認知症とケアの技法・ユマニチュードとは?

認知症とケアの技法・ユマニチュードとは?

スポンサーリンク

 認知症ケアの技法

具体的な言葉や態度で「あなたのことを大切に思っている」というメッセージを伝え続けることで、介護を受ける人が穏やかになりコミュニケーションが改善される

このユマニチュードという認知症ケアの技法が今注目されています。フランス発のユマニチュード、その日本での普及に取り組んでいる本田美和子さんに「家族を介護する」という観点から、その考え方と実践について伺いました

認知症介護に技法を

認知症の人を介護していると「突然怒りっぽくなる」「介護を拒否する」などの難しい状況に直面することがあります

家族だからこそ優しく接したい気持ちはあるのに、うまくいかずにぶつかり疲弊してしまう。そのような経験のある人は少なくないでしょう

もしかすると、相手に良かれと思って行っていることが認知機能の低下した相手にはうまく伝わっていないのかもしれません

そんなすれ違いを良い方向へ導く試みとして注目されているのが、介護する人の気持ちを具体的に伝えるための技法ユマニチュードです

ユマニチュードとは

ユマニチュードとは、人間らしさを取り戻すという意味です。認知症になった人は記憶力や判断力が徐々に失われていくことで、強い不安や孤独を感じるようになります

その人に対して「あなたはここにいます」「私はあなたのことを大切に思っています」というメッセージを言葉や表情、態度などで伝え続けます

そうすることでその人の人間らしさを尊重し人と人とのつながりを深めていく、これがユマニチュードの基本理念です

ユマニチュードの具体的技法で介護される人に「自分は大切にされている、優しくされている」と感じてもらえる工夫が凝らされています

これを実践することで介護における難題と考えられてきた認知症の人とのコミュニケーションが改善され介護される人とする人、双方に良い効果がもたらされることが期待されています

まずは認知症について理解する

認知症ケアでは認知症そのものについて正しく理解すること、そしてその人の認知機能低下でどのような状態に陥るかをきちんと理解することが大切です

・認知機能の低下による変化

物事の判断や理解に時間がかかるようになるため、せかしたりじらしたりすると混乱しやすくなります

また認識できる視野の範囲が狭くなるので、自分の正面にいない人や物には気づきにくくなります。さらに多方面に注意を分散するのが難しくなり目の前のことしか注意が向かなくなります

・感情の記憶は保たれる




 

記憶の中でも物の名前など知識にかかわる意味記憶は失われやすく、楽しい悲しいなどの感情記憶は長く残りやすいとされています

認知症が進行しても感情記憶は保たれるので普段から良い感情を積み重ねておくことが大切です。いやな感情が記憶に残ると不安が引き起こされ、それが介護拒否などの行動に現れると考えられています

・直近の記憶から失われていく

最近のことに関する記憶は失われても、自分が結婚したころなどの、昔のことはよく覚えているケースが多くみられます

認知症の人は自分の「人生を遡って生きている」ともいえるかもしれません

・理解しがたい行動にも意味がある

自宅にいるのに「家に帰る」と言い出す、など認知症の人の言動にはなかなか理解しがたいものがあります

すべての言動には何らかのメッセージ、意味が込められています

道理に合わないと感じられることでもすぐに否定・避難せずに受け止め、なぜその行動をとるのかその理由を理解しようとすることが大切です

認知症を受け入れ介護に臨む

家族が認知症になると健康だったころを知っているだけに、接し方に戸惑ったり悩むことがあると思います確かにつらいことですが「今、目の前にいる人は、以前のその人とは違っている」という事実をしっかりと受け入れることが第一です

ユマニチュードは誰にでも実践できる技法です。最初はぎこちなくても続けていくうちに自然と気持ちのこもった介護になっていくはずです

 家族による認知症ケア・実践のためのヒント

ユマニチュードの基本の技術と、認知症の人を介護する中で起こりうる場面での実践のためのヒントを紹介します

効果については個人差がありますが、参考にして工夫をしてみてください

ユマニチュードの基本技術

認知症の人とコミュニケーションをとるすべての場面で基本となる技術です。すべての振る舞いが相手にとってのメッセージになるということをよく認識してください

・自分の存在を知らせる

認知症の人は認識できる範囲が狭くなっているので遠くから、あるいは後方や横から話しかけても気づいてもらえないことがある

まずは自分の存在と敵意がないことを知らせるために笑顔で正面からゆっくり近づいていく。相手との適切な距離は、相手の認知機能に応じて異なる

最適な距離とは相手が照れない、またはのけぞらない距離であり、コミュニケーションをとる間それを保ち続けることが大切

・見る

見ることは「あなたがここにいることを私は認識しています」というメッセージになり、同じ高さの目線で、正面から、ある程度顔を近づけて、長くしっかりと、笑顔で相手を見つめることで、優しい気持ちや誠意を伝えられる

じっと見続けられるだけだと不快に感じるので、視線をしっかりつかんだら2秒以内に話しかける

・話す

相手の目を見ながらやさしく穏やかな声で話しかける。認知症が進行すると話しかけても反応がない時もあるが返事がないため自分も黙ってしまうと「あなたは存在していない」というマイナスイメージになる

会話は成り立たなくても「会いに来ました」「顔色がいいね」など肯定的な言葉をたくさんかける

・触れる

包み込むようにゆっくりと触れることで親しみや安心感が伝わる。手のひら全体で指はやや開き気味に、ある程度の重みをかけて触れるのがポイント

最初に触れる部分は肩や背中、腕など。顔や手は非常に敏感な部分なので最初に触れることは避ける

いきなり手首や腕をつかむと「罰を受ける」という悪いイメージを与えてしまうので注意する(つかまないためには、親指を使わないことを意識するとよい)

 




話を聞く場面

言いたい言葉が出てこない、つじつまが合わないなど、相手の話す内容がよく理解できない場合も、目をしっかり見て優しく相槌を打ちながら誠意をもって聞くことが大切です

相手の意図を組みながら「こういうことですか?」などと会話を補ってあげるのもよいでしょう

けっして「こうなの?」「「ああなの?」と畳みかけることはせず1つのことをたずねたら、3秒くらい間をおいてから次の言葉をかけてください

認知症では判断に時間がかかるようになるので全体的にゆっくりと対応しましょう

食事の世話をする場面

食事が進まないという場合は、まずよく見て聞いてその理由を探してください。認知機能が低下すると順序立てて物事を行ったり自分のとるべき行動をせんたくすることがむずかしくなります

一度に料理を出されると、何から食べてよいかわからず不安になる可能性があります。こんな時は1品づつ順番に出すと食べれることがあります

お箸が使えないときにはおにぎりにするなど、食事が進まない理由に応じた具体的な工夫をしてみてください

散歩などの誘う場面

認知症が進むと家族のこともはっきりと認識できなくなることがあります。自分のことは認識しているはずという思い込みはやめて、誘うときは丁寧に接するように心がけてください

断られたら無理強いはせず、時間をおいてからもう一度誘いましょう。ユマニチュードでは嫌がることはしないのが鉄則です

散歩を断られたら、お花を見ましょうなど、別の言い方で興味を引くようにしてみましょう

いらいらが感じられる場面

普段は落ち着いているのに急にイライラしたり興奮することがあります。このような時には自分の身に危険が及ばないことを確認したうえで、肩や腕、背中などその人が落ち着く部分にやさしく触れてみましょう

最も効果的なのはぎゅっと抱きしめることですが、腕を肩に回したり背中をさすったりすることから始めてもよいでしょう

また急に顔つきが変わったり、興奮の雰囲気を感じた時には、その人の好きなことを提案したり、楽しい思い出などの話をするなどし、相手の良い感情・記憶に働きかけて気持ちを別の方向へめけてみましょう

何かに強くこだわる場面

たとえば「家に帰る」と言ったときに「ここはあなたの家だから帰る必要はありません」と否定するようなことを言ったり「どうしてそんなこと言うの?」と責めるようなことを言うのは良くありません

気持ちを抑圧されると、いやな感情だけが記憶に残ってしまいます。

なぜそうしたいのか理由をよく聞いてください。一緒に出かけてあげたりすると希望を妨げられたという悪い感情は残りません

町内をひと歩きする間に、こだわりがなくなってしまうケースも多くみられます

着替えや入浴をする場面

もし自宅で介護している場合でも、着替えや入浴など手間のかかることを行う際は、できるだけほかの家族やヘルパーさんなど、複数の人でできるときに行うのがよいでしょう

一人が介護を受ける人の視線をしっかりつかみ楽しい話をしたり、その時の様子を実況するなどして注意をひきつけ、その間にもう一人が作業に専念するとよいでしょう

基本の技術のうち、見る話すを前者が、触れるを後者が分担し、全体として心地よい状況を作り出すことで、介護される人がリラックスできる状態にするのがポイントです

 

  認知症を予防するには、生活習慣を見直す

 認知症を予防するには

認知症は一度発症してしまうと元に戻すことは困難です。しかし予防に効果のある方法はいろいろわかってきました

認知症とは、記憶力や判断力が低下して日常生活に支障が出る

認知症とは脳がダメージを受けて記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障が出る状態をいいます

人の名前や前日の夕食メニューなどを思い出せない、という経験はよくあることですが、食事をした、その人に会ったという体験自体を覚えている場合は単なる物忘れで基本的に心配いりません

 

しかし認知症になると自分が体験したことそのものを忘れてしまうため、食事をしたことや人と会ったこと自体をしばしば忘れてしまいます

65歳以上の高齢者の7人に一人が認知症と考えられています

 

・様々な支障が徐々に起きる

認知症になると脳のダメージが徐々に進んでいくので日常生活に様々な支障が生じてきます

最初に起こることが記憶力や日付曜日、人の名前などを正しく把握する見当識が低下する認知機能障害です

 

続いて起きるのは、入浴や着替えなどがうまくできなくなる日常生活動作の障害です

その次は、食べ物などを飲み込んだり歩いたりするのが難しくなる運動機能の障害が起こってきます

 

認知症委は一度発症すると元の状態に戻すのが極めて困難です。最近認知症を予防するために効果的な方法がいろいろわかってきたので予防を第一に心がけていくことが大切です

 

認知症の原因、様々な脳の病気が原因となって発症する

認知症は様々な脳の病気が原因で起こります。中でもアルツハイマー病は原因の約7割を占めます

・アルツハイマー病

アルツハイマー病は記憶をつかさどる脳の海馬という部分の萎縮から始まり、脳全体に委縮が拡大していきます

 

アルツハイマー病の人の脳にはアミロイドβたんぱくという物質が多くたまっています。この物質は脳で作られ自然に分解していきます

 

しかし分解されずに脳にたまると神経細胞が障害されて脳が委縮してしまいます。高齢になると、この物質を分解する働きが低下し脳にたまりやすくなります

 

アミロイドβたんぱくは、アルツハイマー病が発症する20年位前から徐々に蓄積されます。50歳を過ぎたら予防に取り組むことが大切です

 

・そのほかの原因

認知症の原因の約2割を占めるのが、脳梗塞や脳出血などの脳血管性障害を原因とする脳血管性認知症です

 

脳血管障害により脳の血流が妨げられると、その先にある神経細胞が死んでしまうため認知症が起きます

 

最近注目されているのはレビー小体型認知症です

脳の中にレビー小体と呼ばれる物質が現れ、それによって神経細胞が死滅して認知症が起こります

 




 

前頭側頭型認知症は、言語や理性などをつかさどる脳の前頭葉や、言葉の意味理解などをつかさどる前頭葉から萎縮が始まり、50歳代などの若い人に起こりやすいのが特徴です

 

認知症のリスク、生活習慣病があることが認知症のリスクを高める

高血圧や糖尿病、LDLコレステロールや中性脂肪が高い脂質異常症などの生活習慣病が、認知症のリスクを高めることがわかってきました

 

生活習慣病がコントロールされていないとアミロイドβたんぱくが増加しやすく、アルツハイマー病になりやすいとされています

 

また生活習慣病は動脈硬化を進めて脳梗塞や脳出血を起こすリスクを高めるので脳血管障害による認知症の原因にもなります

認知症の予防、生活習慣病の予防と脳を使った運動がポイント

生活習慣病を予防することは認知症の予防につながるので、食生活の改善、適度な運動、禁煙するなど普段の生活を見直します

 

今注目されているのは脳を使った運動です

計算をするなど脳を使いながらウオーキングなどの有酸素運動を行うと脳の血流が増加して脳が活性化し記憶力や判断力などの認知機能の低下が抑えられると考えられます

 

手軽にできる運動が歩きながら行うしりとりです。考えながら運動し続けることが重要です。1日30分週3回以上を行うと効果的です

散歩などの有酸素運動だけでも効果があることが分かっています

 

・人とのコミュニケーションも重要

人とのコミュニケーションにも認知症予防の効果があり、普段から人とかかわっている人は、認知症になりにくいことが分かっています

積極的に人とコミュニケーションをとるようにしましょう

 

  認知症患者との接し方

 認知症患者との接し方

認知症の人は認知機能などが障害されていくために大きな不安を抱えています。認知症の人と接する場合は、安心感を持ってもらうことが大切です

日常生活での接し方、4つの基本を守り安心感を持ってもらう

・ゆっくり優しい言葉で話す

ゆっくり話すことで話の内容を理解しやすくなります。また相手の手を軽く握って笑顔で話しかけると、こちらの気持ちが伝わってより安心してもらえます

 

・短く簡潔に話す

「着替えて出かけましょう」というように一度に2つの手順が含まれることを話すと認知症の人は混乱します

最初に「着替えましょう」と声をかけて着替えが終わってから「出かけましょう」と話すと理解しやすくなって行動もしやすくなります

 

・先回りして伝える

認知症の人は次に何をするのかという手順を忘れることがあります。そこで作業や行動が止まると、戸惑って不安感に襲われたり自信を失ったりします

無理に考えさせようとするのは不安感をあおってしまい逆効果です

 

たとえば、いつものコースを一緒に散歩している最中に立ち止まった場合は「そこを右に曲がったら家だよね」というように声をかけます

 

・できないことを非難しない

認知症の人が迷ったり失敗したりすると、非難したくなることもあるでしょう

しかし認知症の人は失敗やできないことですでに傷ついており、それを非難されるとダメージがさらに深まります

 

できるだけ寛容に受け止めるようにしてください

家族だけで理想的な介護をするには限界があります。家族ができる範囲で支え、介護保険などによる支援も積極的に活用していくことが望まれます

 

引きこもりの場合の接し方、趣味や外出をしなくなった理由を考えてみる

認知症が進むと、家に引きこもりがちになります

・なぜ起こるか

認知症では初期の段階から意欲低下がみられ認知症の進行に伴い程度が強くなっていきます。自信を失ったり不安も大きくなります

その結果、趣味や活動をやめてしまい外出する機会が少なくなり、引きこもりがちになっていきます

 

・対処法

まず引きこもりの理由を調べます。注意深く観察し理由を探してみることが大切です

周りがサポートすることで趣味を楽しみ続けていくことができないかを検討するとよいでしょう

 

物とられ妄想の場合、一緒に探し見つかったら解決できたことを喜ぶ

認知症が軽度から中度の段階でみられるのが、大事なものを盗まれたというものとられ妄想です

・なぜ起こるか

自分で財布など大事なものをしまったのに記憶障害のためにしまったことを忘れてしまいます

不安な気持ちを避けようとして自分を納得させるために誰かが盗んだと思い込みます。多くの場合家族など身近な人が疑われます

記憶障害による症状であり、嫌ったり恨んだりしているわけでないことを理解してあげてください

 

・対処法

反論したり感情的にならず一緒に探します。見つかったら解決したことをともに喜びます。話題を変えると、前のことに意識が行きにくくなります

多くの場合ものとられ妄想は繰り返し現れます。しかしその都度落ち着いて適切に対応していくと徐々に治まっていきます

 




 

興奮や暴力への対応、まずは家族や介護する人の安全を確保する

認知症が進むと夜中に興奮して大声をあげたり、暴言を吐いたり暴力を振るうようになります

・なぜ起こるか

認知症の人は日ごろから不安を抱えているので戸惑いや驚きの感情が一般の人より過敏になっています

周りの人の何気ない行動や環境の変化に触れただけでも戸惑いや驚きが増幅して怒りや恐怖にかわり、興奮や暴力につながってしまうのです

 

・対処法

最も優先するのは家族や介護する人の安全です。危険を感じたらいったんその場を離れる、人を呼ぶ、一時的に避難するなどして身の安全を確保します

興奮が治まらない場合は、認知症の専門医などの相談してください

暴力行為が起きやすいのが着替えや入浴の時などで、着替えさせようとすると急に起こって暴れる場合があります

いきなり体を触られたことで怒りや恐怖を感じるからです

着替えを手伝う人が相手に見える位置に立ち、正面から視線を合わせて着替えることを本人に伝えてから行うと良いでしょう

 

  認知症薬と副作用

 認知症の薬

薬物療法では、抗認知症薬を中心に周辺症状に応じた薬が用いられる

認知症とは脳が障害されて記憶力や判断力などの認知機能が低下して日常生活に支障をきたした状態をいう。認知症を引き起こす原因による主なタイプは以下のものがある

アルツハイマー型認知症:脳に異常なたんぱくがたまって神経細胞が徐々に死滅していく

レビー小体型認知症:脳の中にレビー小体という特殊な物質が現れ神経細胞が死滅していく。幻視やパーキンソン症状が現れる

血管性認知症:脳血管障害により脳の認知機能と関係する部位が障害されておこる

 

抗認知症薬とはどのような薬?

抗認知症薬として現在では、コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)とNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)の4種類がある

現在の抗認知症薬は、残念ながら病気を根本的に治したり進行を止めたりできる薬ではありませんが、認知症の症状の進行を抑える効果は期待できます

 

効果は限定的とはいえ最も確実な治療なので対象となるアルツハイマー型認知症などと診断がつけばしようが勧められます

具体的に期待される効果は周囲の家族によると「返事がさっと返ってくるようになった」「最近しなくなっていたことをまたするようになった」「ぼんやりしていた目つきがしっかりしてきた」など、注意や覚醒の向上などを感じることが多いようです




 

コリンエステラーゼ阻害薬とはどのような薬?

認知症の薬として最初に登場したのはドネペジル(アリセプト)で1999年以来唯一の抗認知症薬として使われてきました

2011年に内服薬のガランタミン、貼付薬のリバスチグミンが加わり現在3種類の抗認知症薬が使われています

コリンエステラーゼ阻害薬の基本的な作用は脳内の情報伝達に必要な神経伝達物質の一つであるアセチルコリンを分解する酵素の働きを阻害することで、脳内のアセチルコリンを増やし神経細胞間の情報伝達を活発にさせるものです

 

・3種類の薬の違いは?使い分けは?

長く使われてきたこともありドネペジルが最も広く使われています。用量によって軽症から高度までのアルツハイマー型認知症に使うことができ、レビー小体型認知症にも2014年に健康保険の適用が認められました

ガランタミンやリバスチグミンは軽度から中等度のアルツハイマー型認知症が対象とされます

ドネペジルでは低下した意欲を高める効果がよく見られますが、反面もともと興奮しやすい人では助長する恐れがあります

 

ドネペジルは意欲を高める効果は弱いものの、興奮や不安が強いような人にも使いやすい印象があります

リバスチグミンはその中間ぐらいで穏やかに聞いてくる感じです

・どんな副作用がある?

ドネペジルやガランタミンでは、最も頻度が高いのは吐き気、食欲不振、何べんなどの消化器症状で薬の飲みはじめや増量した時に出やすいです

リバスチグミンは消化器症状が少ない反面、かゆみやかぶれなど皮膚症状がおこることがあります

 

NMDA受容体拮抗薬はどのような薬?

NMDA受容体とは脳を興奮させるグルタミン酸という神経伝達物質を受け取る受容体の一つです。これが過剰に活性化されると、脳の神経細胞が障害されて認知機能が低下すると考えられています

この薬はNMDA受容体に結合して、グルタミン酸による過剰な活性化を抑えることで、神経細胞の障害を防ぐ効果があるとされています

 

コリンエステラーゼ阻害薬と違って興奮を抑える方向に働く薬で、中等度から高度なアルツハイマー型認知症が対象とされます

認知機能障害だけでなく怒りっぽい、攻撃的といった興奮系のBPSDを抑える効果も見られます

・どんな副作用がある?

代表的なのがめまいや眠気です。高齢者の場合ふらつきがないか注意が必要です。そのほか頭痛、便秘、食欲不振などが現れることがあります

 




 

どうなったら抗認知症薬を使ったほうが良い?

現在の抗認知症薬は進行を抑える薬なので、脳の神経細胞の障害が進まないうちから使うほうがメリットは大きいと考えられます

まず脳と体への適度な刺激、規則正しい生活や栄誉いうバランスの良い食事、人とのコミュニケーションなどを心掛けるようにし、そのうえで早めに抗認知症薬を使い始めることを勧めています

認知機能の低下はあるものの、神経細胞があまり失われていないうちに治療を始めることで、良い状態で過ごせる時期を長くすることを目指します

 

そのほか周辺症状に使われる薬とは?

BPSDに対しては、症状を起こりやすくさせる環境の改善や身体的な病気の治療などで軽減を図るのが基本ですが、症状が強い場合は和らげる薬を使います

怒りっぽい、興奮しやすいといった症状の軽減には、主に抗精神病薬が用いられます。そうした薬が使いにくい場合は漢方薬の抑肝散などを使うこともあります

 

衝動性が強く急に興奮するような場合には抗てんかん薬が有効なこともあります。また睡眠障害にはふらつきが少ない睡眠薬を、不安や抑うつがあればSSRIやSNRIなどの抗うつ剤を使います

レビー小体型や幻視が強い場合に抗精神病薬を用いたり、パーキンソン症状にはパーキンソン病治療薬を用いたりします

 

 

参考資料:「きょうの健康」

 

タイトルとURLをコピーしました