高脂血症患者の看護計画
#1生活習慣と疾患の進行状況、治療との関係についての知識不足がある
看護診断 知識不足
関連因子:情報の誤った解釈、学習に対する興味の不足、情報源に慣れていない
診断指標:問題を言葉に出して表す、指示されたことをいい加減に遂行する、試練をいい加減に遂行する、不適切な行動
看護目標
長期:1)生活習慣と疾患経過の関連性を理解し、効果的な治療計画管理を行うことができる
2)疾患経過・治療法について理解し、納得したうえで治療を受けることができる
短期:1)適切な食事療法、運動療法について具体的に述べることができる
2)必要とされる生活行動の変容を述べることができる
3)出現する可能性のある症状について説明できる
4)食事療法、運動療法、薬物療法について疑問点を説明できる
OーP
・家族構成、職業、趣味、思考、生活様式
・学習の動機づけがあるか
・情報の誤解がないか
・どの知識が不足し、どのような情報をほしがっているか
・退院後の生活行動の変容に関して学習する姿勢・医師・動機づけをどの程度持っているか
・保健行動、健康への信念、食事に対する価値観、家族との相互作用の協議
TーP
・患者の認識を尊重する
・資源として活用できる人や専門家のチームを提供する
・運動療法として軽い有酸素運動を毎日30分以上続けることを提供する
EーP
・医療機関の定期的受診を勧める
・脂質異常症と冠動脈疾患との関連性を示す病態生理を説明する
・ストレスの軽減、禁煙などの生活行動の変容を指導する
・理解しやすい言葉を用いる
・生活行動の変容の決定は患者本人が行う様にする
#2血清脂質高値、不適切な生活習慣の継続によって、動脈硬化が進行する恐れがある
看護診断 非効果的健康維持
関連因子:情報の誤った解釈、動機の欠如、不適切な健康教育
診断指標:過食、脂肪分の多い食事、不健康な習慣があると報告している
看護目標
長期:健康維持行動にかかわる意思があることを言葉に出す
短期:1)適切な血清脂質値、理想体重値に近づくことができる
2)規則正しくバランスのとれた食行動がとれる
3)過剰摂取の原因を述べることができる
OーP
・患者にとっての健康の定義
・当面の健康上の心配事
・疲労、異常を疑う症状や徴候の頻度
・血液データ
・食生活:内容、量、時間、外食の頻度、食事量とエネルギー、思考、食事環境、食事に関する知識、アルコール摂取量
・生活習慣、労働時間、活動量
・疾患治療検査に関する知識
・健康管理行動、合併症予防の知識
・治療法
・医療者、家族に対する信頼感
・常用薬の有無と副作用
・家族の理解の程度、協力体制
・精神状態とストレス対処行動
・家族環境、職場での位置、仕事内容
・肥満の程度
・栄養状態の変化
TーP
・適正摂取エネルギーの中で糖質、タンパク質、脂質のバランスをとった食事を行う
・コレステロールや飽和脂肪酸摂取を制限する
・禁酒、アルコール摂取量の制限を促す
・効果的な管理を妨げる因子を明らかにする
・患者の話をよく聞き、患者への期待を強要しない
・治療計画管理に対して患者が過去に成功した体験を確認する
・治療に対する良い結果、予測される結果を説明する
EーP
・動脈硬化を生じる危険性についての情報を提供する
・食行動の改善をうながす
・食材の工夫、調理方法の工夫を具体的に説明する
・生活を共にし調理する人にも食事療法の内容と理解を得る
・適宜、栄養士や専門機関に紹介する
・定期的スクリーニングによる、動脈硬化などの異常の早期発見を促す
・運動の利点について話し合う
#3生活行動の変容に対する意欲の不足、自己管理機能の不足、脂質異常症の否認、治療法の効果が得られない。サポートシステムが不十分などの問題がある
看護診断 非効果的自己健康管理
関連因子:ヘルスケアシステムの複雑さ、治療計画の複雑さ、知識不足、問題の重大性に対する疑問
診断指標:治療計画を毎日の生活に組み込むことができないと言葉に表す、健康目標を達成するには効果的でない選択を毎日の生活の中で行う、危険因子を減少させる行動をとることができない
看護目標
長期:1)血清脂質値が改善し安定する
2)身長、年齢、性、体重に見合った標準体重に回復し安定する
3)治療を継続できる
短期:1)治療方針を説明できる
2)症状を引き起こす原因、疾患または症状のコントロールのため治療計画について説明できる
3)健康管理の変調をきたした原因を述べる
4)報告の必要性のある症状や徴候をあげることができる
OーP
・疾患、治療、予防措置に関する知識
・疾患の受け入れに関する患者の言動
・食事療法、運動療法、薬物療法についての知識と理解の程度と言動
・食事内容
・活動状況
・体重の増減
・治療の継続に関する意義と行動変容のための工夫点
・学習能力、学習に影響を及ぼす因子
・自己管理に対する姿勢
・生活状況、職場状況
・合併症の徴候
・検査データ
・ストレスの有無と程度、ストレス対処行動
・自己効力感のレベル
・学習意欲、理解力
TーP
・今まで行ってきた自己管理行動を容認し、努力を認め患者の意志や考えを尊重しながら今後の治療計画を提示、共有する
・健康維持に必要な知識を具体的に提供する
・ストレス管理の指導
EーP
・従来の生活習慣に対する問題点について、患者家族とともに具体的に検討し修正の方法を考える
・患者家族が自ら情報を求め十分に納得したうえで修正方法を決定するように促す
・有効な社会資源の活用や専門職を紹介する
#4社会生活の継続と生活習慣の改善との両立に関する不安がある
看護診断 不安
関連因子:健康状態の変化、健康状態に対する脅威
診断指標:自身がない、心配などの感情を述べる
看護目標
長期:疾患経過治療法を理解することで不安が軽減する
短期:不安が表出できる
OーP
・疾患治療の受け入れに関する患者の言動
・不安の原因や内容についての情報
TーP
・気持ちの整理がつけられるように関係を作り情報を管理する
・患者が話や安い環境・雰囲気づくり、言葉遣いを心がける
EーP
・患者にとって有効で、具体的な情報を提供する
参考資料:疾患別看護過程