高齢者ケア・幻覚と妄想とせん妄
症状からみた高齢者ケア・幻覚と妄想
幻覚・妄想とは、見えないものが見えているように感じたり、実際に起こっていない現象を怒っているように感じたりする混乱した状態をいう
幻覚には、幻視、幻聴、幻臭、体感幻覚などがある
妄想には、被害妄想、誇大妄想、嫉妬妄想などがある
幻覚妄想の原因と誘因
①原因疾患
・アルツハイマー病、痴呆の後遺症
・うつ病、精神分裂病などの精神障害
②誘因として
・強い不安やストレス、痛み、苦痛など
一般に向精神薬の投与によって抑えることができるが、高齢者は自閉的でなく比較的対人関係も外界との接触も拒まないという特徴を持っており、一緒に添い寝してあげるだけでよくなることもある
薬の投与だけに頼らず、不安をもたらしている原因を探りその原因を取り除くことが大切である
おもな症状
誰かが襲う、いじめる、影が見えるといったものや被害妄想など、系統だったものではなく一過性であることが多い。注意が散漫になったり、気分が急に変わることがある
観察のポイント
①観察
・精神、感情状態の変化
・せん妄状態の有無
・痴呆の進行の有無
・うつ状態の有無
・そう状態の有無
②高齢者に対する留意点
高齢者の厳格、妄想状態の原因は脳の加齢によるものや高齢者の人生観、心理的特徴、社会的条件などの影響や慢性疾患などの影響を受けやすい
高齢者は特に住み慣れた場所から言葉や習慣の違う場所に代わるだけで妄想発展を見ることがある。背景をよく知っておくことが大切である
生活援助上の注意事項と留意点
・精神、気分の状態を観察する
・理解し受け止める
・環境状況の改善を図る
・孤独を和らげる
・薬に対する影響がないか検討してみる
症状からみた高齢者ケア・せん妄
せん妄の原因と誘因
①原因疾患、誘因として
・強い不安やストレス
・感染症
・循環障害や代謝異常(脱水を含む)
・痛み、苦痛など
・薬物
せん妄は一過性のものであり、早期治療により改善するため落ち着いて原因の究明をすることが大切である。意識レベルの向上を図り、不安、興奮を鎮めるように対応するだけで正常に戻る場合もある
安心できる環境づくり、需要的な態度で対応するよう心掛ける
おもな症状
不安、抑うつ、不穏、神経過敏、日中うとうとする、夜間不眠などから始まり錯覚、幻覚、妄想などの精神的興奮を伴うことが多い
その他、失見当識、周囲環境の認知低下、行動様式の変化などの症状がみられる
観察ポイント
①観察
・いつごろから症状が出現したか
・症状の変動(特に夜間の悪化)を観察する
・落ち着きのなさや神経過敏、日中うとうと、夜間不眠などの症状に注意して観察をする
②せん妄に伴って起きる症状の観察
・日常の生活行動の障害の有無
・誤嚥、脱水
・感染症
③高齢者に対する留意点
せん妄は痴ほうの進行と区別が困難な場合があるが、高齢者の場合脱水、便秘、薬、環境の変化の影響を受けている場合もあるので、原因の解明が大切である
生活援助上の注意事項と留意点
・症状が出始めたら早期に治療する
・なじみやすい環境を設定し、見慣れた日用品を身近に置く
・家族が付き添う
・夜間の照明をつけ不安を軽減する
・ゆっくりと分かりやすく説明する
・薬剤の正確な投与と十分な睡眠を与える
参考資料:高齢者ケア