嚥下障害の看護診断・経管栄養に関連した誤嚥の潜在的状態
看護診断:経管栄養に関連した誤嚥の潜在的状態
看護目標:食物の摂取を促進し、誤嚥を防ぐ
徴候と症状:窒息、分泌物過多、経口摂取できない、嚥下困難、発熱
看護介入:
①患者に栄養を与える際は、内径が小さく重みのある栄養チューブを用いる
②間欠的経管栄養を始める前に、患者の胃内容物を吸引したり、胃に空気が入る音を5~10mlの空気を経管の中に入れながら聴診する
③間欠的経管栄養開始前または持続的経管栄養施行中は2~4時間ごとに患者の胃内容残量を評価する
④間欠的経管栄養の間及び終了後少なくとも1時間は上体を起こした姿勢を取らせる。持続的経管栄養中はこの体位を維持する
⑤もし必要ならば患者に経管栄養施行中、定期的に歩行することを勧める
⑥注入ポンプを使って室温で経管栄養を施行する
⑦経管栄養施行の都度、腹部膨満、腸蠕動、食道逆流の有無を評価する
⑧もし患者が嘔吐したり過度の下痢をした場合、経管栄養を中止し、医師に報告する
⑨食事中は常に吸引装置を使えるようにしておく
⑩咳や窒息の起こった場合、可能ならば腰や頚部を屈曲するよう患者に指導する
⑪もし食物が患者の喉頭に引っ掛かり、それにより呼吸しにくくなったら肩甲骨の間を鋭く強打する
理論的根拠:
①内径が小さく重みのあるチューブは内径の大きいチューブに比べて快適であり、分泌物、食物、水分を容易に嚥下させる。また肺炎、誤嚥、チューブの外れなどの危険を減らすのに役立つ
②これは経管チューブの位置と閉塞の有無を確認するために行う
③このような評価は嘔吐を防ぐために、そして胃内容停滞を見つけるために必要である
④上体を起こした姿勢は食物の逆流と誤嚥を防ぐ
⑤歩行は胃を空にすることを助ける
⑥室温で経管栄養を施行することは、胃痙攣やガス形成を防ぐ。注入ポンプを使って一定の流量を保つことはチューブの閉塞の危険を減らす。そして、高血糖、糖尿、下痢のような副作用を最小限にし、吸収を最大にする
⑦このような評価は患者がそのくらい良く経管栄養に耐えられているかを決めるために必要である
⑧胃内容の嘔吐は嚥下性肺炎を招く可能性がある。過度の下痢は経管栄養不耐性を示している
⑨吸引は食物の小片を誤嚥するのを防ぐため必要である
⑩咳や窒息は、嚥下が困難である患者にとっては生理的な防御機構である。咳嗽や窒息の起こった際、腰または警部を屈曲することは、気道の効果的な清浄化を促進する
⑪肩甲骨の間を強打したり、腹部を押すことは軌道を清浄化し誤嚥を防ぐ
患者目標:
・経管栄養による誤嚥をすることがない
・経管栄養により嚥下性肺炎を起こすことがない
・患者と介護者は、窒息に対する緊急的看護介入を行うことができる
参考資料:看護診断に基づく高齢者看護ケアプラン