高齢者ケア・下痢
症状から見た高齢者ケア・下痢
高齢者の下痢の原因
・水分の吸収阻害
・消化液の分泌不足から消化不良
・腹部への刺激(寒冷、下痢、浣腸)などによる腸の蠕動亢進
・薬物の副作用による下痢(抗生物質の長期服用など)
・その他、疾患に伴う下痢(便秘によるもの、潰瘍性大腸炎、がんなど)
下痢を起こした原因が重要であり、発生時期と現在までの経過や下痢の程度の観察が重要である。下痢を起こしているときは心身の安静に心掛け、便の性状を見ながら庇護的な食事をとり蠕動を亢進するような食品は避けて様子を見る
脱水を起こさないように水分補給に心がける
おもな症状
・排便回数が頻回になり、場合によっては血液、膿汁の混入、腹痛を伴う
・下痢以外の症状として感冒症状、嘔吐、食欲不振を伴う
・その他、急性の下痢症は脱水と電解質異常をきたしやすい
観察のポイント
①排便の状態と便の性状・量の観察
・回数と間隔
・性状:便の色、におい、硬さ、太さ、量、しぶり腹(下痢が繰り返し起きたり、便が出なくても便意が強く起こる状態)の有無
・残便感、腹痛、肛門部痛、口渇、食欲不振、吐き気
②下痢の経過と全身症状
・発現の時期、増悪傾向の有無、発熱、全身倦怠感、めまい、体重減少との関係
③心因性の不安や悩み、イライラ感の有無、家族間などによるトラブルなど(過敏性大腸症候群)
④高齢者に対する留意点
高齢者は下痢や発熱によって、特に脱水を起こしやすいので注意する
生活援助上の注意事項・留意点
①心身の安静と保温
・腹部を保温し全身の安静を図る
・精神的緊張を緩和する
②食事療法時の援助
・下痢を起こしていても水分摂取は必要であり、水分を少量づつのませる
・食事がとれない場合は輸液療法が必要な場合があるので、直ちに医師に連絡する
・胃腸に負担をかけない食事から食事内容を徐々に進めていく
・繊維の少ない食品で消化の良いものを与える
③身体の清潔
・肛門周囲の清潔に勤める。洗浄、座浴後、肛門部を乾燥させ感染の予防をする
④排泄介助時の注意
・頻回の排便に応じられるように便器を用意しておく。細菌性下痢の場合は菌に応じた厳重な消毒を行い、ほかの人への感染を防止する
参考資料:高齢者ケア