寝たきりで下肢筋力低下の夫
筋力低下
夕食後に薬を飲んで30分もしないうちにベッドに寝てしまった夫は、20時の薬も内服せずに熟睡の様子だった
最近は昼も夜も本当によく寝るし、下肢の筋力も低下しているようで散歩もしなくなってしまった。よだれや鼻水も絶えず出るので話すことも少なくなった
外来受診の時も医師の問いかけに発語が少なかった。医師は表情もいつもと違うと言っていたが、確かに無表情になっていっているように思う
「話しているとよだれが出そうで口を閉じていた」と夫は外来受診後話したが、顔の表情のなさと頭がうつむき加減の体形、そして足も小刻み歩行になってきていることは、薬の副作用に違いないと思う
薬の量をもう少し減らさなければ副作用が強そうで心配になる。しかし担当医は今回も「退院してまだ2か月なので薬はもう少しこのまま続けましょう」という
確かに2か月しかたっていないけれど、仕事を休んでずっと一緒にいるせいか、気分的には2か月以上たっているような気がする
寝ている夫に20時の薬を飲むことを勧めると「飲まなくていい、眠い」と閉眼したまま答えた。私が薬を飲むことを何度も勧めると「トイレに起きた時に飲むからいい」と不機嫌そうに強めの言葉で答えた
しつこすぎて気分を害されても困るので、それきり眠前薬を勧めるのをやめて自分の部屋に戻った。夫は10分もしないうちに自分で起きてトイレに行き薬も飲んだ様子だった。
薬を飲んだことを確認したいのでもう一度夫に「起きたの?」と声をかけに行った。「薬も飲んだ?」と聞いたが、空袋があったので、すでに飲んだことは分かった
「歩けるようになるかなあ、このまま歩けないまま死んでいくのかなあ」などとぽつりと暗い言葉を吐く
足の不都合が、薬の副作用に違いないとは言わなかった。ただ「絶対歩けるようになるから歩く練習しよう、筋肉を鍛えよう」とだけ言った
薬のせいに違いないと疑うと、夫は治療薬を飲まなくなってしまうに違いない。そうしたらまた入院になるかもしれないのだ
必要な薬を飲んで、日常生活をちゃんと自分の家で送ってもらいたい、そう思う。治療薬が夫の体に合って、精神的にも身体的にもちょうどよくなればいいのだが
活気のある表情で元気に笑顔で話す夫に、活動的な夫に早む戻ればいいのに。声も小さくなった。自分でも声が出にくいなどという
「前は大きな元気な声だったね」というと「そうやったけ?」と前かがみの頭を少し持ち上げて私の顔を見て話す夫は、やはり病気の夫なのだ