方法によって効を奏したということはあまりない

・ 下痢の原因が濃度依存とはっきりしている場合や、長期の中心静脈栄養から経腸へ切り替えるような症例を除けば、栄養剤を薄めることは推奨できない

・ 多くの症例においては栄養剤を薄めることによってかえって、水分過多となり下痢が悪化していることがある。栄養剤の80%は水分であるといった知識が欠如したまま必要水分量が決定され、過剰な水分が与えられていることが少なくない

・ 我が国の栄養剤の濃度は、胃に投与するにはすでに十分すぎるほど薄いこと、そして1日に分泌される何リットルもの消化液のことを考慮すれば、通常はまず栄養剤を薄めることはしない、と心得ていただきたい

下痢対策としての食物繊維の投与

・ 下痢に対して差し当たって試みる価値のあることは、食物繊維の投与である。液体の栄養剤を使用した場合、大便の材料となる食物繊維の不足が下痢のみならず便秘の原因となる

・ ファイブミニを1日1本就寝前に投与する方法や、ゼリージュースを使用する方法、さらには寒天など栄養剤の固形化や粘度増強もお勧めしたい。また栄養剤そのものを食物繊維を含有している製品に変えてみるのもいい

・ 下痢対策として、栄養剤の作り置きによる微生物汚染、栄養剤の温度、また栄養剤そのものが身体に合わないことはないか、なども考慮する必要がある

 

  PEG造設・退院に向けて

PEG造設・退院に向けて

ポイント

・ PEG造設の目的の一つは、患者を病院という非日常の場から自宅や施設という日常的な生活の場へ移行させることでもある。そのためには在宅療養のための指導は不可欠である

・ 隊員先が自宅化、転院か、また施設への退院かによって、指導内容や申し送り、退院後のフォロー体制も違っている。きめの細かいフォローが必要である

自宅へ退院の場合

① いつ指導を始めるのか?

・ 瘻孔形成までの約2週間程度の期間を利用し、退院後に必要となる胃ろうの管理や栄養剤注入方法などを介護者に指導することになる

・ この時期に指導を十分に行っておかないと、患者や家族は多くの不安を抱えたままの退院となり、退院後の管理や介護を任された主治医、訪問看護スタッフとの連携がうまくいかず、在宅療養の継続が不可能になったり、PEGそのものが敬遠されてしまうことになりかねない

・ 逆にこの時期に十分な指導がなされれば、患者と家族は不安も少なく在宅療養に臨むことができ、仮にトラブルが発生しても適切に対処することができる

② 誰が指導に当たるのか?

・ PEG造設後は病棟看護士が指導に当たるが、並行して退院後の安心した生活の確保のためケアマネージャとの連携を行い、時には自宅訪問や退院に向けたカンファレンスを開催する

・ 指導者は病棟看護師であることが多いが、NSTメンバーやPEG専門チームがこれにあたる病院もある

③ 何を指導するのか?

・ 指導者が交替しても指導内容が統一され、指導の状況が共有されるように指導項目と指導の方法をパンフレットで統一しチェックリストを用意している

・ パンフレットとチェックリストの項目に沿った指導をしていく

(看護師の説明と模範実施の見学、看護師と一緒に実施、看護師の声かけで歌人が実施、声掛けなくすべてを家人が実施の順で行っていく)

・ 次回の指導は前回の確認を行い、まだ到達していない項目について行っていくという手順である。すべての項目ができたら退院可能である

④ 誰に指導するのか?

・ 指導を行うに当たっては「誰に指導するのか」ということをまず明確にする。効率的に指導を行うために被指導者を固定したほうが良い

・ 介護者が高齢などで指導に時間がかかると思われる場合は、短時間での頻回の指導を計画しておくとよい。見本を貸し出して自宅での練習をしてもらうのも有効である

⑤ 退院後の担当医師や社会資源との連携は?

・ 退院後の主治医には、胃ろうが挿入されていることを事前に必ず連絡しておいたほうが良い

・ PEG患者の対応に経験のある訪問看護ステーションなどと、連携することで患者家族は安心して療養に臨むことができる

転院や施設への退院の場合

・ 自宅退院ではなく、店員や老人保健施設への退院などの場合は、PEGの管理に明るい施設への退院はスムーズである。そうではない場合も、属宅医師や施設職員への事前の情報提供によって、円滑な退院へ結びつけることができる

・ 地域によってはPEG患者の受け入れに戸惑いを示す施設もある。施設職員への情報提供と指導によって状況を打開できることもあり、あきらめないでアプローチが大切である

申し送りと退院後のフォロー

・ 退院時には必ず、挿入されたPEGの種類と挿入日をわかりやすい形で、退院後の主治医に申し送るようにする

・ 胃ろうの記録として胃ろう手帳を利用してもよい。必要物品や管理方法のテキスト、トラブル対応マニュアルなどをまとめて入れて患者家族に渡す

・ 胃ろうは退院後も定期的な管理と処置が必要である。安定して経過していても交換は必要であるし、抜去、脱落、閉塞などのトラブルも発生する。トラブルの対応には医療従事者が責任を持つべきである

・ 退院後の胃ろうについて、誰が中心に対応してくれるのか退院時に確認しておくとよい。トラブルの際の連絡先と交換の時期の目安を明示しておくと参考になる

・ PEG施行側の病院としてはトラブル時の連絡窓口を一本化して、明確に案内しておくと混乱が避けられる

 

  PEG造設術後早期の管理

PEG造設術後早期の管理

ポイント

・ 術後早期は異常発生の確率が高く、適切な対応をしないと重篤な状態に発展することもあり、注意が必要である

・ 血圧、体温測定のほかに述語翌日にはX線検査や採決などを行い、肺炎やイレウス像、フリーエア、貧血の進行がないか、異常な炎症所見の発生がないかどうかを確認する

・ 術前術後とも口腔ケアは重要である。口腔咽頭の雑菌の軌道へのタレコミが肺炎の原因となることもあり、十分な口腔ケアを心掛ける

検査

・ 通常の血圧や体温などの身体所見の観察のほかに、術後翌日にはX線検査や採血などを行い、大きな合併症がないかチェックする

・ X線検査では肺炎やイレウス像、フリーエアなどをチェックし、血液検査では貧血の進行がないか、異常な炎症所見が発生していないかどうか確認する

術後の創の処置

・ 創の観察を毎日行うことは当然である

・ 術後早期には消毒と洗浄を行い、瘻孔が完成した後には洗浄のみを実施するのが一般的である

・ 異常所見として、発赤や出血、排膿、浸出液などを観察する。創の状態を客観的に経時的に記録し比較することは難しいが、写真による記録や創感染の基準を用いて観察記録すると、多数のスタッフがかかわる場合でも統一した評価が可能になる

・ PEG後の内部ストッパーと外部ストッパー距離も重要である。PEG実施時には、腹壁上に約1㎝程度の余裕を持たせて造設し、腹壁と外部ストッパーの間に割ガーゼ数枚を挟み込んで圧を調整する方法が推奨されている。造設数日後には浮腫が発生するため、適宜ガーゼを抜き取ることとなる

・ 胃壁腹壁固定が実施されていない場合は、ガーゼを挟み込むことによりある程度の圧を確保して瘻孔形成を促すことになる

口腔ケア

・ 術後の口腔ケアも術前と同様に重要である。特に経管栄養の開始後は口腔ケアがおろそかになりがちであるが、口腔咽頭の雑菌の軌道への垂れ込みが肺炎の原因となることもあり、十分な口腔ケアを心掛けたい

術後の嚥下のリハビリテーションなどを開始する際にも重要である。経口摂取を併用する場合も、経管栄養のみで栄養する場合も同様に口腔ケアが大切であることを認識しておきたい

・ 瘻孔形成前には創部への感染防止のため術直後の入浴は避け、創は消毒と洗浄、そのほかは清拭を中心に行うことが多い

・ 多くは1週間程度でシャワーが可能となり、保護フイルムを用いない入浴は1~2週間後程度から開始する

・ 急性期を過ぎれば消毒は中止し洗浄を中心にケアを行っていく

 

 

  PEGスキンケアトラブルの対応・スキンケアの基本

PEGスキンケアトラブルの対応・スキンケアの基本

ポイント

・ 高齢者はPEG造設部位の痛みやかゆみに関して、十分に苦痛を訴えることができないことが多く、見落とされがちである。医療従事者や介護者は、PEG造設部位のスキンケアに関心を持つことが大切である

・ 瘻孔形成前と瘻孔形成後では観察の視点を変えてケアする必要がある

・ PEG造設は、瘻孔周囲皮膚の保護に注目されがちであるが、内部ストッパーによる胃壁への圧迫保護にも配慮する必要がある

スキンケアの基本

・ スキンケアは胃壁と腹壁が癒着する瘻孔形成前と形成後ではケアのポイントが異なるため、瘻孔形成前に分けて説明する。この瘻孔形成時期は患者の栄養状態、全身状態、年齢、さらにはカテーテルの材質によってその期間には差があると言われている

・ 瘻孔形成前の時期については、出血、腹膜炎と瘻孔周囲炎という感染症状に注意する必要がある

・ 出血の危険性の高い①②③は以下に記載する

スキンケアの実際

瘻孔形成前のスキンケア

① PEG造設直後から術後1日目までの期間

観察ポイント:

・ 出血、腹痛、発熱の有無

スキンケア方法

・ PEG造設直後には、胃壁と腹壁が密着するように内部と外部のストッパーで固定されている。その後、胃壁に浮腫が生じるためにストッパーによる圧迫が過度になり、血流障害により皮膚では皮膚科潰瘍、胃壁では胃潰瘍と内部ストッパーの埋没を招く危険性がある。そこで、術後1日目にはストッパーを通常より約0,5~1,0㎝程度緩める

・ 実際のスキンケアとしては、PEG造設時の血液が凝結した血塊が瘻孔に付着していることが多いため、生理食塩液でガーゼなどを湿らせてふき取る

・ このときの注意点として、外部ストッパーと皮膚の間にガーゼを入れると、ガーゼの分だけ内部ストッパーの距離が短縮し、皮膚と胃壁に圧迫が加わるので挿入後はゆとりがあるかどうかを確認する

・ ガーゼのずれを予防するためにテープを使用し固定するが、テープの種類によってもスキントラブルを招く危険性がある。その予防法としては、テープの接着位置を毎回変える

・ 皮膚にしわがある場合は、皮膚のしわを伸ばしてテープを貼付すると、姿勢によってテープ貼付部に緊張が加わらず、スキントラブルの発生を予防できる

② 術後2日目から術後1週間までの期間

観察ポイント:

・ 瘻孔周囲皮膚の発赤、疼痛、熱感、腫脹

・ 皮膚潰瘍の有無

・ 浸出液を認める場合は、その量と性状

・ 栄養剤の漏れを認める場合はその量

スキンケア方法

・ 感染予防が重要なケアポイントとなるために、この時期も1日1回は瘻孔周囲を消毒しガーゼを貼付する。ただし、この時に用いる消毒液によって接触皮膚炎を起こす危険性もあることに留意する

・ 術後3~4日には、外部ストッパーを約1,0~2,0㎝程度緩める。この時外部ストッパーを皮膚にぎりぎり接する程度でカテーテルを固定する。カテーテルを引っ張るように固定すると、内部ストッパーは胃壁を圧迫し潰瘍形成する危険性がある

③ 術後1週間以降から術後2週間までの期間

観察ポイント:

・ ②の観察ポイントと同様であるが栄養剤の漏れに注意しなければならない

スキンケア方法

・ 1週間過ぎて異常がなければ、消毒やガーゼは不要となる。皮膚を清潔に保つスキンケアを実施する。実際には皮膚洗浄料を用いて瘻孔周囲皮膚を洗浄し、その後白湯で流す

・ あるいは瘻孔部をフイルムドレッシンヒ材で保護することなく通常のシャワー浴を行うことができる。この時使用する洗浄料は入浴時に使用するような石鹸やボデイシャンプーを使用する

・ ガーゼや消毒が不要になると、瘻孔部の観察の機会は減少するが、毎日観察し異常がないかどうかを確認する。わずかな汚染を予防する程度であればテイシュペーパーをこよりにしてカテーテルにマフラーのように巻く方法が安価で便利である


瘻孔形成後のスキンケア

観察ポイント:

・ ②の観察ポイントと同様であるが、外部ストッパーのゆとりも注意しなければならない

スキンケア方法

・ ③のケアに準じる。ただし瘻孔形成後は、入浴が可能となる点のみが異なる。入浴時に瘻孔部をフイルムドレッシング材で貼付する必要がなく、そのまま入湯し瘻孔周囲を洗浄する

・ 入浴後は清潔なタオルで拭くだけでよい。しっかりと乾燥させようとドライヤーを用いることがあるが、これは皮膚にダメージを与えるだけでなく、カテーテルの損傷にもつながるため使用しない

・ わずかに栄養剤の漏れや消化液の漏出を認める場合は、予防的に皮膚に撥水性の難航やスプレーを塗布し保護する。そして瘻孔部に異常がないかどうかを栄養剤注入時を利用して毎日観察する

・ スキンケアというと瘻孔周囲皮膚の保護に注目されがちであるが、内部ストッパーによって圧迫される胃壁の保護も配慮し、胃壁と皮膚にゆとりがあるようなストッパーの固定を市、外部ストッパーはできるだけ腹壁に接し他状態にして胃壁を内部ストッパーが圧迫しないようにする

・ チューブ型では内部ストッパーによる長時間の同一部位の圧迫を回避するためにチューブの倒れる向きを毎日変える。さらに内部ストッパーがあるカテーテルのタイプでは、バンバー埋没症候群を予防する目的のために、少なくとも3日に一度はカテーテルを開店させることも必要である

・ PEG造設後の瘻孔部以外に重要な清潔ケアとして口腔ケアがある。口腔の不潔のために、隠れていた細菌やウイルスのレセプターが露出し呼吸器系の感染症を引き起こすことにつながる。経口から食事を摂取しなくても口腔ケアを毎日実施することを忘れてはならない

 

 

参考資料:経皮内視鏡的胃ろう造設術PEGパーフェクトガイド

 

 

 

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