経腸栄養時の注意点について
経腸栄養時の注意点
経腸栄養時はどのような体位で行うべきか?→腹部が圧迫されない安定した体位をとる
坐位ヘッドアップ90度もしくはヘッドアップ30度以上が良いとされている。ただし腹部が圧迫されない安定した体位をとることが重要となる。胃食道逆流や誤嚥を防止する為である。
腹部圧迫を避けることが重要
- 坐位が可能であれば坐位とする。患者の状態に合わせた車椅子を選択する。また安定したポジションをとれるよう枕などの補助具も必要であれば利用する。
- 人工呼吸器装着中の患者においては誤嚥予防に30度から45度のヘッドアップを推奨している。しかし褥瘡予防の為、ずれを防止する観点からヘッドアップ30度以上ではなく30度をきちんと守ることが浸透しつつある。
- 誤嚥予防という目的は経腸栄養を行う場合にも同じように考える。人はそれぞれ体形や胃の大きさが異なっていて、疾患によっては麻痺や身体障碍がある場合がある。
- 坐位かもしくはヘッドアップ30度が望ましいと言われているが、患者個々の状態によって腹部を圧迫せずに安定した体位で経腸栄養を行えるようにすることが重要である。
- たとえば、硬度の肥満によって上半身を起こすと腹部を圧迫されるような場合、ヘッドの傾斜機能を利用すると腹部への影響が少なくなる。
ヘッドアップ困難な状況では
- 患者の状態によってはヘッドアップが困難な状態もあるが、そのような場合、胃食道逆流リスクが少ない方法をとる。経鼻的に十二指腸や空腸にカテーテルを留置するか、空腸ろう、もしくは経胃瘻的空腸カテーテルを検討する必要がある。
- これらはカテーテル先端が十二指腸や空腸にあるため、体位の制限がなくなる。
経鼻胃管カテーテルやバッグの交換はいつ行うべき?→PEGの場合、バンバー型は4~6カ月ごと、バルン型は1~2か月ごとに交換する。バッグの種類により交換時期は異なる。
経鼻胃管カテーテルの交換時期は、CDCガイドラインや静脈経腸栄養ガイドラインでも明らかになっていない。施設によっては2週間おきに交換するところもある。
PEGの場合バンバー型は4~6カ月ごと、バルン型は1~2か月ごとに交換する。バッグの種類により交換時期は異なる。
患者の病状、カテーテルの閉塞状況を見る
製品の文献には明確な持続使用期限の記載はないが、急性期においては患者の病状やカテーテルの閉塞状況によってカテーテルを変更しているケースが多いと思われる。
カテーテルをフラッシュする
- 施設のルールによって2週間ごとや1か月、もしくは内腔の汚染が増加してきたときに交換というようにさまざまである。
- カテーテル内腔に栄養剤が残った場合、微生物が繁殖しやすくなることや閉塞の危険性がある。
- ガイドラインではカテーテル内腔を白湯でフラッシュする必要があるとしている。成人の持続傾聴栄養では4時間ごとに、間欠的経腸栄養では前後で30mlの水でフラッシュすることをASPENでは推奨している。
閉鎖式、開放式、それぞれの場合
- 閉鎖式セットの場合は24時間~48時間の投与可能とされているが、開放式の場合は少なくとも24時間ごとに交換(ASPEN)、6~8時間毎に交換(JSPEN)とされている。
- 添付文書の記載事項を確認して、交換時期を検討する必要がある。
- また開放式セットの場合は、投与する栄養剤の種類によって交換時期が異なり、粉末タイプを液状にした場合は6時間ごとに、液状タイプは8時間ごとにボトルを変更することが推奨されている。
- 栄養チューブやボトルの交換については、各施設においてガイドラインや製品情報を踏まえたうえで院内のルールを決め、対応することが良いと考える。
参考資料:看護技術ケアの疑問解決Q&A