裂孔ヘルニアの看護診断・疼痛
裂孔ヘルニアとは、食道が通り抜ける横隔膜開口部が拡大した結果、胸腔内に胃上部が隆起することによって生じるものである
看護診断:胃食道逆流に関連した疼痛
看護目標
胃食道逆流に伴う疼痛を除去し、裂孔ヘルニアの疼痛を和らげる方法を見出す
徴候と症状
胸やけ、おくび、吐き気、嘔吐、臥床することで悪化する疼痛、時々起こる食道への逆流
看護介入
① 少量づつ頻回に食べることを勧める
② 辛い食べ物や非常に熱いか冷たい飲み物などの、疼痛を増す食物を避けるよう指導する
③ 飽和脂肪と多価不飽和脂肪、チョコレート、アルコールなどを避けるよう指導する
④ 患者に食後2~3時間は上体を起こしているよう勧める。ベッドの頭側を20,3~25,4㎝高くするよう勧める
⑤ 前方に身をかがめたり、ねじったり重いものを持ったり、きつく締め付ける衣類を身に着けることなどを避けるよう指導する
⑥ 必要があれば適切な体重減少プランを作成したり栄養士に相談する
⑦ 禁煙を勧める
⑧ 制酸薬、コリン作動薬、H2受容体遮断薬などの指示された薬剤を服用させる
⑨ 問題を悪化させる可能性のある薬剤について、処方内容を再検討する。医師とその継続について話し合う
理論的根拠
① 大量の食事は胃を過度に拡張させ、胃食道逆流を促進するので、少量づつ頻回にとることは胃食道逆流の症状発現の回数を減らす
② 辛い食べ物や非常に熱いか冷たい飲み物は、胃内の胃酸分泌を促進し、胃食道逆流につながる
③ 飽和脂肪と多価不飽和脂肪、チョコレート、アルコールは下位食道括約筋圧を低下させる。それによって胃食道逆流をまねく
④ この姿勢は重力を利用し胃食道逆流を防ぎ、食道クリアランスを促進する
⑤ 身体を曲げたりねじったり、重いものを持ち上げたり締め付けられる衣類を着用することは、胸腔内圧を上昇させ胃食道逆流を促進する
⑥ 肥満は胸腔内圧を高め胃食道逆流を促進する
⑦ ニコチンは胃酸の酸性を刺激し下位食道括約筋圧を低下させる。それにより胃食道逆流を促進する
⑧ 制酸薬は酸性の胃内容を緩衝し、胃内のアルカリ化反応で胃液分泌を刺激することで、下位食道括約筋圧を上昇させる
⑨ 抗コリン作動薬、デオフイリン、カリウム拮抗薬は、胃食道逆流を悪化させる可能性がある
患者目標
心窩部痛の頻度と重症度を減少させることができる
参考資料:看護診断に基づく高齢者看護ケアプラン