大腿骨頚部骨折患者の看護計画
#1 疼痛により安楽が得られない
看護診断 急性疼痛
関連因子:骨折
診断指標:合図による・言葉による疼痛の訴え、睡眠障害、疼痛を避けるための体位付け
看護目標
長期:日常生活への影響がないよう疼痛を管理できる
短期:1)睡眠出来る
2)鎮痛の希望を伝えることがある
OP
・疼痛の部位や程度
・睡眠時間、食事摂取量、表情
・鎮痛処置の効果と副作用
TP
・薬物療法、肢位調整やクーリングを行う
EP
・疼痛増強時に看護師に知らせるよう説明する
#2 突然の環境の変化、体動不能、床上安静によるせん妄の恐れがある
看護診断 急性混乱リスク状態
危険因子:睡眠覚醒周期の変動、60歳以上の高齢、疼痛、認知機能障害
看護目標
長期:せん妄が予防できる
短期:睡眠できる
OP
・表情や言動
・睡眠、食事、排泄の状況
TP
・身体的苦痛を緩和する
・入院前の習慣などを生かした環境整備やケア計画を立てる
・家族の協力を得ながら、できるだけ落ち着ける環境を作る
EP
・処置や日常生活援助の方法などについて、患者家族に分かりやすく説明する
#3 手術への恐怖、不安がある
看護診断 恐怖
関連因子:入院、病院での処置
診断指標:恐ろしいという訴え、心配だという訴え、食欲不振
看護目標
長期:手術に対する恐怖、不安を家族や医療者に伝えることができ、安心して治療が受けられる
短期:問題に対処しながら、手術に臨むことができる
OP
・手術説明の理解と程度、表情や言動
TP
・患者家族の話を傾聴する
EP
・手術に関する前後の処置、手術までの流れなどについて、患者家族に分かりやすく説明する
#4疼痛、床上安静により自力で清潔行動をとることができない
看護診断 入浴セルフケア不足
関連因子:筋・骨格系の障害、疼痛
診断指標:浴室を利用できない、身体を洗うことができない
看護目標
長期:全身の清潔を保持できる
短期:1)清潔保持のための援助を受けられる
2)安全な清潔行動を獲得することができる
OP
・皮膚症状
・清潔に関する習慣
・清潔に関連する上肢、姿勢保持、移動の機能
TP
・清拭、部分洗浄、洗髪を計画的あるいは状況に応じて行う
・機能回復の状態に応じて、安全な方法で清潔ケアできるように援助する
EP
・退院後の生活を想定し、安全に入浴できるよう、安全確認の方法を指導する
#5機能回復に応じた安全な移動手段が獲得できない
看護診断 非効果的自己健康管理
関連因子:治療計画の有益さに対する疑問
診断指標:疾患を管理したいと言葉を出す、危険因子を減少させる行動をとることができない
看護目標
長期:機能を生かした安全な移動方法を獲得できる
短期:1)離床時に看護師に知らせることができる
2)機能回復に応じた移動訓練ができる
OP
・移動に関連する機能
・移動機能と援助の必要性への理解
・患部の症状
TP
・環境を調整する
・患部の除痛、クーリングなどの対処療法
EP
・機能回復の状態に応じ、安全な移動方法を指導する
#6同一体位による褥瘡の恐れがある
看護診断 皮膚統合性障害リスク状態
危険因子:高齢、体動不能、骨の突出、湿度
看護目標
長期:褥瘡を予防できる
短期:清潔ケアと除圧を行える
OP
・仙骨部、踵部、肩甲骨部など骨突出部位の皮膚の発赤などの状況や痛みの部位
・栄養状態、体型、排泄方法
TP
・受傷直後、床上安静開始時から積極的に除圧マットなどを用い除圧する
・不用意におむつを着用しない
EP
・床上安静中も健肢のひざを立てて、腰を少し上げる仙骨部の除圧方法を指導する
参考資料:疾患別看護過程