肺炎患者の看護計画
#1気道に痰が貯留し、換気が障害されている
看護診断 非効果的気道浄化
関連因子:気管支内の分泌物、分泌物の貯留
診断指標:効果のない咳嗽、咳嗽の消失、痰貯留感、呼吸困難、呼吸音の減弱、呼吸副雑音
看護目標
長期:気道における痰の貯留がなくなり、換気が改善する
短期:1)有効な排痰法が実施できる
2)正常な肺音(呼吸音、副雑音)が聴収できる
3)痰貯留感が消失する
OーP
・呼吸状態
・痰の性状、痰の貯留の有無、痰の貯留部位
・喀痰、咳嗽、呼吸に影響する因子(症状、生活活動、環境)
・食事、水分摂取状況、脱水症状の有無
・効果的な痰の喀出に必要な患者の知識や行動
TーP
・気道の保湿により粘膜度を低くいして、痰の喀出を促す
・体位ドレナージ、排痰体位を介助し喀痰を促す
・スクイージングは胸郭運動に合わせ、呼気時に末梢から気管分岐部に向かって徒手的に加圧する方法で喀痰を促す
・腹式呼吸など効果的な呼吸法、咳嗽を促すことにより喀痰を促す
・吸引法の実施
・影響する症状の緩和
・口腔内の保清
EーP
・咳嗽、喀痰の必要性を確認する
・咳嗽、喀痰の影響因子について確認する
・効果的な喀痰方法が実施できるように説明する
・痰の採取、吸引、吸入など検査、治療的処置の目的、効果的な方法やそれに伴う侵襲などを説明する
・禁煙指導
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#2身体症状に伴い苦痛が生じている
看護診断 安楽障害
関連因子:頑固な咳嗽、発熱、呼吸困難、倦怠感、胸痛、生活活動レベル低下(睡眠障害)
診断指標:関連因子に同じ
看護目標
長期:不快な症状が緩和し、安楽な状態で生活ができる
短期:1)不快症状が緩和する
2)十分な睡眠がとれる
3)苦痛なく活動できる
OーP
・症状の出現状況、程度、変化、経過、影響因子
・生活活動の状況、生活活動が抑制されている認識や思い
・苦痛の表現や表出の状態
・症状や治療に関する認識、疾患の計かに関する思い
TーP
・原因となる症状を緩和する
・睡眠や休息のとれる環境の調整
・障害されている生活活動の支援
・コミュニケーション環境の調整
・服薬の必要性について患者医師と相談する
EーP
・苦痛を我慢しないで相談できるように話し合う
・考えられる苦痛の予防方法を指導する
・効果的な症状の緩和方法を指導する
・睡眠や休息が阻害されている原因について話し合い、解決策を相談する
・リラクゼーション法について相談する
#3食欲不振やエネルギー消費増加により栄養状態が不良となり、感染防御能が低下している
看護診断 栄養摂取消費バランス異常:必要量以下
関連因子:安楽障害に伴う食欲不振、発熱や咳嗽によるエネルギー消費の増大、高熱の持続、頑固な咳嗽
診断指標:食事摂取量の低下、アルブミン値の低下
看護目標
長期:必要な食事量が摂取でき、栄養状態が改善する
短期:1)十分な休息が取れる
2)食欲が回復する
3)必要な食事摂取量が維持できる
4)アルブミン値が基準値範囲である
OーP
・食欲、食事摂取状況、量、食事摂取の影響因子
・栄養状態(アルブミン値、体重、脱水)
・エネルギー消耗因子
・生活活動状況
TーP
・食欲を増進する環境の調整
・口腔ケア
・食事内容、量の調整、嗜好の考慮
・食欲不振の苦痛症状の緩和、睡眠休息のできる環境調整
・輸液管理
EーP
・体力回復、感染防御能と関連付けて食事摂取の必要性を説明する
・嗜好を取り入れた捕食について相談する
#4口腔内の乾燥や衛生状態が不良となり粘膜障害が起こりやすい
看護診断 口腔粘膜障害
関連因子:低栄養状態、開口呼吸、頻回の喀痰、脱水による自浄作用の低下
診断指標:口内乾燥症
看護目標
長期:口腔内の衛星が保たれ、不快感や障害が起こらない
短期:1)口腔粘膜の湿潤、衛生環境が保たれる
2)適切な口腔ケアが実施できる
3)飲食時、口腔内の不快感がない
OーP
・危険因子に関連する内容
・口腔内の衛生状態、不快感
・清潔ケアの実施状況の有無
・水分摂取状況
・発熱、呼吸器症状
TーP
・水分摂取、含嗽を促し口腔内の保湿環境を整える
・口腔内の清潔の促し、セルフケア力の程度に応じて支援
・摂食栄養状態の改善
EーP
・感染予防と関連付けて、口腔ケアの必要性の説明
・口腔ケアの方法の説明
#5病状が悪化するかもしれないという不安がある
看護診断 不安
関連因子:身体症状、生活活動レベルの低下
診断指標:睡眠障害、食欲低下、呼吸困難、活動意欲低下
看護目標
長期:不安をコントロールしながら生活できる
短期:1)不安を表出できる
2)効果的なコーピングができる
OーP
・発熱呼吸状態、胸痛など精神的影響の大きい身体症状、程度、変化、経過
・生活活動の低下、生活活動が抑制されている認識や思い
・不安の表現や表出されている状態
・症状や治療に関する認識、疾患の経過に関する思い
TーP
・原因となる症状を緩和する
・睡眠休息がとれる環境の調整
・障害されている生活活動の支援
・コミュニケーション環境の調整
EーP
・現在の生活目標について話し合う
・睡眠や休息が阻害されている原因について話し合う
・不安の原因になっている状況をコントロールする学習の機会を作る
#6組織の酸素化不足、エネルギー消費増加により生活活動が抑制される危険性がある
看護診断 活動耐性リスク状態
危険因子:体力を減退させるような状態、呼吸器系に問題がある
看護目標
長期:活動耐性を強化し、生活機能を回復できる
短期:1)1日を通して活動と休息の調整ができる
2)酸素消費量の少ない方法で行動できる
OーP
・危険因子に関連する内容
・活動中または活動後まで継続する身体所見の変動
・活動中または活動後の症状の発生、変化、程度
・炎症データ
・活動意欲、生活活動の状況と休息のバランス
TーP
・1日の生活の中で活動と休息のバランスを調整を促す
・体力の消耗となる原因の症状を緩和する
・可能な範囲で活動の拡大を促し、行動する機会を作る
・エネルギー消費が少ない行動方法を促す
EーP
・1日の生活スケジュールを活動と休息のバランスがとれるように、患者と計画を立てる
・1日の生活スケジュールを活動と休息と分けてバランスがとれるように、患者と調整する
・エネルギー消費が少ない活動の目安や行動方法で生活活動ができるように指導する
・酸素消費の少ない運動を指導する
・必要時呼吸法を指導する
#7ガス交換障害が起こる危険性がある
看護診断 ガス交換障害
関連因子:過剰な分泌物、非効果的な咳嗽
診断指標:動脈血ガス分析値の異常、呼吸困難
看護目標
長期:肺でのガス交換が良好に保たれる
短期:1)効果的な呼吸方法ができる
2)動脈血酸素飽和度が維持できる
OーP
・危険因子に関連する内容
・低酸素血症の発生の有無、程度、要因
・生活活動状況
TーP
・喀痰を促す、呼吸困難の緩和
・酸素療法の看護
・安静療法の看護
・障害されている生活活動の支援
EーP
・呼吸困難時の呼吸法を指導する
・酸素使用時の注意を指導する
#8病原体を媒介して肺炎を拡大させる可能性がある
看護診断 感染仲介リスク状態
危険因子:感染予防における曝露対策の知識不足
看護目標
長期:家族と協力して他人への効果的な肺炎感染拡大の防止対策を実施できる
短期:1)感染の広がりを防ぐ方法が実施できる
2)感染経路に応じた予防方法を家族と話し合うことができる
OーP
・肺炎の感染経路に関する知識、学習能力
TーP
・感染経路に基づくスタンダードブリコーションの実践
・環境整備などの参加を促し経験を通した学習機会を提供する
EーP
・感染経路について指導する
・感染曝露対策を強化する点を指導する、スタンダードブリコーションに基づく衛生学的手洗い、咳エチケット、痰の破棄方法の目的方法を説明する
・指導には家族も参加できるように調整する
・家族と一緒に対策について振り返る機会を提供する
#9肺炎の治療を毎日の生活に組み込んで調整している
看護診断 自己健康管理促進準備状態
診断指標:治療や予防を考慮した生活を送ることができる、疾患の治療を管理したいと意思表示する、再罹患のを予防するための行動を強化したいと意思表示する
看護目標
長期:管理行動を継続する自信を表現できる
短期:1)適切な服薬方法が説明できる
2)受診行動の必要性が説明できる
3)再罹患を防ぐ方法が説明できる
OーP
・与薬開始時期と症状の変化
・与薬時間、有害作用の出現の有無
・患者の疾患、治療に対する認識の確認
・患者の生活状況、環境
・患者の身体状況、高齢者では嚥下機能に注意する
・疾患移管する知識、学習能力
TーP
・正確な与薬を行う
・有害作用が生じた場合、医師に報告し対処方法を確認実施する
・栄養水分摂取、適度な活動と十分な休息を促す、食事時必要に応じて誤嚥の予防
・環境調整を実施する
・保清行動を強化する
EーP
・薬の作用副作用について説明し正確に服薬を継続できるように指導する
・定期受診の動機を高める
・肺炎を起こした原因を患者とともに話し合う
・肺炎防御力として高める必要のある内容について患者とともに話し合う
・禁煙、節酒指導をする
・環境を振り返り、感染防止の必要性を説明できる
・保清行動を強化する点を指導する、スタンダードブリコーションに基づく衛生学的手洗いの目的方法を説明する
・罹患する危険性が高い場合、ワクチン接種について説明する
間質性肺炎の看護計画はこちらです→「間質性肺炎の看護計画」
参考資料:疾患別看護過程