不整脈患者の看護計画
#1不整脈を起因とする症状に関連した運動耐容量の低下
看護診断 活動耐性低下
関連因子:不整脈
診断指標:活動に対する心拍数の異常な反応、不整脈を示す心電図所見、虚血性変化を示す心電図所見、労作時の呼吸困難、倦怠感の訴え
看護目標
長期:患者の活動性を高める
短期:1)生命に危険をおよおぼす不整脈がなく心拍が安定している
2)不整脈が出現しやすい動作や活動を回避することができる
3)活動中・後の自覚症状によって活動レベルをコントロールすることができる
OーP
・不整脈発生時の状況、バイタルサイン、心電図波形、前兆の有無、症状の有無、不整脈の持続時間、頻度
・緊急性の高い不整脈の有無
・不整脈を誘発する症状の有無
・薬物療法の副作用の観察
・不整脈による合併症
TーP
・早期発見のためのモニタリング(心電図波形、バイタルサイン、徴候)
・運動誘発性不整脈の患者に対しては活動時に付き添う
・異常を早期発見したら、救援を求めて迅速適切に対応する
・指示された薬物療法の確実な実施
EーP
・不整脈の原因や病態についてわかりやすく説明する
・特に運動誘発性不整脈を有する患者家族には、運動制限の必要性やしてはいけない具体的な運動について説明する
・活動前・中・後における自覚症状で前兆を感じたら無理をしないで休憩する必要性を説明する
#2不整脈を起因する脳虚血による転倒や外傷の危険性
看護診断 身体損傷リスク状態
危険因子:失神、めまい、組織の尾低酸素症、倦怠感、血圧低下
看護目標
長期:転倒やそれによる二次的障害がない
短期:1)生命に危険をおよおぼす不整脈がなく心拍が安定している
2)患者家族は転倒が発生しやすい状況とその対策を理解することができる
OーP
・バイタルサイン
・心電図波形
・自覚症状
TーP
・異常の早期発見のためのモニタイング
・運動誘発性不整脈の患者に対しては活動時に付き添う
・転倒時に備えて患者のベッド周囲を安全な環境に整える
・異常を早期発見したら救援を求めて迅速適切に対応する
・指示された薬物療法の確実な実施
EーP
・失神発作の可能性のある患者には失神発作がどうして発現するのか、病態、安全か生活環境の必要性とその具体的方法を患者に分かりやすく説明する
#3不適切な保健行動による不整脈や薬物療法による合併症及び突然死の危険性
看護診断 非効果的自己健康管理
関連因子:知識不足、治療の副作用
診断指標:疾患を管理したいと言葉に出す、指示された治療方法を実施するのが難しいと言葉に出す
看護目標
長期:望ましい保健行動の獲得によって、不整脈や薬物療法による合併症及び突然死を予防できる
短期:1)不整脈による合併症の徴候がない
2)薬物療法による合併症の徴候がない
3)突然死を予防できる
4)治療方針に伴う疑問を医療者に表出し治療目的を理解できる
5)不整脈や薬物療法による合併症及び突然死を予防するために必要な日常生活上の留意点を理解し、実践していく意思を示す
6)内服薬の薬物名、投与量、投与回数、作用、副作用を理解できる
7)必要とされるライフスタイルについて家族と一緒に考えることができる
OーP
・不整脈やその合併症に関連する症状
・薬物療法による副作用
・不整脈の病態や薬の作用・副作用、活動制限の必要性及び生活管理に関する患者の理解の程度や認識
・不整脈の誘発を避けるためのライフスタイルの変容や実施に対する態度
・効果的な保健行動を妨げる原因や影響因子
TーP
・患者が抱いている治療方針に対する疑問や、今後の生活管理に対する認識などを表出するように勧める
・ライフスタイルの変容に伴う患者のストレスに共感・受容して、自己効力感を高められるように支援する
・必要なら家族に働きかけて患者とともに学べる場を提供する
・患者や家族の理解状況に応じた資料を作成する
・患者や家族の自主的な学習を促す
EーP
・疾患管理に対してストレスを感じる場合には一緒に生活習慣の在り方を見直す必要性や、一人で悩まないことを説明する
・定期受診によって急性増悪を予防することの意味を説明する
#4不整脈による突然死や今後の生活などに対する不安
看護診断 不安
関連因子:健康状態の変化、健康状態に対する脅威、経済状態の変化、経済状態に対する脅威
診断指標:脈拍数の増加、不眠、声の震え、呼吸数の増加
看護目標
長期:患者の身体・心理・社会的不安が軽減され、安楽が増大したとの言動が表出される
短期:1)患者家族が不安に思っていることや気持ちを人に伝えることができる
2)不安や恐怖心を増悪させる原因を認識できる
3)適切なコーピング行動をとることができる
OーP
・疾患や治療、失神発作や突然死予防のための生活管理に対する認識や受け止め方
・生理的、心悸亢進、過呼吸、声や体の震え、不眠、血圧変化、おちつきがない
・情動的:自身の以下の感情を述べることができる(心配、リラックスできない、無力、自分や他者に対する批判、不幸を予期するなど)以下の言動を見られる(イライラ、受身的、引きこもり、怒り)
・認知的:精神集中できない、心肺、混乱、放心状態など
・不安のレベル
TーP
・患者のそばに付き添い、看護師の共感的理解の姿勢・態度を伝える
・不安が減少し、患者に考えるゆとりが出てきたら、不安や恐怖心を増悪させる原因や状況、きっかけなどを考えてもらうように促す
・不安が増強しない環境を整える
・可能な限り患者の努力を肯定的に評価する
・患者のコーピング行動について一緒に振り返り、どのようなコーピング行動をとるのがストレス軽減につながるのかを考えたり提案したりする
・必要ならば不安や必要を緩和する介入を提供する
・慢性的な不安や不適応状態にある患者は精神科に相談して評価してもらう
・必要ならば社会資源について説明し、医療ソーシャルワーカーを紹介する
EーP
・疾患に対する誤った認識があり、それが不安の原因である場合には、正しい知識をわかりやすく説明する
・将来に対する漠然とした不安など、避けられないストレス状況に対して解消するための手段を説明する
参考資料:疾患別看護過程