ベーチェット病患者の看護計画
共同問題
RC:薬物の有害反応
看護目標
長期:薬物療法による副作用を早期発見して対処する
OP
・発熱の有無や熱型
・検査データ
・上腹部痛、心窩部痛、胸やけ、悪心の有無、便の性状や潜血
・狡猾、多飲、多尿の有無
・精神症状
・骨粗鬆症の症状
・内服状況
TP
・合併症の症状があれば速やかに医師に報告する
・指示量が確実に予約されているか確認する
EP
・異常な症状があればすぐに報告するよう説明する
・感染症の予防法について説明する
#1潰瘍や関節痛、全身症状によって苦痛をきたしている
看護診断 安楽障害
関連因子:炎症
診断指標:安楽でないという訴え、苦痛を感じる症状の訴え
看護目標
長期:苦痛が緩和され安楽になったことを言葉に出して表現できる
短期:苦痛を表出し、軽減するための対処ができる
OP
・潰瘍の状態
・関節痛の部位
・全身症状、出現症状の程度
TP
・口腔内の潰瘍に関しては「看護問題#2」参照
・眼症状に関しては必要時に内服の確認や点眼の介助を行う
・陰部の潰瘍に関しては、陰部洗浄などで清潔にし吸収性の良いゆったりとした下着や衣服を着用する
・陰部疼痛時は歩行を制限する
・安楽な体位の工夫、保温を行い必要時に鎮痛薬を使用する
・腸管ベーチェット病の場合は乳製品、香辛料やコーヒー、冷たい飲み物、喫煙を避ける
EP
・苦痛を我慢せずありのままを伝えるように説明する
・安楽な体位の取り方について説明する
・腸管ベーチェット病には食事指導を行う
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#2口腔粘膜を傷害している
看護診断 口腔粘膜障害
関連因子:疾患
診断指標:口腔の疼痛または不快感、口内炎
看護目標
長期:口腔粘膜の潰瘍が悪化しない
短期:口腔内の痛みが緩和する
OP
・口腔内の状態、症状の程度
TP
・含嗽、口腔ケアを行う
・食事は柔らかく調理したものを用意する
・口腔内の疼痛時は熱すぎたり冷たすぎたりするもの、濃い味付け、刺激物は避ける
・潰瘍形成部に軟膏を使用する
EP
・口腔内を清潔に保つことの重要性を説明する
・含嗽、歯のブラッシング法について説明する
#3視力低下のため感覚に障害をきたしている
看護診断 感覚知覚混乱
関連因子:視力低下
診断指標:行動パターンの変化、感覚障害
看護目標
長期:視力が低下した状態でも支障なく過ごせる
短期:視力が低下した状況を受け入れ、環境に対する見当識を持つことができる
OP
・視力低下の程度
・活動状況、運動機能
・心理状態
・生活環境
・治療の状況
TP
・感情が表出できるような環境つくり、情動上のニーズを引き出す
・リハビリテーションを行い、時間場所人および周囲の状況について、見当識を方向付ける
・まめに声掛けを状況説明をする
・歩行時は看護師の肘をつかませ、看護師の後ろを歩いてもらう
・身の回りのケアは必要時介助する
・家族もケアに参加できるように促していく
EP
・生活上の困難さについてありのまま伝えるよう説明する
・リハビリテーションの必要性について説明する
・家族が指示的にかかわれるように説明する
#4視力障害によりけがや事故などの危険性がある
看護診断 身体損傷リスク状態
危険因子:感覚機能の障害
看護目標
長期:日常生活を安全に損傷なく過ごせる
短期:日常生活を安全に送るための知識、行動が習得できる
OP
・視力低下の程度
・活動状況、運動機能
・心理状態
・生活環境
・治療の状況
TP
・室内でつまづきの原因となるような危険物は取り除き、通路には障害物を置かない
・ベッド柵をつける
・周囲の照明を明るくする一方、まぶしい光は抑える
・物品の位置を変更した時に必ず伝える
EP
・ベッド周囲に危険物がないよう家族に指導する
#5治療の長期化や症状の悪化、社会的役割の変化による不安を抱えている
看護診断 不安
関連因子:健康状態に対する脅威、または健康状態の変化、環境の変化、相互作用のパターンの変化、ニーズが満たされない
診断指標:緊張の増大、落ち着きがない、人生の出来事の変化による心配を表明する、不確かさ、苦悩する、不眠
看護目標
長期:不安が軽減され、心身共に安定した家庭生活を送る準備ができる
短期:不安の内容が表出できる
OP
・言葉による表現、表情、態度の表れ方
・不安の内容と程度、睡眠状況
・疾患に対する理解や認識の程度、患者の状況判断能力
・キーパーソン、経済的・社会的状況と問題
・家族の疾患に対する反応と理解の程度
TP
・不安の原因となっている内容や程度をアセスメントする
・共感的態度、受容的態度で対応し声掛けタッチングなど患者とのかかわりを多くすることで信頼関係を築く
・医師からの疾患治療検査についての説明が理解できているか確認し、必要時には再度説明を依頼する
・家族内発症は少なくまた遺伝病ではないことを説明する
・視力予後が不良と思われる場合は、生命予後には影響しないことを説明する
・必要時社会的資源の方法を説明する
・不安の内容は記録し医療者間で情報を提供する
・家族とも協力してかかわっていく
・散歩や趣味などの気分転換を図る
・十分睡眠がとれるよう環境を調整する
EP
・不安なことがあればどんなことでも医療者に伝えるよう説明する
・患者を支援する福祉制度について説明する
・視力低下への不安を家族が理解できるように対応する
#6疾患治療今後の経過に対する知識が不足しており自己管理が必要である
看護診断 非効果的自己健康管理
関連因子:知識不足
診断指標:健康目標を達成するには効果的でない選択を毎日の生活の中で行う、危険因子を減少させる行動をとることができない
看護目標
長期:症状の悪化予防、症状緩和の方法が理解でき継続して自己管理ができる
短期:症状の悪化予防、症状緩和の方法が理解でき実施できる
OP
・認知能力、習慣的行動
・セルフケア能力の程度
・周囲の理解と支援状況
TP
・患者の意思を尊重しながら信頼関係を確立する
・患者の理解の程度や習得状況に合わせてパンフレットを使用するなど、オリエンテーションや指導を行う
・潰瘍や関節痛への対応、その他症状への対応、服薬指導、定期的な受診
・指導終了後にチェックリストを用いて評価し、必要時に再指導を検討する
・患者会など同疾患患者会とのかかわりの場や社会的資源の活用方法を紹介する
EP
・定期的に受診するように説明する
・社会資源の利用法について説明する
・患者のセルフケア能力が不足している場合は家族に指導する
参考資料:疾患別看護過程