夫の闘病・不安げな表情

夫の闘病・不安げな表情

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不安げな表情

仕事が終わるとすぐに夫の元へ行った。低ナトリウムのせいで現れる症状が気になった。夫が居る個室病室の窓を除くと、夫はズボンをはいていない。

 

白のシャツを腰巻のように巻いてベッドに腰かけていた。「パンツはいていない?」と問うと「はいとるわいね」と白のシャツを少しまくって見せた。

 

やはり低ナトリウムは精神にも作用するというので、その影響もあるのかな?それともやはり認知かな?戸惑う。

 

看護師さんも首を傾ける。前の晩は、同じような格好で夜中に棟内をウロウロしていたらしい。狭い個室の中を、夫はベッドに少し腰かけるとすぐに歩き出す。

歩いていると安心するという。

 

何かを探している様子なので、どうしたかと聞いた。「時計がないと不安で」と言って探している。確かに夜中に眠れない時など時間が気になる。夫が不安に思うの尤もだ。

 

看護師に置時計を用意しても良いかと聞くが、医師の許可が必要だとのこと。とりあえず明日持ってくることを夫に約束し、今夜はナースコールで看護師に時間を聞くように頼んだ。

 

夫はそんなにつらくないと言うが不安げな症状だった。

早く治って退院しようと夫を慰めたが、本当にそう思う。鍵のかかる個室に夫を一人にさせているのが、治療の為とわかっていても不憫に思えた。

 

夫は椅子に腰かけている私の頬に、歩きながらかがんでキスをした。

夫の頭の中と体の中に何が起こっているのだろう。穏やかな表情で頬にキスをする夫はいつもと変わらぬ夫なのに。

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