甲状腺機能亢進症(バセドウ病)患者の看護計画

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)患者の看護計画

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#1症状の出現によりADLの遂行が困難である

看護診断 活動耐性低下

関連因子:甲状腺機能亢進症、代謝受容の増大

診断指標:活動に対する血圧の異常な反応、活動に対する心拍数の異常な反応、不整脈を示す心電図所見、労作時の呼吸困難

看護目標

長期:症状出現の程度に合わせて活動量を調整し、継続して日常生活上のセルフケアが行える

短期:患者自身が出現症状を把握することができる

OーP

・症状の出現状況、程度の観察

・患者のセルフケア能力

TーP

・症状出現の状況により、日常生活上のセルフケア不足に対する援助

EーP

・倦怠感、疲労度に合わせ適宜休息をとりながらADLを行うように指導する

・過度の運動は体力消耗につながるため控えるよう指導する

・家族や有職者であれば、職場の人に疾患を理解して協力が得られるよう働きかけることを指導する

 

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#2内服の自己中断や不適切な生活習慣により症状が増悪する

看護診断 ノンコンプライアンス

関連因子:計画された治療行動に関連する知識、動悸を与える力、ヘルスケア計画の期間

診断指標:指示に沿っていないことを示す行動、症状悪化の徴候、合併症出現の徴候

看護目標

長期:適切な服薬行動と日常生活行動により、最大の治療効果を得ることができる

短期:1)適切な服薬行動とその重要性が理解できる

2)不適切な日常生活行動の治療や症状に及ぼう巣影響、適切な日常生活行動が理解できる

OーP

・症状の出現状況、程度の観察

・患者の疾患に対する認識の確認

・内服薬に対する知識

・服薬状況

・副作用の有無

・食生活・嗜好品の確認

TーP

・副作用が出現した際には直ちに医師に報告し速やかに対処する

EーP

・アルコールは頻脈、熱感など症状を悪化させるため、飲酒を控えるよう指導する

・喫煙は呼吸循環器系の症状を悪化させ、さらに眼球突出を悪化させると言われているため禁煙指導を行う

・ヨードを含んだ食品を過剰に摂取しないように指導する

・服薬は指示されたとおりに内服し症状が改善したからと言って、自己中断しないよう指導する

・副作用が出現した際にはすぐ知らせる。外来通院の場合はすぐ受診するよう指導する。特に高熱が出た場合はすぐに受診する

#3眼球突出、甲状腺腫大に関連したボディイメージ変容の受け入れが困難である

看護診断 ボディイメージ混乱

関連因子:疾患

診断指標:現実に存在する身体機能の変化、現実に存在する身体構造の変化、他者による反応に恐怖を抱く、過去の外観に焦点を当てる。身体に対する否定的な感情

看護目標

長期:症状やボディイメージに対する自分の思いを表出でき、それに対する行動がとれるようになる

OーP

・症状の出現状況、程度の観察

・症状に対する患者の思い

TーP

・患者が話しやすい環境を作り、患者の思いを傾聴する

・眼球突出についてはサングラスをかけることで目立たなくなることを伝える

・上眼瞼下降不全や瞬目現象がみられるときは点眼薬の使用により角膜保護を行う

・甲状腺腫大については頸部を襟やスカーフで覆うことで目立たなくできることを伝える

EーP

・甲状腺腫大や手指振戦などの症状は、治療により改善がみられることを説明する

・些細なことでも医師や看護師、家族に相談するよう指導する

 

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#4代謝亢進、下痢により栄養状態が低下する

看護診断 栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

関連因子:病態生理因子(代謝亢進、下痢)

診断指標:理想体重より20%少ない体重、下痢、1日推奨食物摂取量より少ない不十分な食物摂取の訴え

看護目標

長期:食事摂取、水分摂取の必要性を理解し、代謝亢進に見合う必要なカロリー摂取ができる

OーP

・症状の出現状況、程度の観察

・食事摂取量、水分摂取量

・栄養状態

・食欲の有無

TーP

・高カロリー高たんぱく、抗ビタミンのバランスの良い食事を提供する

・水分摂取を促し水分喪失が著しい場合には医師の指示のもと補液を行う

・患者のるい痩が著しい場合にはマットレスなどを工夫し安楽な体位が保てるように援助し、褥瘡を予防する

EーP

・発汗や下痢により水分電解質バランスが崩れやすいことを説明しスポーツドリンクなどの摂取を指導する

・高カロリー良質なたんぱく質をとるよう心掛け、必要カロリーを摂取するよう指導する

 

 

#5精神症状は疾患、症状、治療に関連した不安がある

看護診断

関連因子:健康状態の変化、健康状態に対する脅威

診断指標:不眠、苦悶、イライラ、不確かさ

看護目標

長期:不安の内容を表出でき自ら不安への対処行動がとれるようにする

OーP

・症状の出現状況、程度の観察

・不安の有無、その内容

・睡眠状況

・患者の不安に対するコーピングパターン

TーP

・心身の安静が保たれるような環境を整える

・患者が話しやすい環境を作り、患者の思いを傾聴する

・疾患や治療の説明や患者の質問に対してわかりやすく説明する

EーP

・些細なことでも医師や看護師、家族に相談するよう指導する

 

 

 

参考資料:疾患別看護過程

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