血管内留置カテーテルの感染予防
血管内留置カテーテルの感染予防
ほとんどの病院感染血流感染は中心静脈カテーテルの使用に関連しており、中心カテーテルを挿入されていない患者よりも挿入されている患者のほうが血流感染の割合が相当高かった・・・2002年CDCガイドラインの報告
カテーテルのタイプ
一般に血管内カテーテルには一時的血管アクセスと長期間欠陥アクセスの大きく2つのカテゴリーに分類され、一時的カテーテルが経皮的に挿入されるのに対して、長期間カテーテルは通常外科的挿入を必要とします
・ 短期間血管アクセスに用いられるカテーテル
① 末梢静脈カテーテル:末梢静脈カテーテルは普通前腕や手の静脈に挿入され、血管内カテーテルとしては最も一般的なものです
② 末梢動脈カテーテル:ふつう急性ケア領域で重症患者の血行動態をモニターするために使用されます
③ 中間カテーテル:従来からある末梢カテーテルや中心静脈カテーテルに代わってポピュラーになってきた3~8インチの抹消カテーテルです。感染率やコストが低いといわれています
④ 非皮下トンネル中心静脈カテーテル:CDCガイドラインでは中心静脈カテーテルはカテーテル関連血流感染全体の90%をしめ、さらにそのほとんどを占めているのが、非皮下トンネル中心静脈カテーテルであると報告されています
⑤ 中心静脈カテーテル:肺動脈カテーテルなどの中心動脈カテーテルは、留置期間が短いにもかかわらず、中心静脈カテーテルと同程度の菌血症発症率が見られます
⑥ 圧モニタリングシステム:カテーテルと接続して使用されるモニタリングシステムは、血管内カテーテルと圧モニタリングシステムの間のチューブ内に病原体が混入する危険性があります
菌血症のアウトブレイクの原因となったことが報告されており注意が必要です
⑦ 抹消から挿入する中心静脈カテーテル:鎖骨下あるいは頚静脈カテーテル挿入に代わるもので、前肘窩の頭骨及び、尺側皮静脈を経て、上大静脈へ挿入されます
・ 長期間血管アクセスに用いられるカテーテル
① 皮下トンネル中心静脈カテーテル:外科的に埋め込む中心静脈カテーテルは、長期間の静脈療法を要する患者の血管アクセスとして使用されます
② 完全埋め込み型血管用具:皮下にトンネルを作りますが、無傷の皮膚を通して針を刺すことによってアクセスされるセルフシーリング隔壁を備えた皮下ポートまたはリザーバーを持っています。患者のイメージを良くし、ルーチンのカテーテル挿入部位のケアを必要としないという利点があります
カテーテルの選択
カテーテルの選択をするときには、アクセスルートが多くて便利だという理由だけでなく、感染リスクの減少を第一に考えて必要最小限度のルーメンを持つカテーテルを選ぶべきです
マルチルーメンカテーテルの感染リスクが高いのは、カテーテルの刺入部が大きくなったり使用頻度が高くなるため、感染しやすくなるからです
挿入部位の選択
血管内カテーテルは挿入部位によって、感染率が異なるため挿入部位の選択が大変重要です
挿入部位を選択するときはできるだけリスクの低い部位を第一に選択します
また中心静脈カテーテルがない経静脈や代替静脈に挿入されているときは、できるだけ早期にリスクの低い部分に入れ替えることが必要です
手洗い、バリア、プリコーション
カテーテルを挿入するときはまず趣旨を衛星西無菌的に操作することで感染を予防します
さらに中心静脈カテーテルは高度の滅菌マキシマル・バリア・プリコーション(滅菌手袋、滅菌ガウン、キャップ、マスク、滅菌の大きなドレープ)の元挿入します
挿入部の清拭、消毒
カテーテル挿入時の皮膚消毒はカテーテル関連の感染を予防する最も重要な手段の一つとみなされていますが、その前に入浴シャワー石鹸正式などによって、挿入部位の皮膚の微生物の低減化を図っておくことが大切です
CDCガイドラインでは、2%クロルヘキシジン水溶液がほかの消毒剤よりも中心静脈・動脈カテーテル関連感染を予防するのに優れていることが示されたと記載あります
ドレッシング
CDCガイドラインでは、カテーテル挿入部位のドレッシング材は、半透過性の透明ドレッシングが安全で経済的です。透明なドレッシングは器材を確実に留め、カテーテル挿入部の肉眼的な観察を持続的に行うことができ、患者がドレッシングを濡らすことなく入浴したりシャワーしたりできる、としています
ガイドラインでは、抹消静脈カテーテル挿入部位に予防的な局所用抗菌薬または抗菌薬軟膏やクリームをルーチンに使用しない、と勧告しています
ガイドラインでは、挿入部の皮膚の状態を観察しにくくなるので、炎症のなどの合併症の発見をしやすくする方が、感染対策として重要だとしています
カテーテル挿入・抜去の実際
カテーテル挿入の手順
① 手が肉眼的に汚れていなければ、擦式アルコール製剤で手指消毒する。そのほかは手洗いをする
② 滅菌マキシマルバリア・プリコーションを行う
・ 滅菌手袋着用
・ 滅菌ガウン着用
・ 清潔なマスク着用
・ 清潔なキャップ着用
・ 滅菌の大きなドレープ(患者を覆う)
③ 挿入部の皮膚消毒
④ 挿入する
⑤ 透明ドレッシングで刺入部を覆う、固定する
⑥ ドレープを外す
⑦ 手袋、ガウン、マスクを着脱する
⑧ 手が肉眼的に汚れていなければ擦式アルコール製剤で手指消毒する
カテーテル抜去の手順
① 手が肉眼的に汚れていなければ、擦式アルコール製剤で手指消毒する。そのほかは手洗いをする
② 滴下クランプを止める
③ 未使用の清潔な手袋をする
④ ドレッシングをゆっくりとはがす
⑤ 乾燥した滅菌ガーゼを刺入部にあて、カテーテルを静かに抜き出血が止まるまで焼く分間押さえる
⑥ 別の滅菌ガーゼを当てて刺入部を保護する
⑦ 手袋を外す
⑧ 手が肉眼的に汚れていなければ擦式アルコール製剤で手指消毒する
挿入後のケア
末梢静脈カテーテルに交換
末梢静脈カテーテルに交換は、72~96時間ごとに行い挿入部をローテイトします。炎症や輸液漏れの兆候が出現したら速やかにカテーテルを抜去しほかの部位に切り替えます
挿入部位は少なくとも勤務シフトに1回は目視し記録しておきましょう
輸液セットは液体容器に接続する針から血管内カテーテルに接続する部分までを含みます。したがって、血管内カテーテルを入れ替えるときは延長チューブも交換します
ドレッシングの交換
前出したように、透明なドレッシングは7日間で交換しても安全とされ、長期の使用が可能ですが、発汗などによってはがれたときには、速やかに新しいものと交換します
また挿入部の出血があったり、浸出液がみられるときは、ガーゼとテープによる方法のほうが好ましい場合もあります。その場合にガーゼ交換は48時間ごとに行います
ドレッシング交換時には必ず手指消毒し手袋を装着します。素手で操作することは厳禁です
閉鎖式輸液ラインシステムの導入
ライン内フイルターが感染予防に有効とするデータはない
フイルターが血管内留置カテーテルの艦船や注入システムに関連した感染を予防できるという報告はありません
最近では閉鎖式輸液ラインシステムを導入している施設が増えました。ラインのセッテイングやアクセスが菅便となり、また三方活栓によるラインの開放がなくなるため、厳密な無菌操作が可能になります
参考資料:エビデンスに基づく感染予防対策