尿失禁の看護診断・排尿パターンの変調

尿失禁の看護診断・排尿パターンの変調

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看護診断:急性疾患に関連した排尿パターンの変調

看護目標

基礎疾患を治療し改善する

徴候と症状

せん妄、脱水、尿閉、排尿困難、頻尿、失禁、萎縮性膣炎、多種類の薬物の使用

看護介入

① 急性せん妄について患者を評価する

② 皮膚緊張の低下や乾燥した粘膜などの脱水の症状と徴候を評価する。必要なら水分補給のため水分摂取をするよう患者に指導する

③ 残尿に対し指示通り導尿を行う

④ 患者の機能状態を評価し、もし必要ならベッドの近くに補助具(ポータブル便器、採尿器)を勧める

⑤ 宿便を調べるために直腸診をおこなう。宿便が取り除かれた後、整腸法を始める

⑥ テステープによる検尿を行う。またもし尿中に白血球や赤血球が出ていたら医師に知らせる

⑦ 性交障害、膣の灼熱間や掻痒感、頻尿や尿漏れなどの萎縮性膣炎の症状がないか、女性の患者を評価する。医師に症状を知らせエストロゲン療法について話し合う

⑧ 利尿薬、鎮痛催眠薬、抗コリン作動薬、降圧薬など、尿失禁の原因となりうる薬剤の使用について評価する。もし適応があれば薬剤の変更や投薬量の調整について医師に相談する

⑨ 多尿や尿糖がないか評価する。もし患者にこれらの状態が見られたならば、医師に知らせる

⑩ ベーチェット病や高カルシウム血症がないか評価する。もし適応があれば医師に知らせる

⑪ 尿失禁は基礎疾患に関連した一時的合併症出ることや治療により治ることを患者に説明する。腸と膀胱の治療法をできるだけ早く確立し、患者と介護者に勧める治療法をすべて再検討する

⑫ 必要に応じて尿サック、コンドームカテーテル、成人用パンツなどを用意する

 

 

理論的根拠

① 急性せん妄は知覚を障害し排尿の必要性を傷害する。それによって尿失禁を起こす

② 排尿は尿を濃縮し、これは膀胱壁を刺激し尿失禁を引き起こす

③ 宿便、神経疾患、薬物使用による100ml以上の残尿の漏出は尿失禁を引き起こす。膀胱から残尿をカテーテルで排出し尿失禁を防ぐ

④ 手術や疾病から回復した患者は、機能低下の可能性がありベッドの近くにポータブル便器や採尿器を必要とする

⑤ 宿便や慢性便秘は排尿を妨害する可能性があり、そのため尿失禁の原因となる。整腸法は便秘と宿便を防ぐのに役立つ

⑥ 尿中の白血球と赤血球の増加は、膀胱壁の炎症、頻尿、尿失禁、排尿困難を起こしうる尿路感染症を示唆する

⑦ 萎縮性膣炎はふつう、閉経後の女性に見られエストロゲン不足が原因で生じる。炎症とその結果起こる尿失禁は、一般にエストロゲン療法で治る

⑧ 利尿薬は尿量を増価させ、膀胱内圧を増加させる。そのために尿意の切迫感と尿失禁を起こす。鎮静催眠薬は患者の尿意の意識を鈍らせる。降圧薬は膀胱頚部で平滑筋を弛緩させ尿失禁を引き起こす。抗コリン作動薬は膀胱を完全に空にしないため尿の貯留を起こし漏出性尿失禁を引き起こす

⑨ 多尿や尿糖はコントロールされていない糖尿病を示唆する。それは切迫性尿失禁に関連した障害である

⑩ ベーチェット病は高カルシウム血症を起こす。高カルシウム血症は膀胱筋の過緊張と収縮性増加を起こし、それによって尿失禁が起こる

⑪ 基礎疾患の積極的な治療は通常、急性尿失禁を治す。患者のために排尿療法を確立することは習慣性尿失禁を防ぐのに役立つ。患者と介護者に勧められる治療法を再検討することは理解とコンプライアンスを高める

⑫ これらの用具は基礎疾患が回復するまで患者の衣類やリネンを保護する

患者目標

・ 急性尿失禁に勧められた治療に従うことができる

・ 適応があれば整腸法や膀胱療法を行うことができる。水分摂取量を増加させることができる

・ 部分的だった膀胱の調節を完全に回復することができる

 

 

参考資料:看護診断の基づく高齢者看護ケアプラン

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