大腸がん患者の看護計画
#1癌による通過障害に伴い低栄養状態にある
看護診断 栄養摂取消費バランス異常:必要量以下
関連因子:癌による通過障害、食物の摂取ができない
診断指標:1日推奨食物摂取量より少ない不十分な食物摂取の訴え、食物摂取し始めた直後の満腹感の出現、腹痛、理想体重より20%以上少ない体重
看護目標
長期:手術までに低栄養状態が改善する
短期:1)栄養状態改善の必要性が理解できる
2)経口摂取可能な食物を選択できる
3)腹部症状出現時は経口摂取を辞める必要性が理解できる
4)経口摂取以外の栄養摂取の必要性を理解できる
OーP
・食事摂取量、内容、速さ、食事の工夫点、経口摂取可能な食物・経口摂取以外の栄養摂取方法の認識度
・体重、血液検査の結果
・悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満の有無と程度
・腹部症状の認識と対処方法の理解
・栄養状態改善の必要性の理解
・排便状況
TーP
・通過障害が軽度の場合は、経口摂取量が増えるように食事の工夫を一緒に考える
・通過障害が強い場合は、経口摂取を中止し点滴などの栄養管理を行い、患者家族の協力を得る
EーP
・栄養状態改善の必要性について説明する
・経口摂取が可能な食物について説明する
・腹部症状出現時の経口摂取禁止について説明する
・経口摂取以外の栄養摂取方法を説明する
・家族にも食事内容の注意点などを説明する
2腸管前処置に対して適切な行動がとれない可能性がある
看護診断 ノンコンプライアンス
関連因子:個人の価値観、計画された治療行動に関する知識、ケアの簡便性
診断指標:指示に沿っていないことを示す行動、症状の悪化の徴候
看護目標
長期:適切に腸管前処置を行うことができる
短期:1)内服の必要性を述べることができる
2)パンフレットを見ながら実施できる
3)腹部症状出現時は内服を中止する
4)症状と排便状況を医療者に報告できる
OーP
・内服の必要性・対処行動の理解、内服状況
・腹部症状の有無と程度、報告状況
・排便状況
TーP
・患者の理解の程度を確認しながら段階的に説明する
EーP
・内服薬の作用・服用方法についてパンフレットなどを用いて説明し、正確に内服できるように指導する
・腹部症状や排便状況を報告できるように指導する
・腹部症状出現時、内服を中止し、症状を報告するように指導する
#3疼痛により離床が妨げられる可能性がある
看護診断 活動耐性低下
関連因子:癌、症状安静
診断指標:労作時の不快感、倦怠感の訴え、衰弱の訴え
看護目標
長期:疼痛が軽減し、離床を進めることができる
短期:1)疼痛が軽減したと述べることができる
2)毎日の離床目標を立て達成できる
OーP
・疼痛の有無と程度、疼痛部位、疼痛に関する言動
・離床状況、離床意欲、目標設定状況
TーP
・患者の身体的心理的状況を考慮して離床を進める
・離床が進まない理由を傾聴する
・毎日その日の離床目標を患者と一緒に設定する
・離床時間と鎮痛薬の使用のタイミングを工夫する
EーP
・離床の必要性について説明する
・痛みの強い場合は鎮痛薬の希望を申し出るよう説明する
#4ストーマ保有によるボディイメージ混乱の可能性がある
看護診断 ボディイメージ混乱
関連因子:疾患の治療
診断指標:身体の一部を見ない、触れない、身体に対する否定的な感情、無力感
看護目標
長期:ストーマ造設を受容し、ボディイメージの変化を認める
短期:1)ストーマ造設の必要性が理解できる
2)採便袋から排泄物を処理することができる
3)装具交換する意欲を表現できる
OーP
・ストーマ造設の必要性に他する理解
・ストーマやストーマ管理に対する言動
TーP
・日々の身体的・心理的状態の変化に合わせたケア
・患者家族の協力を促す
EーP
・ストーマ造設の必要性を説明する
・ストーマ管理方法を説明する
#5ストーマ装具交換の手技の習得が困難な可能性がある
看護診断 セルフケア不足シンドローム
関連因子:ボディイメージ混乱、高年齢による認知機能低下、四肢の機能低下・障害、体型によるストーマ管理困難
診断指標:全面的な監督、指導が必要
看護目標
長期:ストーマ装具交換時には援助を求めながら手技が確立できる
短期:1)積極的にストーマ装具交換に取り組むことができる
2)必要な援助を求めることができる
3)交換時の注意点を述べることができる
OーP
・ストーマ装具交換に対する意欲、言動、知識、手技の習得状況
・腹部の脂肪層によるしわや創痕、便漏れの状況
TーP
・手技を段階的に進め、必要に応じて家族の協力を得る
EーP
・ストーマ装具交換の手技についてパンフレットなどを用いて説明する
#6患者家族の疾患や治療に対する不安が増強する可能性がある
看護診断 不安
関連因子:健康状態の変化、健康状態に対する脅威
診断指標:不眠、無力、問題解決能力の減弱、混乱
看護目標
長期:患者、家族の不安が軽減する
短期:1)疾患の経過について理解できる
2)補助療法継続に必要性について理解できる
3)疾患や治療に対する思いを表現できる
OーP
・患者家族の疾患や治療に対する理解
・患者家族の心理・社会的側面の把握
TーP
・疾患の経過や治療の継続について、生活背景を考慮した見通しを持てるよう一緒に考えていく
・患者会の情報など、同じ疾患を抱える患者家族とのかかわりの場を提供し、見通しが持てるように援助する
EーP
・疾患や治療経過、今後の治療について患者家族に説明する
#7便漏れによる睡眠障害の可能性がある
看護診断 不眠
関連因子:身体的不快
診断指標:患者が睡眠持続時間を訴える
看護目標
長期:便が漏れず十分な睡眠が維持できる
短期:1)便漏れの原因を見つけることができる
2)漏れに対する対処方法が実施できる
3)睡眠に満足できる
OーP
・排便の量・性状、便漏れの有無・原因
・睡眠状況、夜間の漏れの状況
TーP
・便漏れの原因・対処を一緒に考えていく
EーP
・便漏れの具体的な対処方法について説明する
#8排便コントロール不良の可能性
看護診断 下痢
関連因子:高いストレスレベル、吸収不良、炎症
診断指標:少なくとも1日に3回の軟らかい液状の便を排出、腹痛、裏急後重
看護目標
長期:排便コントロールを良好に保つことができる
短期:1)大腸の機能について述べることができる
2)食事を工夫できる
3)下痢が軽快したと報告できる
OーP
・排便回数、量、色、性状、排便による苦痛腹痛
・排便管理に関する薬の内服状況、経口摂取の内容と量
・大腸の機能変化に対する認識
TーP
・患者の食事の好みを考慮しながら望ましい食事・水分摂取について一緒に考える
EーP
・術後の大腸機能変化と排便管理について説明する
参考資料:疾患別看護過程