持続皮下注射で疼痛管理をするメリットは?
持続皮下注射で疼痛管理をするメリット
内服が困難になった患者に対して持続皮下注射で疼痛管理を行う際のメリット・デメリットは?→内服困難な患者の負担がすくない。皮膚状態をこまめに観察することが大切である。
- 経口投与が出来ず、下痢により座薬も使用できないう絵静脈ライン確保も困難な場合な度が考えられる。
- 内服が困難になった患者にとって持続皮下注射は簡便で負担が少なくがん性疼痛治療において有用な投与法となる。
- 患者の日常生活動作に支障をきたさないよう穿刺部位を選択し、皮膚状態をこまめに観察することが大切である。
持続皮下注射とは
- 持続皮下注射とは、皮下組織内に薬液を少量づつ持続的に注入する薬物投与法である。
- 皮下に投与された薬液は皮下の毛細血管から吸収され、静脈内に移行する。
- その為薬物の血中濃度を一定に保つことが出来、臨床的に静脈注射と同等の効果が得られる。
- 終末期で血管確保が難しくなった患者でも実施でき、投与法が簡単で在宅で継続できるので疼痛管理をはじめ様々な症状のマネジメントにおいて有用な方法である。
持続皮下注射のメリット、デメリット
メリット
- 経口摂取できない患者に投与できる
- 血管確保が困難な場合でも投与できる
- 比較的簡単に入れ替えできる
- 血中濃度を一定に保つことが出来、安定した効果が得られる
- 症状に応じて注入量を美調節できる
- 痛みが強い時に早送りして簡便に追加投与(レスキュードーズ)できる
- 持続静脈注射よりも全身的な合併症の危険性が少ない
- 在宅での管理が可能
デメリット
- 皮下で吸収できる量に限界がある
- 浮腫がある部位は吸収が不安定になるため不適切である。
持続皮下注射の適応
持続皮下注射は悪心嘔吐や消化管の通過障害、嚥下障害、全身衰弱などにより薬剤の内服が困難な場合や、内服が可能でも痛みや呼吸困難など症状が強く、速やかに症状マネジメントが必要な場合などにも適応となる。
持続皮下注射の方法
① 穿刺部位の選択
- 通常、四肢の動きに差し支えない鎖骨下、前胸部、腹部を選択する。
- 大腿部や上腕部も選択できるが、体動が妨げられる場合は避けた方が良い。
- 可能であれば患者の好む場所をたずねてから決めても良い。
- 皮下脂肪組織が厚く平らで固定がしやすく浮腫や炎症がない部位を選択する。
- 腹部は座位の支障にならない部位を選択する。
- 体動による針先への刺激を避けるため針を刺す方向は、前胸部では頭部、腹部は正中に向けて横向きとする。
- 寝たきりで側臥位に体位変換している場合は頭側に向ける。
② 穿刺と固定
- 穿刺部位を消毒したのち、皮膚をつまんで指と指の間に幅が1㎝以上あることを確認する。
- 血管を避け張りを45度の角度に刺入する。
- 針の角度が深すぎると筋肉に到達するので注意する。
- 角度が浅く針が表面に近すぎると痛みが生じたり薬液が漏出する可能性がある。
- 刺入後、血液の逆流、強い痛み、末梢のしびれがないかを確認する。
- 翼状針の翼の部分又はサーフローが当たる部分にテープを貼り、保護しておくと皮膚への刺激を避けられる。
- 刺入部を透明フイルムドレッシング材で固定する。
- ルートが引っ張られて抜けないようにループをつくってチューブを固定する。
観察ケアポイント
① 皮膚の状態を観察
- 持続皮下注射は局所に発赤・腫脹・硬結・疼痛・感染などの問題を生じる可能性がある。各勤務帯において皮膚の状態をこまめに観察することが大切である。
- 特に投与量が多い時に発赤や硬結が起きやすくなる。
- 体性痛と神経障害性疼痛に有効性が高いと言われるケタミンは、皮膚刺激が比較的つよく、発赤や疼痛が出現することがあるので注意が必要である。
- 発赤硬結など炎症があると薬液の吸収が低下し、痛みが増強する可能性が高いのですぐに別の部位に刺し替える。
②金属針からプラスチック針への変更
- 発赤や硬結などのトラブルが生じた場合は、金属針に反応している場合があるので金属針をプラステイック針に変更する。
- それでも改善しない時は薬剤の局所刺激や吸収遅延が考えられるので、予防的に数日ごとに刺しかえる。
③ 皮膚トラブルへの対応
- 皮膚トラブルが生じた部位へのケアとして、痛みを伴う場合は局所の冷罨法で痛みを軽減できる場合があるので効果を見ながら施行する。
- 痛みを伴わない場合は、発赤や腫脹は軽快するまでに数日を要することを患者に説明し警戒するまで皮膚の観察を継続する。
- 皮膚の異常が見られなければ穿刺部位は少なくとも1週間ごとに変更する。
④ 患者の気持ちを傾聴する
- 持続皮下注射は比較的簡便で日常生活動作への影響が少ない方法である。
- が、24時間点滴ルートに繋がっていることによる拘束感や負担感は避けられない。
- 持続皮下注射による疼痛管理が必要になった患者の気持ちに傾聴する精神的アプローチも大切である。
⑤ 在宅療養に向けて
- 在宅療養を希望する患者にとっては在宅で持続皮下注射を継続できるのかという不安を抱くことがある。
- 持続皮下注射のメリットを伝え在宅療養におけるサポート体制を整備し、患者が希望する在宅療養を実現し、QOLの向上に努めることも大切である。
参考資料:看護技術ケアの疑問解決Q&A