外科的ケアの看護診断・ガス交換の障害
看護診断:慢性組織低酸素症、術後の不動性、疼痛に関連したガス交換の障害
看護目標
患者が適切な換気が行えるよう援助するとともに、患者が過剰な中枢神経系の抑制を受けていないか評価する
徴候と症状
興奮、錯乱。頻脈、顔面紅潮。異常血液ガス。呼吸補助筋の使用。チアノーゼ。浅い呼吸
看護介入
① 手術直後は、1週間ごとにバイタルサインをモニタする。
② 心音、呼吸音を聴取する
③ 手術後、患者の精神状態を評価し、術前の状態と比較する
④ 血液ガスを含む諸検査の成績を評価する
⑤ 手術創を頻回にみる
⑥ 不穏状態、高血圧、頻脈、不整脈、頻脈、呼吸困難などの低換気状態の兆候と症状を評価する
⑦ 雑音を伴う浅い呼吸、皮膚温や皮膚色の変化、胸部陥没、腹壁の動きの増加、呼吸補助筋の使用などを観察する
⑧ 呼吸困難出現時は酸素を投与し、医師を呼ぶ
⑨ 術後呼吸訓練の必要性を決める
⑩ 術後2時間ごとに、深呼吸と強制咳嗽をすることを促す。患者が効果的に痰を喀出できるようであれば呼吸練習器具を提供する
⑪ 呼吸訓練士の必要について評価する
⑫ 患者を補助枕なしに側臥位とする。頭部は伸展させやや下方に傾ける
⑬ 術後早期に、いすに腰掛けたり歩行するよう援助する
⑭ 禁煙を促す
理論的根拠
① 低体温症は手術直後に出現する。低血圧は主要臓器への酸素供給量減少となり脳内出血を引き起こすこともある。頻脈は異常出血の徴候であることがある。浅い呼吸はまた、低酸素症、無気肺、肺炎への危険を増す
② 無気肺、肺炎、うっ血性心不全は術後の高齢者によくみられる合併症である。また、高齢者の呼吸不全に最も多い原因である
③ 錯乱は、低酸素症を意味することがあり、酸素消費量が予備量に比べ増大した無効なガス交換によることが考えられる
④ 検査成績を評価することにより異常値を把握できる。低酸素血症によりPCO2上昇、肺炎による白血球増加、また出血の徴候としてのヘモグロビン値やヘマトクリット値下降などがその例である
⑤ 多量の出血により効果的なガス交換に必要な酸素供給量が減少する
⑥ 低酸素状態は麻酔による呼吸中枢抑制によるとも考えられる。それにより中枢は血中二酸化炭素による刺激を感知しにくくなり、不十分な気道確保の原因となる
⑦ 麻酔は反射を鈍化させ、舌、唾液、分泌物による気道閉塞、また喉頭けいれんや気管支けいれんによる起動閉塞の原因となる
⑧ 酸素投与により酸素供給量を増し呼吸困難を軽減する
⑨ 筋弛緩薬や麻酔薬は、肺活量を減少させ、残気量を増加させ、分泌物の蓄積を招いて呼吸機能を低下させる
⑩ 最大吸気量維持と活発な外装は呼吸筋の可動性の減少と呼吸筋力低下による分泌物の蓄積を防ぐ。強制咳嗽や深呼吸は換気を改善し、分泌物を移動させ筋緊張を増大させる
⑪ 呼吸訓練士は無気肺の発生を減少させ、その程度を軽くすることができる
⑫ 適切な体位を保つことにより、分泌物の排出を促し、もし嘔吐するときには嘔吐物の排出を促す。この体位は舌を前方へ保つことで、気道を開けておくことができる
⑬ 坐位時や体動じはガス交換が改善される
⑭ 喫煙はヘモグロビンの酸素運搬脳を低下させ、適切なガス交換に必要な酸素供給量を減少させる
患者目標
ガス交換の障害の徴候がないー正常な呼吸音、効果的な咳嗽、覚醒状態を示すことで証明される
参考資料:看護診断に基づいた高齢者看護ケアプラン