認知機能を向上させる方法
認知機能を向上させる方法
活動的な日常生活が認知機能を高める
人は誰でも加齢とともに認知機能は低下します。しかし発症前であれば認知機能を向上させることが可能です
有効な方法としては体を動かすことです
アルツハイマー病の危険因子には糖尿病や高血圧、肥満やうつ、身体的不活動などがあります。身体的不活動が、最もリスクの高いことが研究結果でわかってきました
高齢になると家に閉じこもりがちですが、そうすると心身の機能が急激に低下して発症のリスクが高まります
少しきつい程度の有酸素運動がおすすめ
活動量を増やすためのおすすめとしてウオーキングなどの有酸素運動があります
有酸素運動をすると海馬から脳由来神経栄養因子という物質が増加します。すると、神経の伝達機能が向上し海馬の容量の増加につながります
海馬の状態をよくすると認知症の抑制につながる可能性があると考えられています
運動はややきついと感じる程度の強度が理想的です
歩くならいつもより歩幅を5センチ程度広げて、少し汗ばむ程度の早歩きがおすすめです。さらに運動しながら計算やしりとりなど頭を使うトレーニングを行うと有効です
早期の対策が認知症の発症予防に
認知症は発症前に軽度認知障害という状態を経ることが分かっています
認知機能の低下はみられるけれど食事や入浴などの日常生活は遅れる状態です。しかし何も対策をしなければやがて認知症になる可能性が高まります
認知症は完治させることはできませんが、早期に対策をすれば認知症を改善させたり発症を送れさせることはできます
軽度認知障害の症状には、2,3日前の出来事を忘れる、以前興味あったことに関心がなくなる、料理や仕事を効率よく行えなくなるなどがあります
認知機能を上げる運動のコツ
自分でできる範囲で継続する:最初からきつい運動を始めると挫折の原因になります。体調に合わせて無理のない範囲で行い習慣化していくことが大切です
計算やしりとりなど頭の体操を並行して行う:ただ歩くだけでなく計算やしりとりなど認知機能トレーニングも同時に行うとより効果的です
ややキツと感じる程度に行う:高齢者の場合は、脈拍数が1分間に120回程度になる中京度の運動が有効です
ウオーキングは普段よりやや歩幅を広げ背筋を伸ばして、ややきついと感じる程度の早歩きがおすすめです
認知症の中核症状と周辺症状は?
中核症状は誰にでも現れる
認知症の症状は2つに分類することができます
中核症状(認知症の原因となる病気によっておこるもの)と周辺症状(中核症状による生活のストレスによって引き起こされるもの)です
具体的な中核症状とは
①記憶障害
物事を覚えられなくなったり、思い出せなくなったりします。食事の内容を忘れるのではなく、食事をしたこと自体を忘れてしまう
②見当識障害
時間、場所、人を見分ける能力などが低下していきます
③計算力障害
足し算など簡単な計算ができなくなります
④その他
アルツハイマー病の場合、失語、執行、実行機能障害なども現れます
具体的な周辺症状は
①不安や焦り
認知症の初期には自分の状態に違和感が感じられます。そのため多くの人は強い不安や焦りを感じます
②自発性の低下、意欲減退
物事に興味を示さなくなり自発性や意欲が衰えます
③うつ状態
不安や焦りからうつ状態に陥ることがあります。うつ状態が悪化すると気分が落ち込んだり、理由もなくイライラしたりする様子が見られ、最悪な場合は自殺を図ることもあります
④情緒障害
喜怒哀楽の感情が鈍くなっていきます。また本来の性格の特徴がより強まったり、まったく別人のような性格になったりします
⑤妄想・幻覚
不合理なことを信じ込んだり実際にはないものが見えたり聞こえたりします
⑥睡眠障害
寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚めてしまう、熟睡できない、などのタイプがあります
⑦問題行動
徘徊や食品以外のものを口にする異食、失禁、興奮して騒ぎ立てる、暴力をふるう、などがあります
周辺症状は改善する?
周辺症状は、家族や介護者によるケアや薬物療法で改善も可能です。問題行動の原因を突き止めて適切に対処することで症状も改善します
まずは環境つくりや患者との接し方について担当医に相談するとよいでしょう
生活の中にある認知症の原因
認知症のリスクを高める因子
認知症の原因や治療法などははっきりと改名されていませんが、発症のリスクを高める因子などはわかってきました
アルツハイマー病の場合は、加齢や家族歴、遺伝的な体質などが発症にかかわっていることが知られています
スポーツなどによって頭に繰り返し衝撃を受けたり事故などで頭を強く打ったりすることも発症に影響があるといわれています
生活習慣病もリスク
脳血管障害による認知症のリスクは、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病ですこれらは動脈硬化を進行させるために欠陥に負担をかけてしまいます
生活習慣病の予防はアルツハイマー病の予防にもつながるということがわかります
栄養バランスの偏った食事、肥満、ストレス、過食、運動不足、過度の飲酒、喫煙などは避けるような生活習慣を心掛け実践していくことが必要です
人付き合いや趣味を
・趣味を持つ
趣味を持ったり友人を作ったりして社会とのつながりを持ち続けることは脳に刺激を与えることになるので認知症の予防につながります
ダンスやゲートボール、楽器など本人が興味の示すものを探してみましょう
一人暮らしの高齢者は年々増えていますが、なるべく一人で家に閉じこもらないように回りが気遣うことも必要でしょう
・人との交流
社会的なつながりが豊富な人ほど認知症のリスクが低下するといわれます。積極的に他人と関わりましょう。人によっては通所サービスなどを利用するのも良いでしょう
環境の変化は避ける
高齢者にとっては、環境の変化が認知症を進行させる結果になることもあります
住み慣れたところで暮らしたり、毎日の生活パターンを変えないなど環境を変えないことが大切です。
どうしても無理な時には、以前の環境に近づけたり、慣れ親しんだものを身近に置くなど、なるべく似通った生活パターンにもっていくとよいです
参考資料:認知症の予防と介護.ためしてガッテン