脱水症の看護診断・体液量の不足
看護診断:水分摂取の減少と可動性の低下に関連した体液量の不足
看護目標
水分・電解質のバランスの回復と維持
徴候と症状
口喝、乾いた舌、脈拍の上昇及び不整、皮膚及び粘膜の乾燥、尿量の減少
看護介入
① 患者の脈拍、呼吸、体温、血圧、体重をモニターする
② 3日から4日以上かけて水分摂取を徐々に増していくよう勧める
③ 覚醒している間、少なくとも1時間に150mlの水分摂取を勧める。各種の飲み物、例えば果物ジュースなどを与える。水分をたくさん含む様々な食物を与える
④ 患者の水分出納をモニターする
⑤ 患者が簡単に手を伸ばすことができるベッドや椅子の近くに水の入った瓶を置く。そして定期的に新しい水にする。忘れずに患者が容易に持つことができるカップ、グラス、瓶を用意する
⑥ 嘔吐、下痢、嚥下障害を評価する。そして患者にこれらの症状が生じた場合は、直ちに報告するよう指導する
⑦ 水分補給の初期には、毎日、その後は週1回患者の体重を測定する
⑧ 患者の投薬療法を再調査する。もし患者が利尿薬を内服しているなら、それを表示された通り、正しく内服しているか確認する
⑨ 食事中の過剰塩分の使用を防ぐ
⑩ 良好な口腔衛生を提供したり奨励する
⑪ もし患者が経口摂取できない、また、経静脈療法や経鼻胃管挿入が禁忌であるなら、医師に皮下注入の可否を相談する
⑫ 高たんぱく経管栄養を受けている患者では、維持量より多くの追加水分の必要があるかを観察する。尿量の減少を評価する
⑬ 夜尿症について患者を評価する
⑭ 脱水の徴候として、口渇を観察する
理論的根拠
① 速い頻拍、血圧上昇、発熱は脱水または脱水の原因となる合併症を示す
② 不十分な水分摂取は、結局身体の水分量の不足を招く。徐々に水分摂取を増加することは高齢者では回復に時間のかかる水分バランスを元に戻すのに役立つ。突然の相当な水分摂取の増加は、心臓予備力の限られた高齢者をうっ血性心不全の危険にさらすことになるだろう
③ 成人は通常1日2500mlの水分が必要である。液体から1500ml、固形物から700ml、食物の代謝から300ml。
④ 適切な水和が確立された後、患者の水分摂取は尿量と非常に等しくなるはずである。注意深く規則的なモニタリングは、この目標が達成されるかどうかを確認するのに役立つ
⑤ もし水が新鮮で患者が自分で容易に飲めるなら患者が十分な量の水を飲むことをもっと好むようになるだろう
⑥ 脱水は腎臓が小さく腎臓の還流量の少ない高齢者では急速に生じやすい
⑦ 規則的に、患者の体重を評価することは、看護師が患者の水分バランスを回復させる援助の有効性を監視するのに役立つ。そして、将来脱水の症状発言を防止するのに役立つ
⑧ 利尿薬の誤用は、脱水の一般的な原因である
⑨ 適度の水分摂取を伴わない塩分摂取の増加は、脱水の原因である
⑩ 脱水の患者の粘膜は乾燥している
⑪ 皮下注入は、多くの高齢者によって注射療法の有効な手段である。それは静脈や経鼻胃的水分管理よりもいくつか異なった利点がある。たとえば患者はじっとしている必要はない
⑫ 9日以上、たんぱく経管栄養が与えられると、窒素負荷や高浸透圧利尿の原因により脱水をきたしてしまう
⑬ 患者は夜間の排尿を防ぐため、夕食後水分摂取をしない可能性がある。したがって総水分摂取量は減少する
⑭ 脱水により生じる口渇感は、加齢とともに鈍る
患者目標
・ 正常のバイタルサインを示すことができる
・ 皮膚の良い緊張度を示すことができる
・ 適正量(1200ml/1日)の琥珀色の尿を排泄できる
参考資料:看護診断に基づく高齢者看護ケアプラン