頭を打った時、注意すべき症状は?
頭を打った時、軽くても気を付けて
頭を打った時は、軽くぶつけただけだと思っても生命に危険が及ぶことがあります
注意すべきポイントは?
高齢者は転倒など日常生活で頭を打つことが多い
日常生活には頭を打つ危険がいっぱいです
たとえば、鴨居で、自動車に乗るときドア枠で、ベッドから落下して、階段から落ちる、はしごが倒れて、お風呂で滑って、自転車で転倒して、段差で躓いてなどです
高齢者では転倒した時のとっさの防御本能も鈍くなって、受け身をうまく取れずに頭を打ってしまうことも増えてきます
頭を打った影響により、頭蓋骨や脳が損傷する危険がある
脳は固い頭蓋骨で覆われさらに「硬膜、くも膜、軟膜」という三重の膜で保護されています。またくも膜と軟膜の間には髄液という液体で満たされ脳への衝撃を和らげています
しかし軽く頭をぶつけただけでも予期せぬ影響が脳にまで及んでいることがあるため、頭部に受けた衝撃を軽視するのは禁物です
スポーツ時などで頭を打って脳振盪を起こすこともあります
これは一時的な脳の機能障害とされていましたが、近年一部には重大な脳の損傷の可能性があることがわかり、慎重な対応が求められるようになっています
頭を打ったときに注意すべき症状は?
・頭皮の損傷
頭皮が裂けて出血したり内出血が起こるものです。「傷が深い」「広範囲にわたる」「出血量が多い」などの場合は救急車を呼び、すぐに医療機関を受診してください
・頭蓋骨の損傷
頭蓋骨の骨折です。頭蓋骨の中でも底辺に当たる頭蓋底は骨が薄く骨折しやすい部位です
頭蓋底を骨折すると、耳や鼻から水のような液体が漏れたり、出血に液体が混じることがあります。これは脳の周囲にある髄液が外に漏れだしたものです
出血した血液がガーゼなどに垂れたときに2重のシミができたら髄液が混じっているというサインです。耳の後ろや目の周りに内出血が起こることもあります
症状がなくても頭を打った後にこれらがみられる場合は、救急車を呼びすぐに医療機関に受診してください
・頭蓋内の損傷
頭部への衝撃によって、脳の組織が損傷する脳挫傷や、頭蓋内の血管が切れて出血し、その血液がたまって血種を作ったりする場合があります
結手はできる部位やできる速度によって次のように分類されます
急性硬膜外血種:
硬膜と頭蓋骨の間に血液がたまります。多くが頭蓋骨の骨折を伴います
出血が起こる部位や出血する速度などによって症状が異なりますが、意識障害が起こる前に意識がはっきりしている時期があるのが特徴です
結手が大きくなって脳への圧迫が一定以上になると、意識障害が起こり進行していきます
急性硬膜下血腫:
頭を打ってから短時間のうちに硬膜と脳の間に血液がたまり、脳を圧迫します
高齢者に多くみられ、重症のことが多く直後から意識障害、片側の手足の麻痺などが起こり急激に悪化する例が多くみられます
慢性硬膜下血腫:
頭を打ってから数日から数週間かけて硬膜と脳の間に血液がゆっくりたまり、血種の周りに被膜ができます
はじめは目立つ症状はありませんが血種が脳を圧迫するようになると、頭痛、片側の手足のまひ、嘔吐、認知症のような症状が徐々に現れます
多くは軽微な衝撃によるもので、なかには頭を打ったことも覚えていないというケースもあります。慢性硬膜下血腫は一般に男性の高齢者、お酒をよく飲む人に多いとされています
頭を打った時高齢者が注意することは?
重大な事故が起きたり外傷が重かったり意識がなかったりする場合には、救急者を呼んで医療機関に搬送されますが、軽く頭を打っただけでも声明に危険が及ぶことがあります
高齢者は血液をサラサラにする薬を飲んでいる人も少なくありません。薬の作用で出血が止まりにくく、小さな外相でも重症化しやすいのです
頭を打った時、周囲の人がまず注意するのは意識状態です。意識を失っていなくても周りの状況(人、時、場所)を認識できるか、呼びかけにきちんと反応できるかを観察します
つじつまの合わないことをいう場合には医療機関を受診してください
頭を打った直後が元気でも、1~2日、ときには数日、数週間、数か月たってから症状が現れることがあります
頭を打った時には軽くてもそのことを忘れず、周囲の人はしばらく注意深く見守ることが必要です
また日ごろからできる範囲で体を動かして体の機能を保つほか、高齢者が安全に暮らせるよう段差や手すりなどを見直し、屋内や庭で転倒しにくいように環境を整えることも大切です
参考資料:「きょうの健康」