肝硬変・門脈圧亢進症患者の看護計画

肝硬変・門脈圧亢進症患者の看護計画

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#1門脈圧亢進、膠質浸透圧低下、ナトリウム貯留に関連した腹水と浮腫が見られる

看護診断 体液量過剰

関連因子:調節機構の障害、過剰なナトリウム接種

診断指標:腹水・胸水貯留、乏尿、電解質値の変化、呼吸困難、短期間での体重増加、浮腫

看護目標

長期:腹水、浮腫が消失する

短期:1)血清アルブミン値が正常になる

2)塩分制限食を守ることができる

3)浮腫の原因と予防法が述べられる

OーP

・バイタルサイン、腹囲、呼吸困難や腹部膨満感

・水分出納、塩分摂取量と生活習慣

・浮腫の部位・程度、血液貯留やうっ滞の徴候

・浮腫の部位の皮膚損傷の有無

TーP

・リンパ還流の促進:可能であれば常に浮腫のある患肢を枕で心臓の高さより挙上する

・浮腫のある皮膚を外傷から守る

EーP

・塩分制限の必要性と減塩の指導:塩分以外の香辛料で風味をつける

・体を締め付け血行を悪くする下着や靴下、包帯や足を組む動作を避け、可能な時は下肢を挙上するように指導する

・浮腫部位は皮膚損傷しやすいため刺激の強い洗剤、重い荷物の持ち歩き、熱傷、貴金属の装着を避けるように指導する

・患部が発赤、腫大、硬化した場合、できるだけ早く受診するよう指導する

 

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#2肝硬変の多様な症状に伴う苦痛がある

看護診断 安楽障害

関連因子:肝硬変、腹水、浮腫

診断指標:安楽でないという訴え、疾患に関連する症状、苦痛を感じる症状の訴え

看護目標

長期:苦痛を表出でき、軽減するあるいは悪化しない

短期:1)苦痛があることや症状について具体的に表出できる

2)苦痛緩和のための処置やケアに協力・実践できる

3)苦痛が和らぎ日常活動が増加したと述べることができる

OーP

・苦痛や不快に関する言動、苦痛や不快のレベル

・苦痛緩和の治療・処置に対する理解や受け止め、苦痛をこらえていないか

・苦痛の増強・緩和因子、気分転換方法、苦痛による日常生活への影響

TーP

・苦痛の訴えをよく聞き患者と相談・納得の上で緩和治療や処置を行う

・日中は休息できる時間を設け夜間は中断されない睡眠環境を提供する

EーP

・苦痛を我慢せず伝えるように説明する

・苦痛と治療に関する誤解がないか話し合い、納得できるよう説明する

・苦痛緩和のために実施可能な種々の手段についての説明、実施や介助を指導する

#3食欲不振、タンパク質・資質・糖質の代謝障害、ビタミンの貯留障害、下痢に関連して栄養摂取が困難である

看護診断 栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

関連因子:肝硬変、代謝・栄養貯蔵障害、下痢

診断指標:1日推奨食物摂取量より少ない不十分な食物摂取の訴え、血清アルブミン値の低下、下痢、摂食に対する嫌悪

看護目標

長期:食事摂取量が増え、血清アルブミン値が改善する

短期:1)経口摂取量が1日の推奨食事量の8割まで徐々に増す

2)下痢が消失する

3)経口摂取低下の原因を説明できる

4)経口摂取量を増やすための工夫を共に考えることができる

OーP

・食事摂取量、食欲

・代謝障害

・毎日同じ時間に体重測定

・食事前後の様子

TーP

・栄養士に相談し、現実的で適切なカロリー必要量を特定する

・毎日の食事・感触の摂取目標量を患者と相談し決める

・食欲がわくような雰囲気・楽しさなど環境への配慮

・食事の前に不快や痛み、悪心を催す処置や検査が入らないようケア計画を調整

・食事前後の口腔ケアによる清潔保持

・胃の膨満感を減らすよう食事を分割して提供

・食欲のない場合の工夫:許可範囲で味の濃いものをとる。持たれるものは避ける。食べたい時間に食べる。栄養補助食品を試すなど

EーP

・適切な栄養摂取の重要性の説明

・減塩で食欲のない場合には、香辛料を工夫して味や風味を整えるよう指導

・食前後に休息をとるよう指導

 

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#4病状や治療によるADLの制約がある

看護診断 活動耐性低下

関連因子:床上安静、全身衰弱

診断指標:労作時の呼吸困難、活動に対する心拍数、血圧の異常な上昇、倦怠感の訴え

看護目標

長期:身体的苦痛、栄養状態や浮腫が改善しADLが増す

短期:1)活動性を低下させる因子に気づき述べられる

2)活動増加による呼吸循環への影響の減少が示される

3)活動に伴う息切れや動悸の減少を報告する

OーP

・安静時、活動直後のバイタルサイン、活動中の不整脈や脈圧低下、活動後の頻呼吸、頻脈、酸素飽和度の低下の有無

・活動低下の受け止め

TーP

・バイタルサインの強い変動や自覚症状の増強がある場合、活動負荷、頻度、持続時間を減らす

・活動の段階的な増加:長期臥床中の患者へのROM運動の実施、安静と活動時間の調整による運動耐性の増加

・必要に応じてフォローアップのため訪問看護師や訪問リハビリテーションを紹介する

EーP

・活度のためのエネルギー温存方法を指導

・家庭でも長く続けられる運動方法をPTに相談し指導する

 

#5腹水貯留に続発する横隔膜圧迫に関連した呼吸機能障害の恐れがある

看護診断 非効果的呼吸パターン

関連因子:腹水、胸水、疲労、苦痛

診断指標:呼吸の深さの変調、呼吸困難、頻呼吸

看護目標

長期:胸水腹水が軽減し適正な換気が保持できる

短期:1)必要に応じ1日5,6回深呼吸運動と咳嗽訓練が実施できる

2)最大の呼吸機能に到達できる

3)毎日呼吸訓練を行う重要性が述べられる

OーP

・バイタルサイン、酸素飽和度

・四肢冷感、チアノーゼ、肺音、咳嗽、痰の性状

・胸部X線、超音波検査による胸水腹水所見

・尿量

・呼吸困難、息切れの訴え

TーP

・指示された利尿薬の確実な与薬

・口腔内の保清と気道の清浄化

・定期的な呼吸訓練の実施と介助:深呼吸、咳嗽、インセンテイブ・スパイロメトリーの使用

・体位変換、離床・歩行など活動性の促進

EーP

・胸水・腹水など、呼吸障害の説明、呼吸訓練・治療法えお個々の患者に応じて説明

 

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#6外観の変化に関連したボディイメージの低下がある

看護診断 ボディイメージ混乱

関連因子:肝硬変、黄疸、腹水

診断指標:身体の一部を見ない、自分の身体についての見方の変化を反映した感情を言葉に出す

看護目標

長期:外観の変化が軽減するか持続する場合、変化を受け入れられる

短期:1)新たな対処パターンを行うことができる

2)外観の受容を述べられる

3)回復意欲と能力を示すことができる

4)新たな支援システムの確立や温存の支援システムの再構築ができる

OーP

・外観の変化の程度(黄疸、腹水、浮腫など)

・患者や周囲の変化に対する反応と適応状況

・支援の状況

TーP

・感情を表すよう支援する

・健康障害や治療過程、予後に関し質問するよう支える

・患者自身や周囲に対して患者が抱いている誤解を解く

・家族や親しい人々が患者の変化に感じる困難、恐怖を話し合い適応できるように支える

・家族や親しい人々の面会を促し、絆を確信できるように支える

・同様な経験を持つ人たちと経験を分かち合う機会を提供する

EーP

・病状や治療に関する正確な情報提供と理解の促進

・必要に応じ利用可能な社会資源の活用を指導する

 

#7肝硬変の憎悪因子の知識不足や療養生活の長期化に伴うセルフケア困難が見られる

看護診断 非効果的自己健康管理

関連因子:知識不足、ヘルスケアシステムの複雑さ、ソーシャルサポートの不足

診断指標:治療計画を毎日の生活に組み込むことができない、危険因子を減少させる行動をとることができない

看護目標

長期:肝機能が維持、改善できる

短期:1)肝硬変の症状の出現・悪化がない

2)肝機能に関する検査値の悪化がない

3)肝庇護のための療養行動がとれる

OーP

・肝硬変の症状の継続的な観察

・検査結果からの進行度の把握

・疾患治療に関する認識

・肝庇護の実践状況

TーP

・指示された肝庇護薬の確実な与薬

・検査の準備と終了後のケア

EーP

・肝硬変を進行させる危険因子の説明

・日常生活における肝庇護の必要性と方法の説明・指導

・肝硬変の特徴と自己チェック方法の指導

 

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#8プロトロンビン産生、血液凝固物質産生の低下に関連した身体損傷の恐れがある

看護診断 身体損傷リスク状態

危険因子:出血傾向、浮腫、腹水、倦怠感、肝性脳症

看護目標

長期:身体を損傷することがなくなる

短期:1)身体損傷の危険因子に気づくことができる

2)身体損傷を防止する意思があると述べることができる

3)具体的に身体損傷を防ぐ方法を実施できる

OーP

・意識や認識は正常化、安全な行動がとれるか、ナースコールを使えるか

・周囲の環境の危険性の有無

TーP

・ベッド周囲の整頓、ベッドの高さや履物の調整による転倒防止

・夜間用の照明の使用、必要に応じ歩行や移動の介助

・危険行動のある場合、頻繁な訪室、ベッドを低くした名をあげる、ゆかにマットを引く、身体拘束

EーP

・入院環境、周辺環境を説明し必要に応じてナースコールと使用するように指導

・過程では床やふろ場の滑りやすさへの注意、手すりの設置、移動しやすい環境を整えるよう指導

 

#9疾患の難治性、進行性による予後に対する不安や葛藤がある

看護診断 不安

関連因子:疾患や症状・余語、自己概念の脅威、入院、休職

診断指標:生理的変化、悪心、不眠、頻尿、人生の出来事のh原価による心配を表明する

看護目標

長期:通常の対処により、不安や葛藤が増強しない

短期:1)自分の不安や対処パターンについて話すことができる

2)心身の安楽が増したと述べることができる

3)不安をマネジメントする効果的な対処方法を用いることができる

OーP

・不安の徴候や言動、不安の程度の継続的観察

TーP

・安心と安楽の提供:ゆったり静かに話す、感情を受け止める

・過剰な刺激を遠ざける

・緊張を和らげるケア提供

・家族への配慮

EーP

・心配や脅威、緊張などの気持ちを我慢世辞看護師に伝えてほしいことを説明する

 

「肝臓がん患者の看護計画」はこちらです→「肝臓がん患者の看護計画}

 

参考資料:疾患別看護過程

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