椎間板ヘルニア患者の看護計画
#1 疼痛しびれによる苦痛がある
看護診断 急性疼痛 慢性疼痛
関連因子:ヘルニアによる神経根圧迫
診断指標:合図や言葉による疼痛の訴え、疼痛があることを表現する行動、苦悶様顔貌
看護目標
長期:疼痛、しびれによる苦痛が軽減する
短期:1)安静が保持できる
2)効果的に薬物療法、理学療法を受けられる
OP
・症状の部位、性質、程度の観察
・他の症状の有無と程度
TP
・床上安静が保たれるよう環境を整える
・安静によって困難となるADLを介助する
・理学療法士、作業療法士などのスタッフと連携を取りながら無理なく理学療法が受けられるよう援助する
・指示された鎮痛薬を効果的に予約する
・排便のコントロールを図る
EP
・患者の安静保持の必要性とその根拠について説明し療養中の過ごし方、避けるべき動作について指導する
・疼痛やしびれが軽減しているときも、自己判断で勝手に服薬を中断したり行動したりしないよう指導する
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#2 巧緻性運動障害、身体可動性障害により日常生活に支障をきたしている
看護診断 セルフケア不足シンドローム
関連因子:ヘルニアによる神経根圧迫
診断指標:手指の緻密な作業ができない、歩行の変化
看護目標
長期:セルフケア力が高まりADLを行うことができる
短期:1)適切な介助によってADLが維持される
2)自助具、補助具の効果的な使用によりセルフケア力が向上する
OP
・症状や障害によるセルフケア不足の程度
TP
・障害や指示された安静度に応じてADLの介助を行う
・痛みやしびれなどの症状に配慮した介助方法を検討する
・障害に対して自助具の使用、ボタンをマジックテープに変更するなどの工夫を行い、セルフケア力を高める
EP
・指示された安静度を守るよう、生活動作の方法を具体的に説明・指導する
・症状悪化をきたす心配のない動作についてはできるだけ自分で行うよう指導する
#3 巧緻運動障害や歩行障害のために転倒の危険性がある
看護診断 転倒転落リスク状態
危険因子:巧緻運動障害、歩行困難、平衡機能の障害、下肢の筋力低下、感覚障害
看護目標
長期:転倒しない
短期:1)安全な環境が維持される
2)転倒に注意して行動できる
OP
・症状の程度の観察、患者の認識についての確認
TP
・安全な環境を整える。ベッドは単剤から立位への動作が楽に行える高さ西策を装着し障害物がないように調整する
・障害の程度に応じて杖、歩行器、車椅子、ポータブルトイレなどの補助具や介護用具を用意し十分なスペースを確保する
EP
・起こりやすい事故と場面、その対策について患者に説明し注意を促す
#4 恐怖や不安があり検査や手術を受け入れることができない
看護診断 恐怖
関連因子:潜在的ストレスフルな状況でのサポートシステムからの分離
診断指標:心配だという訴え、恐ろしいという訴え、緊張してきたという訴え、警戒心の増大、脈拍数の増加、緊張度
看護目標
長期:患者の不安が軽減され、納得して検査や手術に臨むことができる
短期:1)不安になっていることとその内容を表出できる
2)不安に感じていることに対して前向きに具体的な行動がとれる
OP
・表情、言動行動の観察を通しての心理状態の把握
・睡眠状況についての観察、確認
TP
・信頼関係構築のためコミュニケーションをとり話しやすい関係性、雰囲気作りに努める
・医師からの説明が十分に受けられるよう調整し、説明の場に同席して必要に応じて補足説明をする
・家族や友人との相談や面会を希望している場合には可能な限り実現できるよう調整する
EP
・予定されている検査や手術の内容、準備や実施後の過ごし方注意点などについて丁寧に説明し納得できるよう支援する
・その他不安に感じていることがあれば遠慮なく何でも尋ねるよう促す
#5 疼痛、しびれ、不安により熟眠できない可能性がある
看護診断 不眠
関連因子:疼痛、しびれ、不安
診断指標:患者が入眠困難を訴える、患者が睡眠に対する府満足感を訴える
看護目標
長期:夜間に十分な睡眠ができ日中の活動に支障がない
短期:1)熟眠感がえられる
2)日中に眠気や疲労感がない
OP
・症状の程度、不安内容の観察・確認
・睡眠状況の観察・確認
TP
・入眠できる環境の調整
・症状のコントロールを図る
・睡眠導入薬の投与について医師に相談する
EP
・不安や心配に思っていることの表出を促す
・規則正しい生活パターンとなるよう指導する
#6 排尿障害をきたしている
看護診断 排尿障害
関連因子:ヘルニアによる馬尾神経の圧迫
診断指標:頻尿、尿閉、遅延性排尿
看護目標
長期:排尿障害が改善する
短期:1)排尿障害に対して適切なケアが受けられる
2)排尿障害に伴う二次的な問題が発生しない
OP
・症状の出現状況、程度の観察
TP
・頻尿状態にある場合はベッドサイドに尿器を設置し排尿ニーズに応じられるようにする
・残尿感がある場合は腹部を圧迫して排尿を試みる
・残尿、尿閉に対しては医師と相談して間欠的導尿や膀胱内カテーテルの留置を検討する
EP
・病状の悪化により排尿障害を起こしうることを説明し症状に気づいたら速やかに訴えるよう指導する
#7 生活再開や社会復帰について不安がある
看護診断 不安
関連因子:役割機能に対する脅威、役割状態に対する脅威、経済状態に対する脅威
診断指標:人生の出来事の変化による心配を表明する、睡眠障害、無目的な動作
看護目標
長期:退院後の生活に対する不安が軽減し、前向きにリハビリテーションや退院準備ができる
短期:1)脅威に感じていることの内容が表出できる
2)リハビリテーションや退院準備に取り組める
OP
・心理状態の把握
・睡眠状況についての観察、確認
TP
・信頼関係構築のため、患者家族とのコミュニケーションに努め話しやすい関係性、雰囲気作りをする
・必要に応じて医師、職場の関係者、家族と退院後の職場復帰や時期について相談の機会を作る
EP
・活用可能な社会資源についての情報を提供する
#8 知覚障害のため身体に損傷をきたす可能性がある
看護診断 身体損傷リスク状態
危険因子:知覚障害
看護目標
長期:身体・皮膚の損傷がない
短期:長時間の局所の圧迫、定温茂樹、転倒・転落などによる外傷が起こらない
OP
・症状の範囲程度の観察
・障害部位の皮膚の状態の観察
TP
・知覚障害のある部位を保護する
EP
・患者家族に知覚障害のある部位を温めたり冷やしたりしないよう説明する。また同一体位の保持を避け動作時には転倒したり周辺に体をぶつけたりしないように注意する
#9 巧緻運動障害のために服薬の自己管理が困難になりやすい
看護診断 ノンコンプライアンス
関連因子:ケアの簡便性、ケア提供者の継続性、計画された治療行動に関連する技能
診断指標:指示に沿っていないことを示す行動、改善しない
看護目標
長期:処方された薬が指示通り継続服用できる
短期:毎回の内服薬が確実に服用できる
OP
・症状の範囲程度の観察
・巧緻運動の程度を観察する
TP
・入院中の薬の管理方法服薬時の解除方法について、患者のセルフケア能力、希望などに配慮して支援方法を決める
・退院後の薬の管理方法、服薬時の介助方法について患者のセルフケア能力と家族のサポート力を考慮して助言する
EP
・処方されている薬の作用・副作用について説明し正確に服薬するよう指導する
参考資料:疾患別看護過程