失語症の看護診断・言語的コミュニケーションの障害
看護診断:失語症に関連した言語的コミュニケーションの障害
看護目標
機能的コミュニケーションの確立と、可能なら言葉により元気づける
徴候と症状
乏しくまたは不明瞭な話。健忘症性失語症または単語選択の問題。普通でない言葉のリズム。頻発するジェスチャー。過剰に無意味な話。わけのわからない言葉を使う。不適当な文法や時制動詞
看護介入
① 患者に対して静かに穏やかに接する
② 患者が話そうと試みることに注意を払う
③ 患者が話す特別の時間を設ける
④ 話を妨げずに、あるいは正確な言葉をすぐに言い添えないようにして、患者に話すように勧める
⑤ 最初の音や言葉の音声を与えることにより、あるいは文章の筋道を用意することに湯織、患者にきっかけを与える
⑥ 患者を完全に依存させたり、常に正したりしない
⑦ 患者のメッセージを熟考し、要望を確認して理解する
⑧ 患者の話が理解できないときは理解したふりをしない。理解できないことを患者に説明し、ほかのコミュニケーションの方法を設ける
⑨ 言語療法士が進める話したり書いたりする練習を行う時間を作る。たとえば、アルファベットを言う。ものに名前を付ける。手紙や単語や短い文節言葉を書き写す。などの練習をする
⑩ もし適応があれば、入れ歯をつけることを勧めて患者の発音を改善する。入れ歯の密着剤を使うことや、自分に合う入れ歯にするのに歯科を受信するよう患者に勧める
⑪ ゆっくり話すこと、各単語の音をひとつづつ発音することを患者に指導する
⑫ 言語療法士の勧めるように、口と舌を動かす練習をするよう勧める。例えばしかめ顔、微笑み、舌を出し左右に動かす。そして「ラララ」「ケケケ」のような音を出す
⑬ 看護スタッフや家族が患者にメッセージを書かせることはやめさせる
⑭ 一般的な話題から始め、徐々に特殊な質問へと進んで、「はい」か「いいえ」と答えさせる
⑮ 患者に伝言板上の文字を指し示してメッセージを言わせる。患者と一緒に指示した文字をいう
⑯ 患者に伝言板や小雑誌の絵を指し示すように指導する。絵は白黒の線で描かれたもので、ありふれたものが書かれていることを確認する。そしてそれに関した単語が絵の下に書かれていることを確認する
⑰ ジェスチャー、パントタイム、指し示す、などを勧める
⑱ 患者の看護計画に効果的なジェスチャーや方法を書き留める
理論的根拠
① 患者がリラックスし共感し聞き手を信頼したときに、コミュニケーションは上達する
② 患者のジェスチャーやイントネーションは、何を言おうとしているかについての手掛かりとなる
③ 患者には応答を公式化したり、分かりにくい単語を補うための時間が必要である
④ もし患者が助けを予測するならば、もはや患者は言葉を回復させようと試みることはしない
⑤ この技術は、すぐに将来に言葉の回復を促す可能性がある
⑥ 患者は失敗するかもしれないと思い、しゃべろうとするのをやめようと感じる可能性がある。改善してきたら患者は自分で自分のしゃべり方をモニターし始めることができる
⑦ このことは患者のメッセージを誤解することを防ぐ
⑧ このことは潜在的に重要なメッセージを無視するのを防ぐ
⑨ 練習は患者の予後をよくする。しかし看護師は自分の受け持ち患者が欲求不満にならないように注意を払うべきである。もし言語療法士がいないときは看護師が簡単な練習からはじめて、じょじょに難しいものへと進めていくべきである
⑩ 歯がなかったり入れ歯の咬合不良は構音障害を生じる
⑪ このことは患者を励まして、明瞭な話をモニターできる
⑫ これらの練習は唇、口蓋、舌の各筋肉の協調性を増す
⑬ 患者にメッセージを書かせる方法は、一般に構音障害の患者に限られる。この方法は、失語症の場合には役に立たない。失語症の患者はたいてい書く能力を失っている
⑭ はいい家の質問には患者は簡単に応答できる。患者が矛盾したはいいいえと応答した場合でも、その患者はジェスチャーによって正しい反応を示す
⑮ 伝言板は患者が文字を認識できるならば役に立つ。患者と一緒に声に出して文字をいうことは、話し方を強化しまた看護師の理解も高まる
⑯ この方法は手ぶりや指し示すといった一つ以上の手段を通して刺激を与え、重症な失語症の患者にも効果的かもしれない
⑰ 患者が重症な四肢失行症の場合でもジェスチャーは役に立つ
⑱ 文章で記録することは将来のコミュニケーションの強化につながる
患者目標
・ 看護計画の中で身に着けた方法で、効果的にコミュニケーションを図ることができる
・ 看護スタッフや家族とコミュニケーションを可能にすることができる
参考資料:看護診断に基づく高齢者看護ケアプラン