膀胱がん患者の看護計画
#1診断と治療に対する恐れがある
看護診断 不安
関連因子:膀胱がんの診断、治療
診断指標:緊張した表情、不眠、食欲不振、倦怠感
看護目標
長期:診断を受け入れ治療に向き合うことができる
短期:1)信頼できる他者に不安や懸念を話すことができる
2)診断や治療について理解できる
OP
・診断治療に対する思い
・表情、顔色、全身状態
・ライフスタイル、対処規制
・家族や重要他者の思い
TP
・脅威に感じていることを話すように促す
・患者と家族の理解に合わせ、正確な情報提供を行う
・利用可能な社会資源の必要性を評価
EP
・今後の検査や治療について具体的に説明する
#2尿路変更術式の選択に迷っている
看護診断 意思決定葛藤
関連因子:価値観に対する脅威の自覚
診断指標:選択に関する不確かさを言葉に出す、他のいくつかの選択肢の間での迷い、意思決定を試みる際の苦痛を言葉に出す、苦悩または緊張の身体的徴候
看護目標
長期:患者自身納得のいく術式選択ができない
短期:1)患者自身の迷いと価値観の葛藤を自覚できる
2)家族や重要他者の力を借りながら選択できる
OP
・それぞれの術式に対する患者の知識と思い
・意思決定パターン
・価値観
TP
・不安や迷いを話すよう促す
・それぞれの術式についての正確な情報提供と説明
・意思決定には可能な限りたくさんの時間を与える
EP
・必要であればセカンドオピニオンを求めることを勧める
#3尿管・腸管吻合部、術創、尿路から感染を起こす可能性がある
看護診断 感染リスク状態
危険因子:観血的処置
看護目標
長期:尿管・腸管吻合部、術創、尿路からの感染を起こさない
短期:1)腹膜炎症状、尿路感染の症状がない
2)術創が浸出液や紅斑の徴候なく治癒する
3)白血球数と体温を正常に維持する
OP
・腹部膨満、圧痛の有無
・ドレーンからの排液量、性状
・尿量、性状
・術創の紅斑、浸出液の有無
・体温、血液データ
TP
・術後3日前から低残渣食、前日は流動食とする
・術前に処方された抗菌薬と下剤の投与
・排液バッグをドレーンやカテーテル類の挿入部より高く上げない
・体位やチューブのねじれによりカテーテルが閉塞しないよう固定して、カテーテルの開通性を維持する
・適切な尿量を維持するために補液を行う
・医師の指示で抗菌薬を投与する
EP
・術前処置により感染のリスクを低減させることを説明する
・ドレーン類の取り扱い方法を指導する
#4術創の痛みがある
看護診断 急性疼痛
関連因子:手術
診断指標:言葉または合図による疼痛の訴え、疼痛の証拠の観察、疼痛を避けるための体位付け、苦悶様顔貌、睡眠障害
看護目標
長期:疼痛がコントロールされる
短期:1)夜間の休息がとれる
2)鎮痛薬を使用しながら術後の離床ができる
OP
・痛みの部位と強さ
・表情、バイタルサイン
・疼痛アセスメントツールを用いた相対的採点
・鎮痛薬の効果
・睡眠状態
・離床の状況
TP
・痛みの部位と強さを記録し、評価する
・適切な鎮痛薬の投与
・安楽な体位の工夫
・咳嗽や深呼吸の際は腹部に枕を添える
EP
・痛みの部位や強さを表現するように促す
・鎮痛薬の効果と副作用について説明する
#5ストーマと周囲の皮膚トラブルを起こす可能性がある
看護診断 皮膚統合性障害リスク状態
危険因子:機械的因子、湿潤、排泄物、代謝状態の変調、循環障害、栄養状態のアンバランス
看護目標
長期:ストーマと周囲の皮膚にトラブルがない
短期:1)ストーマに適切なパウチを選択できる
2)患者と家族が適切なストーマケア方法を習得する
OP
・ストーマの色、状態(出血、浮腫)
・パウチ接着部分の皮膚
TP
・ストーマの色と状態を観察し評価する
・ストーマの洗浄、ケア
・周囲の皮膚にあったパウチの選択
・患者が横になっているときや就寝時間にはパウチをドレナージバックに接続する
EP
・ストーマと周囲の皮膚の観察のポイントを説明する
・ストーマと周囲の皮膚の適切なケアを指導する
#6ストーマ造設によるボディイメージの混乱がある
看護診断 ボディイメージの混乱
関連因子:手術
診断指標:身体の一部に触れない、身体の一部を見ない、身体に対する否定的な感情
看護目標
長期:患者が積極的にストーマケアに参加する
短期:1)患者がストーマに触れることができる
2)ストーマに対する肯定的な言動
OP
・患者のストーマに対する言動
・ストーマケアへの参加の意欲
TP
・皮膚のしわや瘢痕、骨の突出、ベルトラインなどを避けた、患者にとって最適なストーマ位置をマーキングする
・患者のストーマケアを学ぶ意欲をアセスメントする
・図表や写真を使った簡単な証明書を渡す
・看護師のパウチ交換の様子を見せて、徐々にセルフケアに参加するように促す
・継続した指導とモニタリングとその必要が評価する
EP
・ストーマケアの方法を指導する
・ストーマトラブルとその対処方法を指導する
・利用可能な社会資源について情報提供する
#7閉塞性イレウスの可能性がある
看護診断 便秘リスク状態
危険因子:術後閉塞
看護目標
長期:閉塞性イレウスを起こさない
短期:1)術後排便がある
2)イレウスの予防方法について理解する
OP
・腸蠕動音、排ガス、排便
・腹部不快感、腹部膨満感、腹痛などの自覚症状
TP
・体位変換や体動の援助
・嘔吐があれば量、性状をモニタする
EP
・イレウスの症状と対策について説明する
・予防のために消化の良い食物と水分摂取、適度な運動を勧める
[ad]
#8治療による性的機能の変化がある
看護診断 性的機能障害
関連因子:身体機能や身体構造の変調
診断指標:性的満足感を得る上での変化、自分が思っている性的役割を果たすうえでの変調
看護目標
長期:患者が自らのセクシュアリテイに満足できる
短期:1)身体構造の変化によるセクシュアリテイの変化を理解できる
2)性を表現するための代替え方法を知ることができる
OP
・セクシュアリテイの変化に対する患者の言動
・セクシュアリテイに関する患者とパートナーの価値観
TP
・性機能の変化についての懸念を話し合ってよいことを伝える
・性的な懸念について話すことの患者のためらいを尊重する
・治療によって生じる性的機能の変化について適切な情報を提供する
・プライバシーの守られる場所で話題を提供する
・パートナーとの間で率直になるよう促す
・専門家の介入の必要性を評価する
EP
・発汗により装具が患者やパートナーに張り付くことがあるので、肌着やTシャツ、装具カバーなどの使用を勧める
・臭気が気になる場合は、性行為の前に装具を空にし密封すること、尿臭の原因となるような食物の摂取を避けるようアドバイスする
参考資料:疾患別看護過程