痔核患者の看護計画
#1便秘により症状が悪化する
看護診断 便秘
関連因子:痔核、不規則な排便習慣、繊維製食品の不十分な摂取
診断指標:固い有形便、排便時のいきみ、および疼痛、排便不能
看護目標
長期:強くいきむことなくスムーズに規則正しく排便があり、症状が悪化しない
短期:1)便性状は固くなく普通便
2)排便時にいきまない
3)食物繊維を意識的にとる
OーP
・便の性状と排便回数
・排便に要する時間と排便時のいきみの有無、排便時の疼痛
・食物繊維の摂取状況
TーP
・排便時に疼痛がある場合には肛門の粘膜を保護するため、抗炎症効果を期待して処方された薬物を用いる
・排便時に疼痛がある場合座浴を行う
EーP
・長期間にわたりいすや便座に座らないように指導する
・排便時にはいきまないように指導する
・食物繊維を豊富に含むバランスの良い食事を規則正しくとる。1日に摂取する食物繊維の目安は25グラムである
・禁忌でなければ1日に少なくとも2リットルの水分をとるように勧める
・あさ、コップ2杯程度の水をとるように勧める
・朝はゆとりをもって起床し、朝食は必ず取るように指導する
・排便中に下腹部を軽くマッサージしたり、腰背部をマッサージしたりする方法を指導する
・運動不足の場合、適度な運動を進める
・必要時には家族へも食事指導を行う
#2痔核による疼痛がある
看護診断 急性疼痛
関連因子:内痔核の脱出、外痔核の存在、肛門内圧の上昇(いきみ)
診断指標:疼痛部位をかばおうとするしぐさ、疼痛を避けるための体位付け、苦悶様顔貌
看護目標
長期:痛みが消失する
短期:1)疼痛緩和に効果的な方法を言える
2)疼痛増強に影響する行動を言える
OーP
・排便時の痛み、排便時以外の痛みについて尋ねる
・疼痛による動作や行動の変化が生じているか観察する
・薬物の使用
TーP
・何故疼痛が増強するのか、緩和するのかその理由について話し合う
・治療の必要性があると判断できる場合には、患者もしくは医師にそれを伝える
EーP
・疼痛の原因を説明する
・下半身を冷やさないこと、特に同一姿勢で長時間座っていることは悪化原因となることを指導する
・座浴方法を指導する
・食物の効果的な使用方法について指導する
・硬便のために疼痛が増強することもあるため、普通便となるよう便性状を整える方法を指導する
#3不適切な生活を送ることで症状を悪化させる可能性がある
看護診断 非効果的自己健康管理
関連因子:知識不足、行動を起こすきっかけが不十分、ソーシャルサポートの不足
診断指標:治療計画を毎日の生活に組み込むことができない、危険因子を減少させる行動をとることができない
看護目標
長期:回復または緩和のためにどのようにしたらよいか、望ましい健康行動を実践する意思を示す
短期:1)症状を引き起こす原因について説明できる
2)自分の生活で何に注意してどのように生活したらよいか説明できる
3)症状が増強せず緩和される
OーP
・症状の出現状況とその程度の観察
・症状増強因子に関する行動の観察
TーP
・患者の強みを見つけて支持する
・うまくできないことや患者のおかれている立場を受け止める
・粘り強い態度でゆっくりと段階的に進める
・過去に成功した問題の解決方法を患者とともに探し出す
・他の人たちが成功した話をする
・患者の話をよく聞いて問題の発見に努め、期待を強要しないようにする
・学習に影響を与える因子を見つける
EーP
・症状の出現・悪化の要因について説明
・必要とされる生活習慣の修正やセルフケアについて説明する
#4肛門部の疼痛や出血などの症状出現によって、今までの生活が送れず不安や否定的な感情が生まれる
看護診断 自尊感情状況的低下
関連因子:役に立たないと表明する、自己否定的な発言をする
診断指標:価値観と一致しない行動、失敗、社会的役割の変化
看護目標
長期:将来に対する肯定的な見通しを示す
短期:1)自分の肯定的な面を見つける
2)自分の行動とその結果を分析する
3)肯定的な変化を見つける
OーP
・表情や言動、活動範囲の変化などを観察
TーP
・患者が自分の感情を表現できるように援助する
・自分で行動することで、症状を十分に緩和できることを伝える
・サポートシステムをアセスメントし必要時に周囲のサポートを調整する
・持てる力と資質を検討しそれを強化する
EーP
・肯定的な変化を思い浮かべるように指導する
・肯定的な変化を正しく評価できるように指導する
・気分転換になるような運動をするようにっ指導する
参考資料:疾患別看護過程