歩行補助具使用時の移動と移送の手順
移動と移送の援助の手順
歩行補助具使用時の歩行介助の準備
看護師:
①手指衛生
患者:
① 移動の目的を伝え介助する旨を説明し同意を得る
② 歩行にふさわしい履物、服装になってもらう
③ 必要時に歩行補助具を使用してはどうか説明し、同意を得てから使用する
歩行補助具使用時の歩行介助の実際
杖と歩行介助
① 杖を使用すると、腕の力で体重の一部を支える為、下肢にかかる負担を最小限にすることが出来る
② 杖には1本杖、多脚杖、松葉杖があり1本杖より多脚杖の方が安定する
③ 上肢の力が弱く手首が不安定な場合は、T字型杖より前腕支えのあるロフストストランドクラッチが適しているが、転倒しそうな時に杖が腕から離れにくいという欠点がある。腕あてのある折るそクラッチや松葉づえは、下肢に十分荷重できない場合に用いる
杖歩行の方法には、3動作歩行、2動作歩行がある
{3動作歩行}
- ①杖→②患側下肢→③健側下肢の順に前方に出して進む
- 常に体重が2点で支えられているので安定が良い
{2動作歩行}
- ①杖と患側下肢→②健側下肢の順に前方に出して進む
- ※杖と下肢を出す順番は、必ずこの順番でなければいけないという事はないが、通常、人は自然に手と足を交互に出して歩行する(右足と左腕、左足と右腕)。2動作歩行はこの抗五色の歩行パターンに従っている
- 3動作歩行の①②を一動作で行うため、健側下肢だけでバランスを保持できなければならない
段差での杖歩行は以下のように行う
{上る時}
- 健側下肢を1段上に乗せる→②杖を1段上に乗せる→③患側下肢を乗せてそろえる、の順で登る
{降りる時}
- ①杖を1段下におろす→②患側下肢をおろす→③患側下肢をおろしてそろえる、の順で降りる
- ※のぼる時は健側から上げるのに降りる時は患側から降ろす。これは体重の移動を考えて自分でやってみると分かるように、片方の下肢を下段におろした時、上段に残っている下肢は膝を曲げた状態で力を入れなければならないため、おろした下肢より残っている上段の下肢の方に負担がかかるからである
歩行器使用の歩行介助の準備
- 物品:キャスター付き歩行器、交互型歩行器
- 看護師:手指衛生
- 患者:①移動の目的方法を伝え、介助する旨を説明し同意を得る②歩行にふさわしい履物、服装になってもらう③歩行器を使用する必要性を説明し、同意を得てから使用する
歩行器使用の歩行補助の実際
- 歩行器は、立位は取れるが杖ではまだ不安な場合に用いる
- 歩行器にはキャスター付き歩行器と交互型歩行器がある。キャスター付き歩行器はアームを手で把持し肘を乗せて前腕で体重を支え、歩行器を押しながら移動する。
- 交互型歩行器は両手で左右交互に前方へ歩行器を動かして移動する為、上肢の力が強くないと使用できない
- 歩行器を用いた歩行では看護師は患者の背後に立ち腰部か両脇を支えながら歩行を介助する
- ※後ろに立つのは、歩行器での移動は歩行器が常に身体の前方にあることで重心が前方に位置している為、いったん後方へバランスを崩すと、容易に後方へ転倒する危険性がある。安定の条件からである。
参考資料:看護技術プラクティス